赤飯1

超短編『赤飯』

「ママ、今日赤飯なの?」
「そうよ。」
ママは刺身用のブリでブリの照り焼きを作ろうとしていた。

「今日はお祝いなの?」
「ううん、何にもよ。」
僕は刺身で食べたかったけど、それなら白米が好きだ。

「赤飯って普通だとお祝いの時食べるらしいよ?」
「毎日がお祝いでいいじゃない。」
ママはゴマ塩をかけることを忘れたくないらしい。ずっと口ずさんでいる。

「でも。」
「なに?」
「でも。」
「でも、なに?」
「何でもない。」
「あら、普通じゃないみたいね。」

どうやら僕が普通じゃなかったみたいだ。



2019/8/3