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PUBLIC BELONGIGNS 公共のあれこれを語るセッションまとめ

■PUBLIC BELONGIGNS 

―公共という「わたしたち」の居場所

デジタル化や、グローバル化の加速が進む社会において、公共と社会・組織・人の関係はどのように変化し、その時の具体的なサービスはどのようにデザインされていくべきなのでしょうか?

これから社会・組織・人のレイヤーで、研究をすすめるにあたり、ユーザーエクスペリエンスという視点にたって、3つのレイヤーの関係性を考えていくセッションをおこないました。

■キックオフセッション:UXと関係性の再考ーパブリックを捉えなおす

セッション概要
2021年12月20日、富士通ではインフォバーンの井登友一さんをお招きし、デザインセンターの宇田哲也・内田弘樹・森下晶代、そして参加してくれたメンバーと最初のセッションをおこないました。

セッションのグラフィックレコーディング

前述の3つのテーマに対して、日頃のデザイン実践や日々の生活に照らし合わせながら、活発な対話がおこなわれました。


セッション①

「なぜUXと言いつつ、サービス全体でグッドになっていきづらいのかUXの先ってなんだろう?」

ユーザーエクスペリエンスという言葉は一般的になってきていると思います。そして良いユーザーエクスペリエンスに向かって、デザイナーだけでなく作り上げる人々が日々工夫を重ねている現場があります。しかし、実際にユーザーの一連の体験をみていると、工夫した「部分」は良くとも、その「部分」同士が連続しているとも限らないことに気が付きました。この連続性をもって「全体」が良くなるために何ができるのかを対話しています。

使いさすさ、という点では、テクノロジーの観点からも、デザインの観点からも日々ブラッシュアップがはかられており、手がつけられる範囲では向上がみられています。しかし、これは今のシステムを成り立たせているプレイヤーの既得権の範囲を超えないということにもなっており、あくまでも損をしない範囲での向上になっているのではないでしょうか。

さらには、ダークUXと呼ばれるような、UXの、継続して使いたくなるという特徴を駆使し、ユーザーを囲い込んでしまうようなものも存在します。

もっとサービス全体が社会ごととして、ユーザーや組織が捉えていくにはどうしたらよいのでしょうか? またその時の皆が共有すべき倫理観とは?部分にとらわれずに、安心して使っていける状態にするための活動がUXには必要になってくるのではないでしょうか。

セッション②

「なんで市民って受け入れてしまうのだろう?当たり前を当たり前と思わないことってできるのか」

社会と関わって生きていくためには、さまざまなサービスを受ける権利や義務があると思います。その中で「やりづらい」と不満に感じることと、「そういうもの」と割り切る気持ちが同時におこり、その結果「しょうがない」と結論づけていることが多々あるのではないでしょうか。 どうして「しょうがない」で落ち着いてしまうのか、なにかやりようがあるのかもしれないという自身の反省ともいえる思いから、この対話はスタートしました。

どうせ使うのは年に一回だし、今だけ我慢すれば解放されるから……。このようなあきらめに近い感情を持って行動をしてしまう経験を誰しもが持っているのではと思います。この状況も、たまになら良いですが、続いてしまうと、じゃあ他のサービスでいいかという行動に進んでしまったり、信頼がない状態が継続してしまったりと、後退はあれど前進はない。 それが繰り返されることで、提供者にもユーザーにも負のスパイラルとしてどんどんサービスから離れていく結果を導きます。

ここでもし、ひとりひとりがサービスの当事者となって、解決の糸口をつくることができたら?
そして形づくることにあたらしい価値が発見できてきたら?
必ずしも一方通行でないサービスのやりとりの姿が必要となってくるのではないでしょうか。

セッション③

「公共との企業や組織の関係性はどうやって進化をとげていくのだろうか?社会の仕組みをデザインしていくって?」

公共サービスをつくりあげるには、行政だけでなく、支援する企業や、実際に使う市民をまきこんだ取り組みが不可欠です。ただ、実態は、行政が企業にお金を払う流れ、市民は行政に税金を納めることでサービスを利用するといった、お金の流れにしたがった一方通行な関係が強く浮き出ているように感じています。本来は公共というコミュニティを持続させるためには相互関係が必要不可欠であり、関係性を変える糸口をさがすためこの問いを考察していきました。

継続的な関係性を築いていくには、長い時間やそこに所属するという価値や信頼などさまざまな要素が不可欠です。そして関係性は、持ちつ持たれつの相互関係があるはずですが、昨今ではそのバランス感覚が崩れているのではないでしょうか。選択肢が広がった今、関係性をもたずとも生きていける側面があります。この中で、公助すなわちパブリックの価値が見えにくくなった時代で、新たな関係性の定義をしていくことが求められているのではないでしょうか。

■「めんどくさい」の捉え方。当たり前は時代で変わる。

富士通株式会社とIDL(株式会社インフォバーン デザイン部門)で立ち上げた「PUBLIC BELONGINS」共同研究会では、どんな立場であっても「わたしたち」がつくっていく未来の公共について考えていきます。

各 セッションの中で、出てきたキーワードには、以下のようなものがありました。

サービス全体をグッドにするための、パブリックアフェアーズ、ソシエタルデザイン。
市民の成長のカギとなりそうなコミュニティオーガナイジング、参加意義、市民参加、リビングラボ。
組織間をむすぶ、所属価値、コレクティブインパクト、マルチステークホルダーの合意形成。

今回表出した様々なキーワードをもとに、この記事を読んで頂いた皆さんとのやりとりをするための「想い」を発信していきます。


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