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Take-1:映画『フェイブルマンズ(2022)』は面白かったのか?──スピルバーグは試合に負けても勝負に勝つ──

【映画のキャッチコピー】
『夢を抱くすべての人へ』

〈最初の御挨拶〉 
😀どうも、ペイザンヌと申します。現在「N市」をねぐらとしている野良猫であります。

 これまでも他の場所で『あの映画は本当に面白かったのか?』と題し、映画に関することは書いてたのですが「note」で書くのはこれが初めです、少しばかり緊張しますね🫨

 こちら「note」のアカウントは実は6年くらい前から取得してたものの、なかなか一歩を踏み出せないまま、ようやく先日「note」デビューとなりました。

 とりあえず現在80本くらいの記事は未公開設定でストックしてありますので途中で断念する心配もしばらくないと思います🤭

 まだ右も左もよくわかっておりませんが、そのうち改善していきますので、何卒よろしくお願いいたします🙇

 基本、他の人ブログや記事などでよく見かけるスタッフやキャストの紹介などは書きません。
 必要ならば本文の方に盛り込みながら書き進めます。なぜなら──

めんどくさいからです❕

……じゃなくて(まあそれもありますが😅w)自分自身が他の方の映画感想を読む場合、あまり必要性を感じずスクロールすることが多いんですわ🙄

 それこそ鑑賞前に自分でwikiで調べたり、鑑賞後にパンフなどで見ることがほとんどだからかもしれませんが。

 替わりに前半に【キャッチコピー】、【作品の年代や舞台】、そして【原題】と【タイトルに隠された意味】などについて触れていこうと思っております😀

🙄やってみて少しわかったのですが、キャスト・スタッフを羅列するよりも、実はこの辺りを少し掘り下げた方が、より映画の内容に関わるヒント、また新たな角度からテーマやストーリーへのアプローチができることが多いな──と気付いたからです。

 後半の本文は素直な気持ちで書いた「あくまで個人的な」感想となります。エッセイ感覚でお気楽にお楽しみくださいませ🙇

 基本、そちらがメインになると思いますので、前半が必要ないよという方は飛ばしてください。

【作品の舞台】
アメリカ

(少年期)1952年~:ニュージャージー州シンシナティ
(青年期)1957年~:アリゾナ州フェニックス
(ハイスクール~カレッジ):カリフォルニア州サラトガ 

※主人公サミーが幼い頃初めて連れて行ってもらった映画館はオーフィウム(オルフェウム)劇場で撮影されてるみたいですね。

 オーフィウム劇場は1890年に建てられたアメリカ南部で最高レベルの劇場で、テネシー州メンフィスのダウンタウン、ビールストリートとメインストリートが交差する場所に建っております。

 タンバリン芸人のゴンゾーさんや、ゆりやんレトリィバァさんなど日本の芸能人もよく参加している公開オーディションのリアリティ番組『アメリカンズ・ゴット・タレント』もここで収録されてます。

 またサミーが高校シニアクラスの時、16㎜カメラで「Ditch Day(ディッチ・デイ)」という記録映画を撮るシーンはカリフォルニア州マリブのズマ・ビーチで撮影されてますね。

 この「ディッチ・デイ」とは何ぞや?──と映画を観て思った人もいるかと思われますが、実はアメリカは高校3年になると、卒業式の1周間前に「Senior Ditch Day」という日があり、その日には多くの生徒がズル休みをしてもいい日となっています。大手を振ってサボれるなんて羨ましいですねw

 本来「ditch」は溝、ドブなどの意があり、そこに隠れるようなイメージなんですかね「約束をスッポかす」といった時にも使うようです。

【原題】
『The Fabelmans』


 タイトルの意味・由来は本文中にて。


 さて皆様、よき映画ライフをお過ごしでしょうか?
 
