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ペルペル
2023年10月13日 13:02
僕が小学2年生の時に伊賀咲家はこの町に引っ越して来た。伊賀咲夏陽に出会ったのはその時だ。第一印象はしゃべらない暗い感じの女の子だった。夏陽とは同じクラスだったが、当初不登校になっていて、学校には来ていなかった。僕は時々、夏陽の家に様子を見に行っていた。夏陽ー!遊ぼー!僕が夏陽の家の前で叫ぶと、おじさんがいつも謝りにくる。「太洋君ごめん。今日も調子が悪いみたいなんだ。。。。」僕は仕方
2023年10月2日 13:00
半年ぐらい経ったある日、いきなりシェルター内にスマホの着信音が鳴り響いた。食料や飲み物が尽きかけ、僕達はぎりぎりの生活をしていた。死を覚悟したこともあるが、好きな人と過ごせた半年間、僕は神様に感謝すらしていた。着信画面を見た僕は驚いた。慌てて出ると懐かしい声がした。「手短かに話す。話終わったら電源を切るんだ。」父さんと母さんは!「、、、、分からない。今、家か?」あぁ。
2023年10月2日 12:36
あれから1週間が経った。ドアは相変わらず開くことなく、スマホも繋がらない。さすがに何かあったと僕達は思っていた。せめてもの救いはパールが一緒にいたことだ。たまに変な行動で僕達を笑わせてくれた。「どうなるのかな。。。お父さん達に何もなければいいけど。」さすがに夏陽も不安になってきたようだ。とりあえず、待つしかないか。。。何かないかな、遊べるもの。パールのおもちゃばっかりだな。おっ
2023年10月2日 12:16
僕と夏陽がシェルターに入った直後、父さんとの通話が途切れ、ドアは開かなくなった。外で何か起きたのか。ただの通信障害なのか。隕石の衝突が早まった?僕の脳裏に不安がよぎる。「大丈夫。明日になればドアが開くよ。」夏陽が言った。そうだな。そうだけど。「さすがに隕石が落ちたら、音とか衝撃とかあると思わない?」確かに、そうか。しばらく沈黙が続いたあと夏陽が話し始めた。「お母さんが病
2023年9月29日 12:55
「お前達準備はいいか!」あぁ。「はい。」僕と夏陽は覚悟を決めた。「念のため、今夜のうちにシェルターに入ってもらう。明日、隕石の影響がなければドアを開けるからな。」父さんは大きな声で言った。「はい。これ。」母さんが食べ物を用意してくれていたみたいだ。「ありがとうございます。」と夏陽は頭を下げる。「ケータイも繋がるからいつでも話はできるぞ。」「パール!」「ワン!」「頼んだぞ。」父さ
2023年9月29日 12:34
家族全員で食べる最後の食事になるかも知れない。僕はそんなことを考え、食事があまり喉を通らなかった。「おい太洋、全然食べてないじゃないか。最後の晩餐になるかも知れないんだぞ。母さんの手料理もしばらく食えないぞ。」父さんはデリカシーがない。最後の晩餐。思っていても普通は口にしない。「最後になんてなるもんですか!ねぇみんな!」母さんが父さんの頭を叩きながら言った。父さんは頬張っていた唐揚げを吐き
2023年9月27日 11:30
隕石が落ちる事を事前に知っていた父さん達は、家の地下にシェルターを作っていた。ただし、家族全員は避難できない。そこで夏陽の父親と相談し、僕と夏陽の二人をシェルターに避難させようと考えた。当然、僕と夏陽は納得できない。「シェルターにはお前達二人が避難して、生き延びて欲しい。これが父さん達の願いだ。」いや、いきなりそんなこと言われても。別にみんなで避難すれば。「それが俺の手違いで、二人しか
2023年9月26日 13:01
去年おばあちゃんの告別式で、久しぶりに夏陽を見かけたが、おばあちゃんを失った喪失感もあり声もかけられなかった。喪服姿の父さんと母さん、伊賀咲家の二人が集まって話をしている。「おばあさんには僕らも大変お世話になりました。小さい頃から夏陽もよく面倒を見てもらって。。生前にきちんとお礼ができなくて申し訳なかったです。。一言でもありがとうと言いたかった。。。」と夏陽の父親が涙ぐみ父さんに頭を下げている
2023年9月25日 17:19
伊賀咲夏陽。僕が連絡を取ろうとしていた相手だ。同じ年の幼馴染。小中高と同じ学校に通っていた。高校を卒業して別々の進路へ進み、最近は連絡も取っていなかった。この終末が迫った今、なぜ脳裏に彼女の姿が浮かんだのか。その理由は明らかだ。僕は彼女の事が好きなんだ。小学生の時はよく一緒に遊んでいた。中学になるとそれぞれ別の友達ができて、少しずつ距離ができた。高校生になった僕は夏陽の事が好きだと気づいたが、
2023年9月25日 12:18
明日、隕石が落ちることを父さんはかなり前から知っていた。「厳密に言うと正確な日時、どの辺りに落ちるかまでは分からなかった。」それから聞いた父さんの話は信じられない内容で、まるで作り話のように聞こえた十数年前のある日、世界中の一部の家庭にある手紙が届いた。そこには「数年後、地球に隕石が衝突する」と書かれていた。最初は信じていなかったが、その後手紙の中に書かれていた災害や紛争が現実に起きた
2023年9月25日 10:30
"パール"は13歳になる雌のトイプードルで、人間で言ったら70歳くらいかな。おばあちゃんによく懐いていて、今では本当のおばあちゃんみたいに家族を見守っている。おばあちゃんが亡くなった時も僕はパールに慰められて、最近やっと立ち直ることができた。少し面食らってリビングへ行くと、ふだんと変わらない母さんがそこにいた。「おかえりー。」父さんは?「いるよ。」何してるの?「これからコー
2023年9月22日 12:32
共働きで忙しい両親の代わりに、僕の面倒をよくみてくれたおばあちゃん。大好きなおばあちゃんが亡くなったのは、去年の夏のことだった。最後は僕のことも分からなくなっていたけど、笑顔で手を握ってくれた。僕の口からは自然と『ありがとう』という言葉が漏れていた。覚悟はしていたのに、大好きな人との別れは本当に辛くて涙がとまらなかった。あとは悲しすぎてあまり覚えていない。あれから1年。ヤバいこ
2023年9月21日 12:18
世界に終末が訪れたら、人間の本能が生き残りを優先し、愛する家族すらも忘れさせる。でなければ、この瞬間にあの子の事を考えるはずもない。僕は終末を前に、家族を差し置いてあの子の顔を思い浮かべてしまった。自分でも愚かだとは思うけど、生物としての本能が勝ってしまうのかもしれない。抑えきれない罪悪感と興奮が混じり合い、気づいたら僕はあの子にLINEを送っていた。世界が終末を前にして混乱し
2023年9月20日 17:13
「今日会えて良かったよ。」と友人は笑った。その笑顔に僕はとても嬉しい気持ちになる。「ありがとうな。生きてたらまた会おう。」僕も大きく頷き返す。友人との別れと終末の恐ろしさが重なり、自然と涙が溢れてくる。「泣いてんの?」泣いてねぇ!こっちこそ!強がりを言いつつも涙が溢れることもある。「ん?」ありがとうございます!「なんで敬語?やっぱ、お前はおもろい。」友人は腹を抱