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びっくり!インドネシアの赤ちゃんとの出会い、そして気づいた「観察眼の磨き方」 ~ピープル赤ちゃん研究所通信③~『ピートラ』Vol.68

ピープル赤ちゃん研究所のきむらです!

私たち赤ちゃん研究所は、ピープルが、赤ちゃん・子どもの好奇心をはじけさせるおもちゃを作るために最も大切にしている「赤ちゃん観察」の手法を、社会に広めることを目的に活動しています。

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赤ちゃんと「味噌こし」に学ぶ⁉ウェルビーイングな働き方~ピープル赤ちゃん研究所通信①~『ピートラ』Vol.64

「赤ちゃん・こども観察」を仕事にしているということで、いわば「観察のプロ」と言ってもらうこともあります。
活動の中で、「観察のプロ」として自信を持てるよう、もっともっと赤ちゃんへの観察眼を磨きたい!!という気持ちが芽生えた私たち赤研メンバー。赤ちゃん観察の視野を広げるために、このたび、インドネシアに行って参りました!!


なんでインドネシア?!!


観察の視野を広げるために……と書きましたが、もう少し詳しくお伝えします。

2022年10月から、本格的に「ピープル流赤ちゃん観察視点」を伝えるためのワークショップを始めた赤ちゃん研究所。
ワークショップは、ママパパにわが子の観察をしてもらうだけではなく、私たちにとっても、個性豊かな赤ちゃんを観察させてもらえる大切な場です。

1年後の2023年10月には、初めての主催イベント「教えて!赤ちゃんフェスティバル」を開催し、こちらには140名以上の赤ちゃんにご参加いただき、このフェスと、ワークショップとを合わせて、約1年半でのべ300人以上の赤ちゃんを観察させてもらいました。

それまでも、商品企画担当だった私は、モニターテストでたくさんの子どもたち、赤ちゃんたちに会っていました。でも、いままでの商品開発プロセスでの観察は、テストしたいおもちゃの試作があって、「どんなふうに遊ぶかな?」「ここを少し変えたら、より夢中になってくれるかな?」など、その商品についての仮説を確かめることが主な目的でした。

赤ちゃん研究所でしているのは、今までのモニターテストとは少し違って、「好奇心のまま自由に遊んでいる赤ちゃんを観察する」こと。これをたくさん経験できたことそのものが、赤ちゃんの好奇心を誰よりも観察できた! と大きな自信になりました。

さらに、赤研のワークショップやイベントで観察していると、予想外のアイテムが赤ちゃんに大人気なことに気づいたり、同じ「なめる」動作にも、赤ちゃんによっていろんな方法があることを見つけたり。試作を一つ遊んでもらうだけでは見えなかった「赤ちゃんの好奇心」に関する新しい発見にあふれていて、赤ちゃん観察の奥深さ、楽しさが、観察を1回1回重ねていく中でどんどん膨らんでいきます

一方、基本的に同じ場所、同じやり方で赤ちゃんを観察を重ねていると、赤ちゃんの行動にある程度予想ができるようになっていきます。それは、「多くの赤ちゃんが好きなものをよく知っている証拠」という良い一面もあれば、「慣れたことにより、赤ちゃんの好奇心に対する新鮮な驚きが少し減ってしまう」というちょっとマイナスな一面もあるんじゃないかな、と思うように。

「観察のプロ」と言っていただくことも増えただけに、観察に対して「慣れ」が出てくることは、好奇心への気づきのアンテナが鈍くなってしまうのではないか、と少し怖いことでもありました。


ほかの赤ちゃん研究所メンバーも同様に感じていて、どうしたら経験による知識を増やしつつ、常に新鮮な気持ちで赤ちゃんを観察できるようになるだろうね、と議論した結果、「あまり先入観を持たずに、日本の多くの赤ちゃんとは異なる環境で育つ赤ちゃんを観察させてもらおう!」と決めました。

また、最近、メディアに取り上げていただいたり、ウェルビーイングアワードで賞をいただいたりと、日本では少しずつ「ピープル流赤ちゃん観察視点」がみなさんに伝わっていく実感が出てきたところ。

赤ちゃん観察で好奇心を見つけることのおもしろさが伝われば、そのままピープルのおもちゃの価値が伝わるということでもある、と考えていたので、ピープルの価値を広げるためにも、言語・文化の違う育児者のみなさんに、「赤ちゃん観察」のおもしろさをどうやって伝えるか、どこまで伝わるか、ということも確かめたくて、海外の赤ちゃんを観察させていただくことにしました。

(対象をインドネシアにしたのは、ピープルの海外販売チームがご縁をつないでくれたことがきっかけでした!)


