『春を呼ぶ風』

いつかのような

春を呼ぶ風が
吹いているけれど

お前は
あの時の春の風だね?

冬の寒さに傷つけられた私を
暖かく包んでくれた
あの時の風か

お前に励まされて
生きてこれたのに
お前の名前さえ聞いたことがなかった

街も人も自然も
あの頃とは変わってしまったけれど

わたしもまた
歳をとってさらに薄情になったけれど

お前は変わらず吹いてくれている

私もいつか
お前のように
春の訪れを
誰かに知らせることが出来るだろうか

きっと出来ると
お前は言ってくれたね