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大人も知らない正解

卒業式を終え、定時を過ぎて、帰りは雨。

帰るタイミングが同じだった先輩先生の車に乗っけてもらって帰っていた。

卒業式は、式だけが良ければいいわけじゃない。いつもモヤモヤしたものがある。子どもに何が残せたかってこと。担任以外の同僚の先生にも何を思わせたかってこと。職員の中にもいろんな考えがあって、何が正解とかは無いけれども、それぞれに想いがあって、その結果が形になる。

若い先生には楽しんでほしいし、視野が広くてみんなで感動を共有したい先生もいる。感動させるって難しいことだけれども、感情を込めて歌って泣ける子は、きっと他の子よりも少しだけ幸せな学校生活だっただろうし、できるだけたくさんの人に、先生方も保護者も含めて、感動させることができればいいよなあって。なんか、そんな話をしていた。

子どもにもっと、たくさん感謝の気持ちを伝える機会を作ること。今になって気づくようなこと、支えられていたことを思い返してみて、今だからこそ感じて、伝えられること。そういうことをたくさんできるといいね。ありがとうってたくさん言えて、たくさん伝えることができたらといいね。って。


私が担任として意識していることは「楽しみ方を教えること」だった。みんなが成長していくなかで、上手くいかないことはたくさんあるけれども、上手くいかないときに人としてどう行動するべきか。その模範を示すのが先生の仕事だなあって感じだった。

副担任として意識していたことは、副担が初めてで動きが分からないけれども、できることはたくさんやってやろう!って感じだった。最後は本当に大変だったけれども、子どもたちが「感謝を伝えたい!」って気持ちだけで、いろいろやる手伝いなんかをしていた。子どもは感情ややりたいことが先走るから期限とか全然守れない。でも夢中になるってそういうこと。

誰かのために、がんばりたいと思えたら、それはきっと楽しくなる兆しだ。

先日の集会では「自分の笑顔や、誰かの笑顔を作ること。それを意識して過ごしてみてください。そうすれば仲間も増えて、自信もついてきて、不安とも戦えます」って、はなむけの言葉を贈った。

卒業していく子どもたちは、もう二度と会えないわけじゃない。でも二度と会わない子どもたちの方が多い。それでいいし、だからこそ考えるのだ。何を伝えて、何を残せるか。記念写真だったり寄せ書きだったりもあるけれども、その瞬間だけのものじゃなくって、ずっと残るものは確かにある。

それはきっと恋愛みたいなもので、そのときにその場所で、その人だからこそできることもある。持ち合わせた才能もあれば、運だって大切だ。隣のクラスの友達と担任の方が良かった!なんてことも言ったりするけれども、「そうじゃないよね。このクラスだからできることを探して、このクラスで、担任の先生で良かった!って最後に言えるように、君たちが変わる。変える。そうやって成長していくんだよ」って伝える。一期一会ってやつ。


卒業式を終えて、私はあんまりモヤモヤしていなかった。コロナの影響でゆっくりもできずに、すぐに次の仕事があったのもある。もっとたくさん話したいという気持ちが無いことはないけれども、それなりに伝わっている気がしている。副担だったから気持ち半分なところもあったかもしれないが。

これまでにあまり経験したことのないくらい、特に大きな指導も無く終わった卒業式だった。私はそうなることを何となく感じていたし、子どもたちは自分たちが愛されていることを知っている顔をしていた。今更、自分だけ目立つようなことはしないよ!って顔で、朝も挨拶をしていた。

もしかすると、また来週に登校してくるつもりなのかもしれない。それくらい特別な感じがしない、あたりまえの日常の続きにあった卒業式だった。私はその風景が好きで、こういうの良いなって思えたし、こういうふうにしたいよねって伝えてきた甲斐があったなって感じていた。

でも家に帰って、寝る時間くらいにちょっと寂しくなるのだ。卒業アルバムを見たり、卒業式の歌とかちょっと鼻歌まじりに唄ったりして、ちょっと泣きたい気持ちになるのだ。それでいいんだよ。私たちの関係は、失って初めて気づいても落ち込む必要は無いくらいのものだ。会いたくなったら会える。どうしようもなくなったときは会いに来たらいい。そのために、いつも通える場所にあるのが学校なんだ。いつかその学校からいなくなったとしても、きっと誰かが先生に繋げてくれる。そういう場所なんだ。


あなたの学校には、あなたをよく知っている先生がいた。


それだけで十分な気がするのだ。

だから私にとって、教員として大切なことは


『いろんな人と、いろんなことを、心のままに語り合うこと』


たくさん悩んで、たくさんの感情を抱えて、人生を楽しんでください!


みんなの成長を楽しみにしています。また逢う日まで!



#自分にとって大切なこと

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