インドネシアでの赤ちゃん観察による気づき


インドネシア滞在中は、主に以下を行いました。

  • 赤ちゃんのいるご家庭に訪問

  • 赤ちゃん観察ワークショップの開催(2か所)

  • 孤児院への訪問

これらの活動を通し、会ってきた赤ちゃんは、0歳代だけでも80人以上。

ワークショップの様子。たくさんの赤ちゃんに来ていただきました!

渡航前は、「赤ちゃんは忖度なく、自分の好奇心に対してとても正直に行動する」ということは変わらなくて、好奇心を発揮する様子、行動は、育っている文化や環境にはまだ影響されておらず、日本の赤ちゃんと同じ感じなんじゃないかな、とみんなで予想していました。

でも実際に出会った赤ちゃんを観察してみると、予想外の気づきがありました。インドネシアで出会った赤ちゃんを観察で得た最大の気づき、それは、「インドネシアの赤ちゃんは、『まずは動かず、じっくり観察する派』が多いかも…?」ということです。

例えば、私たちがワークショップで使用している「赤ちゃんすきすきモビール」。

赤ちゃんすきすきモビール

どの赤ちゃんも必ず好きなものが見つかる、というコンセプトで、いろいろなアイテムをぶら下げています。

普段ワークショップをしている日本では、モビールを出すと、個性によって幅はあれど、目の前に来たものや、自分の好きなものにすぐ手を伸ばして触りたがる赤ちゃんが多い印象です。

インドネシアの赤ちゃんは、手を伸ばして触る前に、まずは目の前に来たものを「じっ」と見つめて目で観察する様子が多く見られました。しばらくして、これ! というものが見つかったらようやく触ってみる、とか、少し時間が経って見慣れてきたらいろいろ触ってみる、という子が多かったように思います。

インドネシアのご家庭訪問の様子
お母さんのひざの上から、モビールをじっくり観察しています


好奇心を持つアイテムは同じでも、好奇心の発揮のしかたが、私たちが今まで日本での観察から培ってきた「赤ちゃんはこういうもの」のイメージに対して大きな違いがあり、ものすごく驚きました。

どちらの国についても、赤ちゃんの個性やその日のコンディションにもよるので、みんながみんなそう、と断言したいわけではありません。もちろん、どちらが良いというわけでもありません。

でも、今までの観察経験から持っていた「世界中どこでも赤ちゃんはみんな同じように好奇心を発揮をする」という想定は勝手な思い込みだった! と気づかされたとともに、「観察者として大きなステップアップ」と感じました。

日本の赤ちゃんとインドネシアの赤ちゃんの、好奇心の表し方の違いは、やはり生活している環境の違いかなと思っています。

インドネシアでは、赤ちゃん一人に対し、ママパパ・おじいちゃんおばあちゃん、近所の大人やお兄さんお姉さんたち、おうちによってはシッターさんなど、大人の手がたくさんあり、赤ちゃんは常にだれかに抱っこされているようでした。必然的に、あまり動かずにいろんなものを見ていたり、興味を示したものを取ってもらう、といった過ごし方をしているのではないかな、という仮説を持っていますが、それらも確かめていく予定です。

赤ちゃんは根源的な存在、というだけでなく、環境に合わせていく力が想像以上に強いんだ、と大きな気づきを得た貴重な体験でした。

慣れてくると、興味のあるものに手を伸ばし始めます


インドネシアでの活動を通して気づいた、「観察のプロ」像


今回のインドネシアでの赤ちゃん観察を通して、私なりに「真の赤ちゃん観察のプロ」像が出来た気がします。

観察のプロとは、何でも知っている人、ということではなく、観察視点を常に増やしていける人ではないかと思います。
どんなに観察してきていも、想定外のことは必ず、そして無限にあるということを自覚することが大切。さらに常にその想定外を、自ら飛び込んで探して、自分の中の赤ちゃん像をアップデートしていくことがで、観察者としてどんどん成長できると感じます。

ここまで考えて、知らないことがあること自体にワクワクしたり、知ることで驚きたい、という意欲……それって、ずばり好奇心だ!!!! ということに気づきました。

観察のプロとは、好奇心を持ち続けるプロでもあるんですね。

ピープル赤ちゃん研究所は、「赤ちゃん観察」で価値(利益)を生み出すことが最大のミッション。すぐれたアウトプットを生むためにも、今回のように、好奇心を全開にして、あえて未知の世界に飛び込んでみて、観察眼=インプット力を磨いていきたいと思います!!

赤ちゃん研究所の今後の活動にとって、大切なことに気づかせてくれた、インドネシアの赤ちゃんたちと保護者の方、訪問を受け入れ、アテンドしてくださった方、関わってくださったすべてのみなさんに、お礼申し上げます。
本当にありがとうございました! Terima kasih banyak!

ワークショップに来てくださった赤ちゃん、保護者、スタッフのみなさんと

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