PIXY🐎

気まぐれで文章を書き、私の友達の写真も載せます。 留年候補系JKです。 常に崖っぷち

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最近の記事

おいしいごはん2

2022年8月2日 ここまで話したあと、小原裕二は脱力した様子で、 「これが僕の最後に殺した女の全てだ」 といった。 「それで石川志帆を殺したんですね?」 小原は軽く頷いた。 ステンレス製の机に置かれたラジオから女が話している。デスク用の椅子に座った小原は、回りながら、「そんなにしなくても逃げも抵抗もしないのに。僕が殺人鬼だからって少し警戒しすぎでは?」 スーツをしっかりと着込んでいるせいか、さっきの丁寧でしっかりとした口調のせいか、その様子はまるで人格が変わったようだった

    • イソギンチャク

      堕ちる時の降下する感覚と脳の溶けだす時の疲労感がどっと襲ってきて、その場に崩れ落ちた。 ぼくは何をしていたんだろう。彼女のくれた半分のパピコの手触りをおもいだした。 彼女は誰よりも自分を優先する人間だ。よく言えば自分を1番大切にしているというのだろうか。でも彼女の場合はそんなにいいものではなかった。自分のものは絶対に自分のもので、他人に譲るということをしない。じゃがりこだってポッキーだって周りに友達がいようと欲しいと言われようとなんだろうと、必ず「自分で買えば?」と断って1

      • 水の中で

        どろりどろりと足を踏み入れた。ぬかるみが足跡をつけて足を沈めていく。そしてゆっくりとだらだらともう一歩踏み出す頃にはまたその足跡を消して、床なのか地面なのか訳の分からない平地へと戻っていく。早く通り過ぎようと早歩きしようにも、完全にぬかるみにペースを乱されていて、上手く歩けない。では最初っから入らなければ良かったのでは?入る前、皆口を揃えて同じことを言う。普通に歩いていて、時に気まぐれに誰かと話して、時になんの目的もなくただぼーっと歩き、いい天気の中散歩を続けている。だがある

        • おいしいごはん

          最初はただの気まぐれだった。 朝7時前の、アラームより先にキッチンから聞こえるフライパンと菜箸のカチャカチャという音がいつの間にか当たり前になっていた。 「私ね、陰キャはぜっったいに嫌なの!かと言って陽キャ過ぎるのもだめ、私に優しくして欲しいし店員さんに横柄な態度とる人はいや、清潔感ない人なんてありえない!」 彼女はいつもまるで自分の家かのように冷蔵庫のビールを勝手に引っ張り出し、散々喋った後酔いつぶれてその場で眠ってしまう。そんな彼女に布団をかけて隣で寝るのが日課だ。その日

        おいしいごはん2

          ちゅっ!としてぱっ!

          もう後戻りは出来ない。バスを乗り過ごすなんて何年ぶりだろ。気づいた頃にはもうバスは走り出していて、降りるはずだったバス停はだんだん遠ざかっていく。 「バイバイ」 毎日朝も夜も会っていたバス停の看板に手を振ると、もうこれでいいやと思うことにした。 次のバス停で降りることにした。「次は、T市役所前」そのアナウンスを聞くまでもなく、私は次止まる場所の名前を知っていた。 T市役所を少し歩いたところには商店街がある。並ぶ店は全部ピンク色で、もうすぐ春だということを思い出した。ピンクのコ

          ちゅっ!としてぱっ!