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スポーツに見る自立的組織

1. はじめに

今月は東京オリンピックを踏まえてオリンピックに関連のあるスポーツを用いて組織について語っていきたいと思います。取り上げるスポーツは金メダルに輝いた野球やソフトボールと惜しくもメダルを逃したサッカーやバスケットボールを取り上げます。
計画の段階ではアメリカ型組織とイギリス型組織を掲げていたのですが、念頭に置いたスポーツがアメリカンフットボールとラグビーフットボールでどちらも冬のスポーツでしたので、オリンピック競技ではありません。


2. 自立しない組織

自立しない組織の代表例は野球とソフトボール、それにアメリカンフットボールです。これらの競技の特徴は「①攻撃と防御で完全に入れ替わる」、「②ヘッドコーチの指示が明確に飛ぶ」ことにあります。特に高校野球に顕著ですが試合中は監督の指示通りに動くことを求められます。また、乱闘以外に両軍入り乱れて何らかのアクションが起こることはありません。私はスポーツの専門家ではないのでなぜこのような形態をとるようになったのかわかりませんが、監督の指示は試合中に明確に選手に届きます。
企業経営で考えると、職務指示書に従って動く欧米企業によく見られます。また年功序列を好む企業からは体育会系人材を好む傾向にあります。特徴はボスの命令を絶対視する事です。役目が限定される中でボスの命令を絶対視することは組織運営が楽になります。その代わり、ボスに対しては負荷がかかります。選手経験と指導者経験に相関性がみられにくい特性があります。


3. 自立組織

これに対してヘッドコーチの指示が届きにくいスポーツとしてサッカーとラグピーフットボールを上げます。特徴は先ほどの組織と全く逆で「①攻撃と防御が入れ替わる」、「②試合中にヘッドコーチの指示がほとんど出ない」ことです。ラグビーに表裏はありませんし、サッカーは試合中に監督がいることができるエリアが限られていますので、試合中に選手に指示を出すことは限られます。
野球やアメリカンフットボールの場合は試合中にヘッドコーチの指示を正確に聞くことが求められるのに対して、サッカーやラグビーは試合中にヘッドコーチの指示が飛ぶことはほぼありません。ラグビーに至っては試合中にヘッドコーチスタンドにいます。試合中には自己判断を求められることが特徴です。従って、自己判断を的確にできるようにすることがヘッドコーチの仕事になります。


4. 自立組織にするには

さて、このように言えば自立的組織を求めるコーチが多くなりますが、自立組織に資するためには、プレーヤーに常に考えさせることが求められます。また、結果に対する責任はコーチよりもプレーヤーに求められます。自立しない組織はこの逆になります。ですからプレーヤーは責任を求められない代わりに指示に従うことが求められます。この中間として責任は選手に、判断はリーダーにというものもありますが、歴任と判断は一体のものですのでこのような組織形態は想定しにくいものです。

ですが、企業においては上位階層になればそれだけ判断が求められますから、プレーヤーの時から自分ならどのように判断するかを意識しなければ、急にリーダーはできません。このため、リーダーになるために常に自分で判断をすること、判断根拠を確認する事が求められます。この際に最初は野球型プレーヤーになり、その次にラグビー型プレーヤーにすることが大事です。こんなことを考えさせられた東京オリンピックでした。


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