 思わずホーム画像にスピルバーグ御大の『未知との遭遇(1977)』を貼ってしまったわけですが、おそらくボクが生まれて初めて映画館で観たのがスピルバーグ監督の『JAWS(1975)』。それこそ記憶もおぼろげなほど幼い頃でした。

 この作品『フェイブルマンズ』の主人公サミー少年が両親に連れられ、初めて劇場という場所で『地上最大のショウ(1952)』を観たように、やはりボクも兄に連れられ『JAWS』を観たわけです。

 まさに自分にとって「衝撃的な」体験であり、そしてその若きスピルバーグの出世作こそボク自身の映画の目覚めだったというのも何かの縁。

「怖い」「凄い」──それ以前におそらく、この映画の主人公サミー少年と同じく、巨大なスクリーンの前でただひたすら口をあんぐりと開けていたんじゃないのかなと思います。

 幼少の頃のサミー少年「怖がり」という点も共感を覚えます。
 ボクも映画館の「闇」がとても怖かった。

 はじめて一人で映画に行ってみようと思ったのは「懐かしのゴジラ大会」とかじゃなかったかな?w

 その中の『モスラ(1961)』がどうしても観たくて劇場まで足を運んだわけですがどうしても一人で中に入るのが怖くて、そのまま観ずに帰ってきた──なんてのも懐しい記憶。

 それからというもの、スピルバーグ作品と共に人生を歩んできたといっても過言ではありません。

 そんなスピルバーグの次回作が自伝的映画と耳にしたときは意外でもあり、「ああ、いよいよか」とも思いましたやね。

「どうせ私が死んだら誰かが撮るんだろ? 下手に撮られるくらいなら生きてるうちに自分で撮った方がいい」──なんて思ったかどうかは知りませんが、惜しげもなく本当に自ら撮ってしまったという。

 この作品だけは公開初日に、まだ手垢のついてないその一回目に、どうしても観ておきたく行ってまいりました。春に放映された『ルパン三世ZERO』のキャッチコピーを借りるならば「世界的巨匠がまだ何者でもなかった頃の物語」ってやつですあります。

 一言で言うなら「“粋”な映画だなぁ」と思いましたね。

 無理くり、お涙や感動を誘うわけでもないところにまた「自らの自伝を描く」ことに対しどこか「照れ」のようなものすらあるように感じましたね。

 後の『激突!(1971)』や『シンドラーのリスト(1993)』を思わせる場面や、はたまた『インディジョーンズ/最後の聖戦(1989)』の冒頭、リバー・フェニックス演ずる少年インディがボーイ・スカウトの最中、墓泥棒との初の争奪戦を繰り広げるシーンなんかも頭に思い浮かんだり……とはいえ、それでもあくまで匂わせ程度。

 自分の過去作品のオマージュをこれ見よがしに、安っぽくわちゃわちゃ出したりしないとこも余裕を感じさせます。

 逆にそういうのがあまりないところが気に食わなかった──なんて話もよく見かけますけどねw

 なんか「ああ、ぽいわ~」と大満足。

 当然スピルバーグの自伝的映画ではある……のですが、「ああ、つまりコレはアレだね」とピンときます。

 宇宙人こそ出ないものの、まさにこの作品自体が『E.T.(1982)』の前日譚とも、また続編とも言える作りというか。

映画ETのワンシーン
allcinema.net

 サミーの母親役ミシェル・ウイリアムズが『E.T.』のエリオット少年の母を演じたディー・ウォーレスとどうしても重なりますね。

 思わずカッとなったり感極まって泣いちゃったりするどこか気性の不安定さを思わせる女性。髪型や容姿もどことなく似ております。やっぱ母親の面影は変わらないんだな~と。

 サミーの父親を演じたのポール・ダノもとても好きな俳優の一人です。

 昨年『ザ・バットマン(2022)』でのリドラー役も記憶に新しいですが個人的にはポール・トーマス・アンダーソン監督の『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007)』の少し狂気を孕んだあの田舎牧師役で虜になりましたね。彼はいつかどこかで必ずアカデミーを穫るのではないかと密かに期待しています。

 やはりスピルバーグは「演出の人」でありちょっとしたシーンとシーンの繋ぎ方や、シーンの導入部──などなど「どう見せるか」に血肉を注いでるのが至るところに見受けられ、そのへんも見てて飽きさせません。

 ラストでデビッド・リンチ演ずるジョン・フォードの言葉もまたいいですやね。

その壁にかかった絵を見ろ。絵の地平線はどこにある? 地平線を撮るなら上か下に置け。真ん中じゃ面白くない

 何をどんな風に見るか。
 ほんのちょっとだけ他の人と違った角度や目線で見れるか──それこそがクリエイターとして、また一人の人間としても人生を魅力的で豊かにする秘訣なのかもな……

