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物語【絶望への秒読み】番外編②

物語【絶望への秒読み】番外編②

僕が小学2年生の時に伊賀咲家はこの町に引っ越して来た。伊賀咲夏陽に出会ったのはその時だ。

第一印象はしゃべらない暗い感じの女の子だった。夏陽とは同じクラスだったが、当初不登校になっていて、学校には来ていなかった。

僕は時々、夏陽の家に様子を見に行っていた。

夏陽ー!遊ぼー!

僕が夏陽の家の前で叫ぶと、おじさんがいつも謝りにくる。「太洋君ごめん。今日も調子が悪いみたいなんだ。。。。」僕は仕方

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物語【絶望への秒読み】最終話

物語【絶望への秒読み】最終話

半年ぐらい経ったある日、いきなりシェルター内にスマホの着信音が鳴り響いた。

食料や飲み物が尽きかけ、僕達はぎりぎりの生活をしていた。死を覚悟したこともあるが、好きな人と過ごせた半年間、僕は神様に感謝すらしていた。

着信画面を見た僕は驚いた。

慌てて出ると懐かしい声がした。

「手短かに話す。話終わったら電源を切るんだ。」

父さんと母さんは!

「、、、、分からない。今、家か?」

あぁ。

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物語【絶望への秒読み】第十三話

物語【絶望への秒読み】第十三話

あれから1週間が経った。

ドアは相変わらず開くことなく、スマホも繋がらない。さすがに何かあったと僕達は思っていた。

せめてもの救いはパールが一緒にいたことだ。たまに変な行動で僕達を笑わせてくれた。

「どうなるのかな。。。お父さん達に何もなければいいけど。」さすがに夏陽も不安になってきたようだ。

とりあえず、待つしかないか。。。何かないかな、遊べるもの。

パールのおもちゃばっかりだな。おっ

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物語【絶望への秒読み】第十ニ話

物語【絶望への秒読み】第十ニ話

僕と夏陽がシェルターに入った直後、父さんとの通話が途切れ、ドアは開かなくなった。

外で何か起きたのか。ただの通信障害なのか。隕石の衝突が早まった?僕の脳裏に不安がよぎる。

「大丈夫。明日になればドアが開くよ。」夏陽が言った。

そうだな。そうだけど。

「さすがに隕石が落ちたら、音とか衝撃とかあると思わない?」

確かに、そうか。

しばらく沈黙が続いたあと夏陽が話し始めた。

「お母さんが病

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物語【絶望への秒読み】第十一話

物語【絶望への秒読み】第十一話

「お前達準備はいいか!」

あぁ。「はい。」僕と夏陽は覚悟を決めた。

「念のため、今夜のうちにシェルターに入ってもらう。明日、隕石の影響がなければドアを開けるからな。」父さんは大きな声で言った。

「はい。これ。」母さんが食べ物を用意してくれていたみたいだ。

「ありがとうございます。」と夏陽は頭を下げる。

「ケータイも繋がるからいつでも話はできるぞ。」「パール!」「ワン!」「頼んだぞ。」父さ

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物語【絶望への秒読み】第十話

物語【絶望への秒読み】第十話

家族全員で食べる最後の食事になるかも知れない。僕はそんなことを考え、食事があまり喉を通らなかった。

「おい太洋、全然食べてないじゃないか。最後の晩餐になるかも知れないんだぞ。母さんの手料理もしばらく食えないぞ。」父さんはデリカシーがない。最後の晩餐。思っていても普通は口にしない。

「最後になんてなるもんですか!ねぇみんな!」母さんが父さんの頭を叩きながら言った。父さんは頬張っていた唐揚げを吐き

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物語【絶望への秒読み】第九話

物語【絶望への秒読み】第九話

隕石が落ちる事を事前に知っていた父さん達は、家の地下にシェルターを作っていた。ただし、家族全員は避難できない。そこで夏陽の父親と相談し、僕と夏陽の二人をシェルターに避難させようと考えた。当然、僕と夏陽は納得できない。

