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育児は子どもを通して世界が広がる旅だった

20代の頃は早く子どもが欲しくて、「子育てしたい」願望が強かった。

30代に突入した頃には仕事が面白くなり、手に入れた自由を失いたくなくて、子どもを持つ意欲が薄れていた。子どもが産まれたら、海外出張には行けないだろうし、温泉でまったりする女子旅にも気軽に行けなくなる。子どもがいれば、自分のために費やせる時間やお金が制限されると感じていた。

結婚したら当然のように子どもを持つことが期待されるし、結婚から時間を空けずに家庭を築くカップルは少なくない。私は結婚してから長いこと好きなことに自分の時間やお金を費やしていたせいか、「結婚したら子ども」という流れに疑問を持つようになっていた。

そんなことを考えているうちに、気がつけば30代後半を過ぎて、余裕で高齢出産の年齢になっていた。生物学的に女性が子どもを産める年齢は限られること、夫はできれば子どもが欲しいということだったので、友人や先輩ママに子どもを持とうと思った理由や持ってどうだったかを聞いて回った。子どもを持つことに納得のできる答えを探していた。

そしてたどり着いたのは「子どもを通して、世界が広がる。子どもがいなかったら、出会えない人たち、知ることのない世界を知れる」だった。大人になったら趣味や趣向はある程度固まってしまうから、自らその枠の外へ出ていくことはよっぽど努力しないと難しい。でも、子どもは自分とは異なる感性を持っているから、好むと好まざると子どもが枠の外へ連れ出してくれる。だから、これまで見えていなかった世界が子どもを通して見えるのだと。

子どもがいることで失うものばかりに目が向いていたことに初めて気がついた。

そんな迷いや葛藤を経て現在は2児の母になった。育児はもちろん綺麗事だけではない。赤ちゃんのお世話をしていたら、食べて寝るだけで一日が終わる。自分の時間がちょっとでも欲しい、一人になりたいと思うこともしばしば。

でも、息子たちは新しい世界へ私を確実に連れ出してくれている。つい先日、出初式に当選したことに声をあげて喜んでいた自分がいた。消防車にあんなにたくさんの種類があることも、どこの消防署の消防士さんもみんな親切に息子に話しかけてくれることも、息子がいなければ知ることはなかった。

私の育児の旅はまだ始まったばかり。息子たちを通してどんな自分や新しい世界に出会えるのかなぁ。



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