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レディースデーの肛門科に行ってみた

いたってまじめな熱意あふれるnoteのつもりなんだが、「おしりの話なんて読みたくないわ」という方はどうか華麗にスルーしていただきたい。

さていきなり本題に入るけれど、女性で痔に悩んでいる方は、 パッと想像するよりもだいぶ多いんじゃないかと思っている。

というのも、わたしも妊娠してから初めて知ったのだが、妊娠中に起きやすいヘビーな便秘や、出産の壮大ないきみなどで、痔になったり、それが悪化したりする女性は多いらしいのだ。もちろん妊娠に限らず、普段から便秘がちだったり体が冷えやすい若い女性にも、痔はありふれた病気だそう。

え? 自分には関係ない話だと思った男性の方。いやいやあなたの妻や恋人だって、人知れず痔に悩んでいるかもしれないよ。

恥ずかしくてあなたにも打ち明けずに、静かに痛みに耐えていたり、ドラッグストアで市販薬試してみたり、肛門科行ったり、なんならすでにこっそり日帰り手術してきているかもしれないよ。

いまでこそわたしはこんな話題をnoteに書いているし、夫にもオープンに話しているが、夫に最初に切り出すまでは長らくの間、ひとりで地味にもんもんとしていた。

だってたとえ身内といえど、好きな異性に「わたし痔かも」とか「おしり痛くて血出るんだよね」とか、切り出すの、はばかられるじゃないですか。

だから今日はわたしがここで恥を捨ててみることで、そんな状況がちょっとでも変わればいいなというモチベーションで、このnoteを書いている。

* * *

どうやらわたしも、わかりやすく妊娠中の便秘で痔が悪化してしまったタイプだ。

出産後もたまにおしりから出血したり、痛みを抱えたりする状態で、それでも病院に行くのがなんだか恥ずかしくて、のらりくらりだましだまし、日々を過ごしていたわけだけど。

やっぱり痛みがつづくし、なんだかさらに悪化してきている気がするので、こりゃQOLに影響するわと勇気を出して「肛門科」に行ってみることにした。もうこの3文字の字面がハードル高いよね。

でも、ようやく重い腰をあげてとりあえず調べてみたら、今って「レディースデー」とか「女性外来」とかがあるらしい。

需要があれば供給がうまれるということで、全国のおしりまわりに悩みを抱える女性の多さに思いを馳せてしまう。こんな状況なら、とりあえず早く検索だけでもすればよかった。たぶん無意識に、自分が痔で病院へ行くという事実を認めたくなくて、うだうだしていたんだろうなあ。

いろいろ見ていたら、わりと近くに曜日と時間限定で「女性専門医師」の診察が受けられる医院を見つけた。お、これはいいんじゃないか。やっぱり同性のほうが、気持ち的におしりを見せるハードルは断然低いもの。

* * *

というわけで、「レディースデー」の午前中、女性医師の診察とされている時間帯をねらってその肛門科へ行ってみた。

ホームページの新しさに油断していたら、建物は古めかしい「ザ・昔ながらの医院」という感じで、ちょっとたじろぐ。

受付に「初めてなんですけど」と申し出ると、予想外のひとことが返ってきた。

「すみません、今日はレディースデーではあるんですけど、通常は午前中が女性医師のところ、今日だけ入れ替えで、午前中が院長の男性医師、午後が女性医師の診察になっているんですが、大丈夫ですか?

なんと。女性医師目当てでこの時間に来たというのに、まさかの展開である。

まあでも、元来がめんどうくさがりやなわたし。午後に再びここまで来る時間も労力も惜しくなって、まあもうええわと、そのまま男性院長の診察を受けることにした。

受付では番号の書かれたカードを渡してくれ、名前じゃなく番号で呼ぶという。そういう小さい配慮、うれしいよね。

男性医師の診察といってもレディースデーはレディースデー。待合室には、同じような気持ちで(?)院長の診察を受けることに決めた20代〜40代くらいの女性たちが5、6人ほど待っていた。仕事前に立ち寄ったと思われるスーツ姿の方なんかもいらっしゃる。

「待合室に女性だけ」という状況だけでも、だいぶ気持ち的なストレスは減るものだ、と実際その場に座ってみて思う。みんな人知れず悩みを抱えてここに来たんだろうなあなんて、ちょっとした同志感があるし。男性の中にひとりでいるのとは、気分が全然違う。

