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【英論抄読】脳震盪後のバランス障害

▼ 文献情報 と 抄録和訳

脳震盪後の子供と青年の姿勢の安定性の追跡:スポーツ関連と非スポーツ関連の脳震盪の比較

Çınar E, Grilli L, Friedman D, Gagnon I. Tracking postural stability of children and adolescents after a concussion: sport-related versus non-sport-related concussion. Turk J Pediatr. 2021;63(3):471-481.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景]
小児における脳震盪後の姿勢障害は古くから報告されているが、誰がよりバランス障害を呈するリスクが高いのか、また受傷機序(スポーツと非スポーツ)が脳震盪後のバランス障害にどのように影響するかについては、まだほとんど分かっていない。本研究の目的は、スポーツ関連(SRC)または非スポーツ関連(NSRC)の脳震盪を受けた子どものバランス機能を、整形外科的損傷(OI)および非損傷(NI)の子どもと、1年間にわたって比較することであった。

[方法]
本研究には112名の参加者が含まれる。そのうち38名が脳震盪を起こし、SRCが27名、NSRCが11名、NIが38名、起立耐性失調が36名であった。平衡機能は脳震盪後2週間、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月に評価され、対照群も同じ時期に評価された。姿勢不安定性の測定にはBruininks-Oseretsky Test of Motor Proficiency (BOT2) とTimed Foam Testのバランスサブテストを使用した。脳震盪関連症状は脳震盪後症状評価尺度(PCSS)により測定された。

[結果]
バランスビーム上でのタンデムスタンディング(P=0.02)とフォームサーフェス上での片足立ち(SL)には1年間で全グループに改善がみられた(P=0.02)。2週目には、NSRCはNIに比べ、目を閉じたバランスビーム上でのSLで姿勢の不安定さが見られ(P=.01)、フォームサーフェス上でのSLではSRC(P=.01)およびNI(P=.01)に比べ有意に成績が悪化した。また、NSRCはPCSSでSRCより多くの症状を訴えた(P < 0.001)。3ヶ月目においても、NSRCはSRCよりもフォームサーフェスでのSLにおいて低いパフォーマンスを示した(P = 0.01)。

[結論]
スポーツ以外で脳震盪を起こした子どもは、スポーツで受傷した子どもと比較して、受傷後3ヶ月までの姿勢不安定性が高いようである。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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✅私は時折メディカルサポートのスタッフとして野球やサッカーの試合に同行しており、脳震盪が生じた現場も経験したことがある。特にサッカーなどは競技特性上、脳震盪が起きうる場面が多くなってしまうだろう。
ただ、今回の結果は、スポーツ場面での脳震盪は、その後のバランス障害に有意な影響を与えないようだ。
何故、非スポーツ場面での脳震盪と違いが生じるのかは気になるところだ。仮説になるが、もしかすると、SRCとNSRCの群間には身体機能や脳血流量に有意差が生じているのかも、、、なんてことを思った。

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”脳震盪”に関しては、以下の記事が参考になるため紹介させて頂きます。

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