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【英論抄読】座り方と腰痛

▼ 文献情報 と 抄録和訳

座りがちなオフィスワーカーの腰痛とその座り方との関連性

Bontrup C, Taylor WR, Fliesser M, Visscher R, Green T, Wippert PM, Zemp R. Low back pain and its relationship with sitting behaviour among sedentary office workers. Appl Ergon. 2019 Nov;81:102894.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

✅ ハイライト
・64名の会社員を対象に、繊維製着圧マットを用いて座位行動を分析した。
・異なる座り位置の総合的な分類精度は90%であった。
・慢性腰痛のある被験者は、より静的な座位行動をとる傾向があった。

[目的]
座りがちなライフスタイル、座位行動と腰痛(LBP)の関係については、依然として議論のあるところである。本研究では、コールセンター従業員64名を対象に、腰痛と職業性座位習慣の関係を調査した。

[方法]
織物製圧力マットを用いて、合計400時間の座り方の評価とパラメータ化を行い、痛みに関する質問票により急性および慢性の腰痛を評価した。

[結果・結論]
参加者の75%が、慢性または急性の腰痛のいずれかを報告した。慢性腰痛のある人は、痛みのない人に比べて、より静的な座り方をする傾向が見られた(t-testは有意でない)。さらに、座り方と慢性腰痛の間には、急性腰痛の場合よりも大きな関連が認められ、これは、急性腰痛の人に比べて慢性腰痛の人の方が、痛みのない座り方をより意識しているためと思われる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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✅「立っているときよりも座っているときの方が痛い」と訴える腰痛患者は多い。人類の進化論を考えると、この現象はいわば常識的かもしれない。
今回の論文から分かることは、あくまで傾向ではあるが、腰痛がある人の方が、より”身体を固めた”座り方をしている、ということである。療法士が考えていく必要があることは、”何故、固めた姿勢をとっているのか”を評価していくことだと考える。先行研究にも以下のような報告がある。

個々の臨床症状に合わせた姿勢バイオフィードバックは、1回のセッションで腰部不快感を有意に減少させた。
O'Sullivan K, O'Sullivan L, O'Sullivan P, Dankaerts W. Investigating the effect of real-time spinal postural biofeedback on seated discomfort in people with non-specific chronic low back pain. Ergonomics. 2013;56(8):1315-25.

私たち自身の腰痛管理も含め、”座位姿勢”には注意していきたい。

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最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

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