その後も続々と受付に診察希望の方は訪れ、そのたびに受付ではさきほどの説明を繰り返し、数人は「じゃあまたにします」と帰ってゆく。いや、それほどまでに男性医師に抵抗がある方もいるのはわかる。

きっといつもどおり女性医師の診察だったら、地方都市、かつ平日の午前中にもかかわらず15人くらいの女性は待っていたんじゃなかろうか。

おしりの悩み、場所が場所なだけで友人知人にはなかなか言わないものだけど、実はポピュラーな悩みなんだろうな。

* * *

ほどなくして番号が呼ばれた。

簡単に口頭で症状を聞かれた後、「じゃあ診てみましょうか」と言われる。

カーテンで仕切った中にベッドがあり、女性看護師さんが指示をくれながら準備する。わかりやすく「頭はこっちで、おしりはここで、こちら向きに横になってください。下着とズボンは、すみません、おしりが見える位置までさげてくださいね」。

いやいや診てほしくてきてるんだから謝らないでいいのにと思いながら、サクサク下着をずらして、ベッドにのぼる。海老の姿勢みたいな感じで横向きに寝る。全部脱ぐわけでもなくちょっと服をずらすだけだし、看護師さんがすぐにバスタオルをかけてくれるので、思ったより恥ずかしさはない。

準備ができたら先生が後ろ側に呼ばれて、おしりを診察。ちょっとだけ器具入りますよーと言われて、圧迫感と冷たさを感じる。でも全部で、30秒くらいの間にもうバスタオルがかけられて、終了。あっという間。

というか、産婦人科の内診台で機械的にウィーンと大開脚をさせられ、ぐりぐりとやられるあの時間に比べたら、気持ちも体も圧倒的に余裕だった。足だって閉じてるし。時間も短いし(産婦人科の内診台は、何度のっても苦手)。

こんなんなら、恥ずかしがってないで早く来りゃよかった、と思う。

* * *

そのあと、先生から現状の説明と治療案の提示。

患部の図を描いてくれたので、状況がつかめてよかった。

選択肢としてはわたしの場合、軟膏の処方(痛みや腫れをとる。患部の状況自体は変わらない)か、いさぎよく手術をするかの2択を提示された。

今回は先生曰く、緊急性のある感じではないということで、とりあえず軟膏の対症療法でようすをみてみましょうか、ということになった。でも手術する場合でも、外来で20分くらいで手術終了→1時間ほど休む→帰宅、くらいのスケジュールらしい。

へえ。手術と聞くと怯えていたけど、歯医者で歯を抜くくらいの感じかもなあ、なんて思う。

* * *

そんなわけで、人生初めての肛門科レポートでした。

いやほんと、自分には関係ないと思ってる方、男性でも女性でも、実はあなたのパートナーがひとりで地味に悩んでいるかもしれないです。

もしあなたが妻や恋人をもつ男性なら、「女性も妊娠を機に痔とかなりやすいって記事みたんだけどさ、◯◯はべつにそんなことなかった?」とか、「若い女性も冷えとか便秘で痔になりやすいって記事みたんだけど、別にそんなことで悩んでたりしない?」とか、ちょっと聞いてみると、もしほんとうにそうだった場合は切り出しやすいなあ、なんて思ったりします。

そんなときは、「いまはレディースデーとかあるらしいよー」みたいな感じで、このnoteを教えてもらえたりすると、ちょっと受診に前向きになれたりするかも。そんな記事になればいいなあなんて、お前何様だよ感を自分でひしひしと感じながら、いまこれを書いています。

いやだって、未知の領域ってなんか怖いじゃないですか。わからないから。自分もそうだったし。でもいざ行ってみたら別にたいしたことない、みたいなね。

まあ、わたしの体験談だけだとあれなので、末尾にいくつか参考記事もはっておこう。

というわけで、今日はけっこうニッチな感じだけれど、一部のひとにとってはたぶんすごくタイムリーだったりひそかに勇気づけられる話かもしれないと思い、noteの片隅においておきたいなと思った次第。

なんだか話題にしづらい雰囲気のあるトピックだけど、「誰でもなりうるありふれた病気」って理解がすすんで、もっと気楽に、話題にできるようになればいいのにねえ。

(おわり)

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▼参考info:

■ 痔の患者、半数は女性 恥ずかしがらず受診を(時事メディカル)

■「痔」は男性よりも、女性に多い?(松島ランドマーククリニック)

■ 女性に多い『痔』原因と症状|こんな人は要注意!痔になりやすい7つの習慣(ライブドアニュース/月刊『からだにいいこと』編集)


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