【#3】そのキミの1秒が欲しい
30歳も超えると、同級生は皆結婚して……と思いきや、現実はそうでもない。
腐れ縁の男友達はほとんどが独身で、自由な貴族ライフを満喫している。それもまた人生だし、きっかけがあれば色々と変わってくる。
キミの1秒が欲しい
「隣の芝は青く見える」のは、いつの時代もそうだろう。
今は若いときに比べ、より一層青々とした芝に見える。
というのも、「暇だからゲームしようぜ」と口癖のように話す友達がいる。
家庭があり、子供がいて、自由な時間など1日2時間もないような身からすると、喉から手が出るほど羨ましい環境だ。
無論、彼には周りにはいわない悩み事があるのかもしれない。自分も時間はないけれど、彼が秘密裏に望む「幸せ」を手にしているのかもしれない。
ともあれ。それでも理不尽に妬ましく思うのは、自分という人間の器が、おちょこの裏側の、縁くらいの大きさしかないからだろう。
時間が欲しい。家事や育児で時間がないとか、仕事が忙しくてとか、そういう話じゃなくて。さっさと持病を治して、夜が明けるまで音楽に没頭したい。
僕には時間がない。キミが暇だというならば、その1秒を僕に分けて欲しい。
娘が物心つく前に、彼女が惚れ込むほど魅力的なサウンドを鳴らしたい。
人工透析をしている姉が死んでしまう前に、音楽で1円でも稼いでみたい。
老いた母親が朽ち果てる前に、僕の音楽を認めてもらいたい。
そして、あの世の親父に「あいつは良くやったよ」と伝えてもらいたい。
ただの妬みで、皮肉で。しょうもないおっさんの戯れ言で、この記事を読んでいる方がいたら、申し訳なく思う。
仕事に戻ろう。
文:サーストン
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