「シェルターにはお前達二人が避難して、生き延びて欲しい。これが父さん達の願いだ。」

いや、いきなりそんなこと言われても。別にみんなで避難すれば。

「それが俺の手違いで、二人しか

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物語【絶望への秒読み】第八話

物語【絶望への秒読み】第八話

去年おばあちゃんの告別式で、久しぶりに夏陽を見かけたが、おばあちゃんを失った喪失感もあり声もかけられなかった。喪服姿の父さんと母さん、伊賀咲家の二人が集まって話をしている。

「おばあさんには僕らも大変お世話になりました。小さい頃から夏陽もよく面倒を見てもらって。。生前にきちんとお礼ができなくて申し訳なかったです。。一言でもありがとうと言いたかった。。。」と夏陽の父親が涙ぐみ父さんに頭を下げている

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物語【絶望への秒読み】第七話

物語【絶望への秒読み】第七話

伊賀咲夏陽。僕が連絡を取ろうとしていた相手だ。同じ年の幼馴染。小中高と同じ学校に通っていた。高校を卒業して別々の進路へ進み、最近は連絡も取っていなかった。この終末が迫った今、なぜ脳裏に彼女の姿が浮かんだのか。その理由は明らかだ。僕は彼女の事が好きなんだ。

小学生の時はよく一緒に遊んでいた。中学になるとそれぞれ別の友達ができて、少しずつ距離ができた。高校生になった僕は夏陽の事が好きだと気づいたが、

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物語【絶望への秒読み】第六話

物語【絶望への秒読み】第六話

明日、隕石が落ちることを父さんはかなり前から知っていた。

「厳密に言うと正確な日時、どの辺りに落ちるかまでは分からなかった。」

それから聞いた父さんの話は信じられない内容で、まるで作り話のように聞こえた

十数年前のある日、世界中の一部の家庭にある手紙が届いた。そこには「数年後、地球に隕石が衝突する」と書かれていた。最初は信じていなかったが、その後手紙の中に書かれていた災害や紛争が現実に起きた

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物語【絶望への秒読み】第五話

物語【絶望への秒読み】第五話

"パール"は13歳になる雌のトイプードルで、人間で言ったら70歳くらいかな。おばあちゃんによく懐いていて、今では本当のおばあちゃんみたいに家族を見守っている。おばあちゃんが亡くなった時も僕はパールに慰められて、最近やっと立ち直ることができた。

少し面食らってリビングへ行くと、ふだんと変わらない母さんがそこにいた。

「おかえりー。」

父さんは?

「いるよ。」

何してるの?

「これからコー

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物語【絶望への秒読み】第四話

物語【絶望への秒読み】第四話

共働きで忙しい両親の代わりに、僕の面倒をよくみてくれたおばあちゃん。

大好きなおばあちゃんが亡くなったのは、去年の夏のことだった。

最後は僕のことも分からなくなっていたけど、笑顔で手を握ってくれた。

僕の口からは自然と『ありがとう』という言葉が漏れていた。

覚悟はしていたのに、大好きな人との別れは本当に辛くて涙がとまらなかった。あとは悲しすぎてあまり覚えていない。

あれから1年。ヤバいこ

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物語【絶望への秒読み】第三話

物語【絶望への秒読み】第三話

世界に終末が訪れたら、人間の本能が生き残りを優先し、愛する家族すらも忘れさせる。

でなければ、この瞬間にあの子の事を考えるはずもない。

僕は終末を前に、家族を差し置いてあの子の顔を思い浮かべてしまった。

自分でも愚かだとは思うけど、生物としての本能が勝ってしまうのかもしれない。

抑えきれない罪悪感と興奮が混じり合い、気づいたら僕はあの子にLINEを送っていた。

世界が終末を前にして混乱し

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物語【絶望への秒読み】第二話

物語【絶望への秒読み】第二話

「今日会えて良かったよ。」と友人は笑った。

その笑顔に僕はとても嬉しい気持ちになる。

「ありがとうな。生きてたらまた会おう。」僕も大きく頷き返す。

友人との別れと終末の恐ろしさが重なり、自然と涙が溢れてくる。

「泣いてんの?」

泣いてねぇ!こっちこそ!

強がりを言いつつも涙が溢れることもある。

「ん?」

ありがとうございます!

「なんで敬語?やっぱ、お前はおもろい。」友人は腹を抱

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