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イニシエーション・ラブ

"『じゃあさ、夕方の夕って、カタカナのタと同じに見えるじゃない?たがらタキでーたっくんっていうのはどう?』"2004年発刊の本書は1980年代後半の世相や流行が忠実に再現された恋愛小説にして、多くの芸能人も支持する“必ず二回読みたくなる"傑作ミステリー。

個人的には評判の高かった2015年の松田翔太、前田敦子主演の映画化作品を鑑賞する前に読んでおこうと手にとりました。

さて、そんな本書は『僕』こと奥手な鈴木が合コンで出会ったマユに一目惚れして結ばれるまでがA面、そして就職に東京に派遣された鈴木がマユと遠距離恋愛する中で互いの気持ちが変化していくのをB面として描いているのですが。

まず、多少の違和感は確かに覚えるものの、普通に初々しいA面、ほろ苦いB面として多くの方が共感するであろう恋愛小説として【普通に(ラスト2行前まで)読み終えることができる】のに驚きました。その上で真相を知って読み直すと【これも!これも仕込みだったのか!】と構成の完成度の高さに感心させられました。

また、読後に満を待して映画の方も鑑賞したのですが。こういったいわゆる"ある事柄や一部の描写をあえて伏せることによって、読者に事実を誤認させるテクニック"叙述トリックは映像化には不向きだと思われるのに【ちょっとしたアレンジでクリアしている】のと【80年代の若者文化を忠実に再現している】のに驚きました。(ルビーの指輪がある場面で流れたり。。)

本、映画共に1980年代を存分に堪能できますので、懐かしく追体験したい世代の方にオススメ。またマユ役の前田敦子がはまり役なのでファンの方も是非。

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