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雨音

昔から、お家の中で聴く雨音が好きだ。 静かな部屋の中でしとしと鳴り響く音。 一定のリズム感。なぜか安心する。 車が走ると聴こえる水飛沫の音もいい。 豪雨は苦手。お出かけする日が雨だと悲しい。 しかし、お家でのんびり過ごす日は静かな雨音が聴きたい。それが恋しくなることもある。 雨音を聴きながら、 本を読んだり、ノートを書いたり。 珈琲を淹れて、その香りを堪能したり。 音楽はかけてもしっとりとしたクラシックがいい。 お家の中にいながら、自然のBGMが聴こえる。 日常が贅沢

    • 青の魔法(3)

      「もう会うのはやめよう」 繋いだ手を勢いよく振り払いながら、私は彼に言った。 今日で最後になる予感はしていた。 関係が終わる直前の空気とその匂いを知っている。 私にはそれがはっきり手にとってわかるくらい、愛する人と離ればなれになる経験を何度も繰り返しているから。 そして、終わりはいつだって同じだ。 少しずつ大切に積み上げてきたものを自らの手で壊してしまう。 この衝動を止めることは誰にもできない。 これからも一緒に居たい、と願いながら、 どうせいつか別れるのだから、とい

      • 青の魔法(2)

        (最初の物語は↑) 恋人のことが心の底から好きだった。 自分の夢や仕事よりも、彼女と一緒に過ごす時間が大切で、あの時の幸福で楽しい日々が忘れられず、別れてから何年もの間、きっとまた元通りに戻れるだろうと考えていた。 あの時、もし違う選択をしていたのなら。 この関係が終わることはなかったのかもしれない。 飲みかけのペットボトルをためる癖も、 料理をしたら洗い物をしないところも、 別れた後は、すべて愛おしいものだったと気づく。 俺の古い携帯には、今も元恋人との写真がたく

        • 青の魔法 (1)

          「動物園より水族館が好きなんだよね。」 「うん、私も。」 大きな水槽の中には、彼が好きだという鮫がいた。 鮫の歯並びは近くでみると想像するより牙が鋭くて、瞳はどんよりとしていて虚だった。 暫くすると、鮫は静かに水槽の底で眠りはじめた。 +++++ 私が彼と出逢ったのは、まだ真冬の寒さが残る東京の中心地だった。 彼とは、たくさんの話をした。 くだらない話も、過去の恋人の話も、今の仕事の話も、家族の話も、とにかく何でも話した。 私が住んでいた場所と彼の家が近いという共通

          インターネットは時々、距離感を見誤るツールだと感じます。一度も会ったことがないのに、仲良くなった気がする便利さと危うさ。頭を全く使っていないのに、使っていると思い込む可能性もありますね。本物と偽物の匂いがわからないと、みたものを事実と認識して環境や人に流され貴重な時間を失います。

          インターネットは時々、距離感を見誤るツールだと感じます。一度も会ったことがないのに、仲良くなった気がする便利さと危うさ。頭を全く使っていないのに、使っていると思い込む可能性もありますね。本物と偽物の匂いがわからないと、みたものを事実と認識して環境や人に流され貴重な時間を失います。

          好きなひとが幸せでありますように、それを本人に伝えることは毒にも薬にもならない。それは祈りでなければ意味がない。届かないことが前提でなければ美しくはない。気づいて欲しい、察して欲しい、気にして欲しい。それは祈りではない。お願い事だ。

          好きなひとが幸せでありますように、それを本人に伝えることは毒にも薬にもならない。それは祈りでなければ意味がない。届かないことが前提でなければ美しくはない。気づいて欲しい、察して欲しい、気にして欲しい。それは祈りではない。お願い事だ。

          私が年老いたら、海沿いの小さな街へ引っ越して、そこで小さな書店を営みたい。そしてある季節にしか書店を開かない、という気まぐれさを貫き、毎日売り物の本を読み耽っていたい。少し乱雑に積み重ねされた本の壁に囲まれて、お客さんに声をかけられるまで気づかない、そんなおばあさんになりたい。

          私が年老いたら、海沿いの小さな街へ引っ越して、そこで小さな書店を営みたい。そしてある季節にしか書店を開かない、という気まぐれさを貫き、毎日売り物の本を読み耽っていたい。少し乱雑に積み重ねされた本の壁に囲まれて、お客さんに声をかけられるまで気づかない、そんなおばあさんになりたい。

          あなたは幸福になるために目を閉じるのですか

          あなたは幸福になるために目を閉じるのですか

          音とリズムだけで、思ってもいないことを言葉にする不誠実なひと

          音とリズムだけで、思ってもいないことを言葉にする不誠実なひと

          みられることの恐怖を知らないひとは幸せだな

          みられることの恐怖を知らないひとは幸せだな

          僕は君のことをすきじゃなかった。そう、僕のことをすきな君だから都合がいいだけで。君はとてもわかりやすい人間だから楽だったんだよ。ただそれだけ。別にすきではないんだ。楽しいけれど面白くはないんだ。僕の話を嬉しそうに聞くひとなら本当は誰でもよかったんだ。これは嘘じゃないよ。本当だよ。

          僕は君のことをすきじゃなかった。そう、僕のことをすきな君だから都合がいいだけで。君はとてもわかりやすい人間だから楽だったんだよ。ただそれだけ。別にすきではないんだ。楽しいけれど面白くはないんだ。僕の話を嬉しそうに聞くひとなら本当は誰でもよかったんだ。これは嘘じゃないよ。本当だよ。

          僕は手に入らないものがすきだ。現実逃避の間は甘ったるい夢をみれるから。いつもそうだ、ないものにばかり執着してしまう。忘れたくないんだよ、本当は。僕はその掴みきれない苦しみだけを愛しているんだ。はじめから君のことはそれほど好きではないんだよ。これだけは、嘘じゃないよ。本当だよ。

          僕は手に入らないものがすきだ。現実逃避の間は甘ったるい夢をみれるから。いつもそうだ、ないものにばかり執着してしまう。忘れたくないんだよ、本当は。僕はその掴みきれない苦しみだけを愛しているんだ。はじめから君のことはそれほど好きではないんだよ。これだけは、嘘じゃないよ。本当だよ。

          ごめんなさい、あなたのことはそれほどでも。言葉を交わさなければ、会わなければ、簡単に忘れてしまうのです。物思いに耽ってあなたのことが忘れられない、なんてことはないのです。泣きながら縋りつく夢は日曜日のようなもので。月曜日はそのあと必ず来るのだから。

          ごめんなさい、あなたのことはそれほどでも。言葉を交わさなければ、会わなければ、簡単に忘れてしまうのです。物思いに耽ってあなたのことが忘れられない、なんてことはないのです。泣きながら縋りつく夢は日曜日のようなもので。月曜日はそのあと必ず来るのだから。

          終わりがあるから美しい

          終わりがあるから美しい

          喪失も獲得もなくて、事実のみだと思うな

          喪失も獲得もなくて、事実のみだと思うな

          不要なものに囲まれすぎて、何が必要なのかわからないなんてナンセンスすぎ

          不要なものに囲まれすぎて、何が必要なのかわからないなんてナンセンスすぎ