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ギターオーケストラに飛び入り参加したのです。

ギターの発表会に飛び入り参加してきた。

私の母親の知り合いが通っているギター教室の生徒集団で編成される「ギターオーケストラ」という演奏形態での発表で、あと数人分の音量が足りないから加勢してくれないか、と発表会当日の2週間前に我々親子に声がかかったのだ。

以前、私が人前でギターを弾き語りしたことについて書いたことがある。

ギターについては、子どもたちを連れていく夏のキャンプのキャンプファイヤーで弾けるようにと、フォークギターを少々かじったことがある程度の腕前でしかないと自分では思っているので、人前で弾くことについての自信はあまりないのだが、周りの人の伝聞による様々な修正がかかって、それなりに出来る奴だと思われてしまっていることに少々困っている。

しかし、今回は「ギターオーケストラ」という形態で集団でギターを弾くわけだから、多少ミスしても大きく目立つことは無いだろうし、初めてやることだから面白そうだし、経験として出てみようかな、と思ったので、スケジュールを確認して2つ返事で出演を決めた。

早速練習に行って楽譜を渡されると、基本的なコード弾きの譜面が続いていて、それなりに存在感のある音を要求されるパートであることがわかった。

その事実に困惑しつつも、その1時間の練習でできるところまで何とか習得しようと、一部難易度の高いところをギター教室の先生(男性でたぶん私よりも若い)に教えてもらって、ある程度何とかなりそうな雰囲気を感じることができるところまで持っていった。

しかし、当日まで全員が集まって練習できるのは毎週の土日のみで、しかも私は当日以外の予定がほぼ埋まっていたから、参加できるのは前日リハと当日のみだった。

ある程度は弾けるにしても、久しぶりに弾くと、やはり弦を押さえる指が先にやられてしまう感覚がある。通常のギター弾きは日常的に弦に触っているから、指の皮が厚くなって慣れてくるのだろうが、ブランクがあるとそれを取り戻すのが大変なのだ。

当日までの2週間、その指の皮問題だけでも何とかするために、寝る前に10分間は大きな音を出さないようにして弦を押さえる練習を毎日やった。1曲が比較的長いので、通して練習すると時間がかかってしまうこともあって、演奏そのものに関してはほとんどイメトレで臨むことになった。

前日リハの日、会場に向かう車内で演奏曲の音源を徹底的に聞き込み、どのタイミングで何をするかを覚えた。結果的に、ほぼ楽譜を見ずに暗譜したことになる。

前日リハでは、ほぼほぼ初対面の人たちに囲まれながら、何とか演奏に食らいついた。

そして迎えた当日。それまで会場の大きさを考えることすらも忘れて参加していたが、会場に到着すると、キャパ約1000人くらいのホールであることが分かった。想像していたよりもかなり大きい会場に困惑したが、不思議と緊張はしなかった。

それはおそらく、自分にとっての責任がいい意味で少なかったからだ。飛び入り参加だし、オーケストラだし、根詰めて練習したわけではないがある程度弾ける自信があったからだ。

舞台に上がって演奏が始まると、周りのメンバーの音を聞きながら、指揮に合わせて自分も音を出していく。

これまで私は集団の中で音楽をすることがあまりなかった。基本的にはピアノをソロで弾くか、合唱の伴奏をするかであって、集団の一員として音を出す経験が無かったので、とても新鮮な気持ちだった。

この気持ちについて振り返って冷静に考えると、「嫌いではないが、積極的にやるほどでもない」と感じた。

それはおそらく、私が1人でスポットライトを浴びるのは心地よくないし、集団の一員として紛れてしまうこともあまり好きではない、という我儘な性質を持っているからだと思う。集団の中である特別な役割を持っていたいが、大きな光を浴びずに役割を果たす方が好きなのである。

こういう音楽演奏の経験からも、自分自身についての認識が深まることがあるのである。

終了後、教室の先生や周りのメンバーから、是非今度も出てくれないか、と言われてしまった。

また出てもいいかな、という気持ちが無いではないし、ギターを上達させることに確かに興味はあるが、私の人生においてそれがどれだけ優先順位の高いことなのかを冷静に判断する必要はあるな、と思った。

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