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卑弥呼の“ひ”

しばらくnoteを書いてなかったので、久しぶりに書いてみようと思います。

私はSNSを目的などで使い分けていて、noteに関しては“文章を書くこと”、“言語について”など、“言葉関係”をテーマにしています。
noteを書いている余裕がないのは、映画のヘアメイクをするはずが、いつの間にやら制作チーム、共同監督に入っていたからで、今回これを書いているのも、映画のPRの一環です。
とは言え、言語学的な関心事が映画の中にあったのは事実で、自分の中のテーマから逸脱したものではありません。
と、前置きが長くなってしまいましたが、本題に入ります。

私達が作っている映画は、“卑弥呼の映画”です。
『THE HIMIKO LEGEND OF YAMATAIKOKU』というタイトルで、邪馬台国については畿内大和説を採っています。

なので、ロケは全て奈良県内で行っていて、公開後は奈良に観光客を呼び込めることを目標にしています。
ちょうど、インバウンドも戻りつつありますし。
トップ画像は、卑弥呼の墓とも言われる箸墓古墳ですが、こういう場所を、映画をきっかけに訪れる人が増えると、嬉しいですね。

まだ詳細をどこまで明らかにして良いか、というのがあり、説明が難しいのですが、脚本の中で「卑弥呼の“卑”という字」に触れています。
これは私も昔から気になっていました。
そもそも“卑弥呼”の名は日本の正史になく、『古事記』にも『日本書紀』にも登場しません。
唯一の記述は中国の『魏志倭人伝』。
いかに当時の中国から見て、倭国が辺境の小国だったとしても、一国の女王様に“卑(いや)しい”って字を当てる必要、あります?
“邪馬台国”だって、“邪(よこしま)”だし。
失礼にも程があるわ!と思いません?

恐らく魏で“卑弥呼”や“邪馬台国”と記述されたのは、当時の日本人がそのような発音で呼んでいたものに、当て字をしたからでしょう。
当時の日本人が文字を持たず、例えば魏に対して書簡を出すとか、日本人が自ら文字にしなかったためだろうと思います。
(『親魏倭王』の金印を授けるくらいだから、全く読めない訳ではなかったはずだけど)
“邪馬台国=畿内大和説”を唱える方は、“ヤマタイ=ヤマト”、日本人の発音する“大和”に対する当て字が“邪馬台”である、と主張するはずです。
それにしても“邪(よこしま)”ってなんだよ、他の字もあるだろうよ、と思いますね。
映画では“ヨコシマ問題”には触れていないので、ここで文句を言ってみました(笑)。

今回のタイトル“卑弥呼”の“ひ”については、映画の中で仮説を上げています。
出演してくださった某俳優さんも「それは考えたことなかったけど、“なるほどな!”と思ったよ」と仰ってました。
恐らくこの仮説は、多くの日本人の共感を得られるものと思います。
正史には登場しないのに、日本史の教科書には必ず登場する、謎の女王。
どういった文字で表現するのか、お楽しみに。

ところで“ひ”の発音について。
高校時代、古文の先生が
「ハヒフヘホ、の音は発音が難しくて、昔の人にはできなかった。
日本語の“ハ(ha)”は、古代は“パ(pa)”、もう少し時代が下ると“ファ(fa)”となっていた。
だから、古代人は“ははははは”じゃなく、“ぱぱぱぱぱ”と笑っていた」
という話をしていました。
ということは。
我らが卑弥呼様は?

“ぴみこ”。

…可愛い。
可愛すぎて、緊迫感、0。

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