『みんなが聴かない曲』

みんなが聴かない曲を
ひとり聴きながら歩いている

人が聴かない曲を
あえて聴きたいわけじゃない

ただ気持ちが踊る曲が
みんなが聴かない曲なのだ

昨日も
今日も
明日も

みんなが聴かない曲を
ひとり聴きながら歩いている

すれ違う人々が
白いワイアレスイアフォンの先で聴いている誰かの曲は
僕の心を決して踊らせはしない

音を聴かなくても
分かってしまうのだ

たまに見かけない異国の人に
どうしようもなくなって
What are you listening to?
と問いかけたくなる

でも
やっぱり
僕は黙ったまま

みんなが聴かない曲を
ひとり聴きながら

異国の人とすれ違う