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わからないことはわからないのです。

私は仕事柄、「リスク」という概念と日々付き合っている。

リスクというのはあくまで人間が創り出した概念であって、自然界に具体的な事物として客観的に存在するものではない。だから、その概念を使うことで何か人間の役に立つのであれば使った方がいいし、そうでないなら別にわざわざそんな概念を考える必要もない、ということになる。

しかし「リスク」という言葉は、我々専門分野に関わる人間のみならず、現代社会において一般用語として広く使われ浸透している言葉の1つであるから、おそらく何らかの概念を表現したり伝えたりすることに便利な言葉なのだろう。

では、人々の間ではどういう感覚や概念を伝えるために「リスク」という言葉が使われているだろうか。

「リスク」と聞いて連想される言葉やイメージとしては、例えば我々の専門分野で言うと「危険性」「事故」とか、もう少し一般的には「安全ではないもの」「怖いもの」とか、分野によってはもっと別のイメージが想起されるかもしれない。

「リスク」は、分野や領域を問わず、あらゆる場面で使われる可能性がある言葉だから、統一的な定義を定めるのが大変難しい言葉である。

一応、組織のリスクマネジメントの方法論を統一的に定めたリスクマネジメント規格の中では、リスクは「目的に対する不確かさの影響」と定義されている。リスクという概念を「何らかの目的を達成するための道具」として使うことによって、組織の意思決定に役立てることができて便利だから導入している、という立場である。

この定義の中には、「目的」「不確かさ」「影響」という3種類の名詞が出現する。

この中でも、他の言葉に比較して特徴的なのが、「不確かさ」という言葉だろう。

「リスク」について真剣に考えを深めていくと、自ずと「不確かであること」とか、「わからないこと」と徹底的に向き合うことになる。これを何年も続けていると、半ばヤケになったように「わからないことはわからないんだよ」と言いたくなる気持ちにもなってくるのである。

こうした「わからなさ」というものを、ネガティブなイメージが既に貼り付いてしまっている「リスク」という言葉ではなく、もっとポジティブに捉えられるキャッチーな言葉で表現できないだろうか?ということを考えたりもしている。

読者の皆さん、何かお知恵をお貸しいただけませんか?

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