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くちびるに、紅を

化粧を覚えたのは、高校生くらいの頃だろうか。

いつも隣にいたはずなのに、気づけば友達が化粧を始めていて驚いたのを
覚えている。その後も連鎖反応のように、周囲が化粧をして大人びていって、
なんだか自分だけ取り残されているような感覚になった。これはまずいと焦って
母親に道具を借りて手順を教わった記憶がある。
アイライナーがうまく引けずガタガタになったり、アイシャドーが濃くなりすぎてアンバランスになってしまったり。思うようにいかなくて家で1人で練習したこともあった。

それから大学生になってから今では、毎日化粧をするようになって、
化粧技術は格段にレベルアップした。母親の道具を借りていたのを卒業し、
雑誌やネットで情報を集め、化粧品を買っては試し買っては試し、自分に合うものを探し続けた。


大学生になって初めて自分の道具を揃えてから、もう4、5年程経つが、
その中でリップだけは今日の今日までずっとしっくりくるものが見つからずに
困っていた。
これまでいくつものリップを買って試したが、どの色も全く似合わなかった。
顔色が良くないので、全体的にくちびるに色を差すと浮いてみえる。
とりあえず定番のピンクリップを差していたけれど、明るければ明るいほど童顔を引き立ててしまって、オフィスカジュアルにどうしても合わなかった。
結局、リップは自分には似合わないものなんだと思い、基本的には付けないようにしていた。

けれども昨日、母親の化粧台に、私が去年クリスマスコフレで購入したリップが
置いてあり、何気なく付けたところ「これだ!」という色味で衝撃を受けた。
自分のくちびるの色に近しい色味だったため、変に浮くこともなく自然な仕上がりになっていた。
その後聞いたところ、そのリップは私が買ったままでずっと放置し続けていたため、母親が部屋の整理をした際に開けて置いておいたらしかった。


自分で買っていたのに開けないままでいて、宝のもちぐされになるところだった。これからはずっとこのリップを付けようと自分の化粧台に早速移動させておいた。

出会いはどこにあるかわからないし、何ならもうすでに自分が持っているかもしれない…ちゃんともっと周りに目を配らなければ。









いつもたくさんありがとうございますっ!