 そんなことをエンドクレジットの間ずっと考えておりました。これもまた映画史に残る「名台詞」の一つになることでしょう。


 もしスピルバーグの死後、誰かが彼の自伝映画を撮ったなら、ジョン・ウィリアムスぽい音楽のかかる中、しっとりと感動的に終わらせたかもしれません。

 しかしスピルバーグはそれと裏腹にアップテンポでサミー少年が意気揚々と──まるでチャールズ・チャップリンの映画のラストのごとく、後ろ姿で跳ねながら歩いていく──そんなラストを選びました。

これから何を撮ったらいいのかわからなくなってきている

 先日そんな弱気な発言をしているスピルバーグ御大の記事をどこかで目にもしましたが、そんな自分を「まだまだやれる!」と鼓舞している、そんな風にもボクは思えました。

『フェイブルマンズ』というタイトルですが、「fabel」にはまず寓話という意味もありますが、由来については「Drama&Movie」にて、こんなことが書かれております。

事実を寓話に変えていくにあたり、登場人物である自分をサミー、母をミッツィ、父をバート、3人の妹をレジー、ナタリー、リサと名づけたのだが、“fabelman”という言葉を思いついたのはスピルバーグではなくトニー・クシュナー(共同脚本兼プロデューサー)だった。

 スピルバーグと題材との関係を考慮しつつ、劇作家や演出家が戯曲をよりよく理解してもらうために、その解釈を強調して書いた「戯曲の要約」を表す“fabel”という演劇用語に行きついたのだとか。

oricon.co.jp

 超ど〜でもいい余談ですが冒頭で『モスラ』の話をしましたが、『モスラ』といえばザ・ピーナッツこと「小美人」が住むインファント島。実は「幼児」を意味するこの”infant”と”fable”は同じ語源──ラテン語の”fábula“から来てる──とされております。なんか意外なとこで繋がりましたねw

 まあ寓話や伝説を読んで聞かせるのは幼児ですからね〜

 さて、そのスピルバーグの次回作はスティーブ・マックイーンが主演した『ブリット(1968)』のリメイク……というよりも、ブリットというキャラを主人公に置いたアクションサスペンス、その次はなんとホラー映画の企画も進行しているらしいので、「まだまだ頑張って!」ほしいところです。



【追記】

スティーブンスピルバーグ監督の近影
映画.com

 これを書いてる最中、ちょうど2023年のアカデミー賞が発表されてました。

 惜しくも『フェイブルマンズ』は作品賞及び監督賞を逃し、ミシェル・ウイリアムズも主演女優賞ならずでしたが『エブリシング・エブリウェア・オールアット・ワンス(2022)』で助演男優賞に輝いたキー・ホイ・クァン、そして彼にオスカーを渡すハリソン・フォードも飛び入り参加。

オスカー像を握るキーホイクァン
映画.com

 戦友インディアナ・ジョーンズと栄光を掴んだショート・ラウンドが舞台上で抱き合う姿をスピルバーグが眺めていたかと思うとそれはそれで結局『フェイブルマンズ』のストーリーの続きのように思えます。

(さらにそのハリソン・フォードといえばつい先日、最新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023)』のお披露目となったカンヌ国際映画祭で、生涯功労賞にあたる名誉パルム・ドールをサプライズ授与されました。感極まって思わず涙ぐむハリソンの姿も見受けられましたね)

 アカデミー受賞はならずとも、こちらもまた『フェイブルマンズ』のエピソードのひとつ、あの映画の後日談なのだと思うと「試合に負けて勝負に勝つ」──そういう意味においては「完全勝利」なのかもしれませんやね。

 では皆様、また次回に。

 https://youtu.be/0MgFAcCjdvo


【本作からの枝分かれ映画9選】


フェイブルマンズ』 ブルーレイ+DVD(ミニポスター付) [Blu-ray]


地上最大のショウ』 [DVD]


未知との遭遇』/ファイナル・カット版』 (1枚組) [AmazonDVDコレクション] 


モスラ』 [東宝DVD名作セレクション] 


激突!』スペシャル・エディション [DVD]


シンドラーのリスト』 スペシャル・エディション [DVD] 


インディ・ジョーンズ 最後の聖戦 』[DVD]


E.T.』コレクターズ・エディション [DVD]


THE BATMAN-ザ・バットマン-』 [DVD] 


ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 [DVD]




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