見出し画像

国別のワインの特徴について②

こんにちは。前回の以下記事に続き、国別のワインの特徴について解説したいと思います。本日はヨーロッパ以外の国のワインについて説明します。

1.アメリカ

ワインの世界では、ヨーロッパ以外のワイン生産国、特にアメリカ、オーストラリア、チリを「新世界(ニューワールド)」と呼ばれますが、その中でもアメリカはワインが最も盛んな国の一つであると言えます。

アメリカでワイン造りがスタートしたのは18世紀頃で、ローマカトリック教会の修道士たちがミサ用のワインを醸造したのが起源です。最初のワインは、入植時にヨーロッパから持ち込まれたブドウの苗木を移植して生産したそうです。

アメリカワインの大部分はカリフォルニアで生産されていますが、カリフォルニアでは19世紀後半のゴールドラッシュの際にワイン造りが本格化しました。

そして、1976年に「パリスの審判」と呼ばれる試飲会がフランスのパリで開催され、そこでアメリカワインの評判が一気に上がります。
試飲会では、フランスのトップクラスの評論家目隠しでテイスティングを行い、フランスの一流ワインとアメリカのワインを比較したのですが、予想に反してアメリカワインが上位を独占し、フランスワインに勝利してしまったのです。

アメリカワインの特徴は、ブドウ本来の味を強く味わえる点です。
特にカリフォルニア州では日照時間が長くて降水量が少なく、ブドウの熟成に適した環境のため、収穫時期をギリギリまで延ばして完熟させ、ブドウの糖度を高めています。

またアメリカワインは、ワインを木樽で熟成させることでもたらされる「樽香」がしっかり感じられることも特徴の一つです。
アメリカの樽材にはブナ科のアメリカンオークが用いられ、アメリカンオーク樽でワインを熟成させることで、バニラやココナッツのような香りがワインに付加されるのです。(ただし近年のトレンドは樽香を強め過ぎない傾向があるので、アメリカワインでもフレンチオーク樽やステンレス製タンクを用いて熟成させることもあります。)


2.オーストラリア

世界で6番目に国土面積を有するオーストラリアは、主に温暖な地中海性気候の南東部と南西部、冷涼な海洋性気候の東部 南端エリアでワインの生産を行っており、テロワール(ブドウ畑を取り巻く環境要因)を活かした多様なワインが造られています。

オーストラリアのワイン法では、ラベルに産地名・ブドウ品種名・収穫年を表記することが定められている一方、ブドウの栽培法やワインの醸造法についての規制が無いため、自由な発想によるワイン造りが可能になっています。

また、オーストラリアにはレストランに好きなワインを持ち込めるBYO(Bring Your Own)という独自のワイン文化があります。 お店でお酒を提供するためのライセンスの取得が厳しかったこともあり、客にワインを持ち込むことを許可したのが始まりのようです。ヨーロッパ、特にフランスでは考えられないようなカルチャーですね。

オーストラリアワインは、高品質かつ個性的ながら、いずれも手ごろな価格で楽しめるのが魅力です。


3.チリ

南米のチリは1年を通じて日照時間が非常に長く、ブドウが熟しやすい地理環境にあり、イギリスの研究機関による調査によれば、ブドウに含まれるポリフェノールが世界一多いようです。

チリワインの特徴はぶどうの割合が多く配合されている点で、味と風味のバランスが取れたものが多く、品種のうまみを存分に感じることができます。

またチリワインは、コストパフォーマンスが非常に高いことも魅力の一つです。
スーパーやコンビニでチリワインを見ればわかりますが、500~1000円で購入できるものが多いです。

コスパが高い理由としては、①上記の通りブドウ栽培に適した環境のため、大量生産が可能、②チリと日本は2007年にEPAが発効されており、ワイン輸入に関税が掛からないこと、③人件費が安いこと、の3点が挙げられます。


4.トルコ

世界有数のブドウ生産国であるトルコでは、主にカッパドキアのアナトリア地方、エーゲ海地方、トラキア地方などでワインの生産が盛んにおこなわれています。

近年では、ヨーロッパのワインコンクールでも賞を取るようになり、世界的な評価が高まっています。

トルコワインの起源は今から6000年前の紀元前4000年まで遡り、紀元前1600年頃に中央アナトリアで発展したヒッタイト帝国の文献の中でも、神々に捧げるものとして「パン、ビール、そしてワイン」と書かれているほど、古くからトルコでワインが栄えたことが分かります。

トルコワインに使われるブドウの代表的な品種として、トルコ語で「牡牛の目」を意味する「ÖKÜZGÖZÜ(オキュズギョズ)」があり、肉厚でジューシーな味わいが特徴です。
このようなトルコのブドウから造られたトルコワインは、ドライかつフレッシュな味わいと、香りが豊かで飲みやすいのが特徴です。


5.日本

最後は日本です。
世界的に見るとワインの生産量は決して高くないですが、近年日本ではワインの生産が各地で積極的に行われています。

豆知識ですが、「日本ワイン」と「国産ワイン」は意味合いが異なります。
「日本ワイン」は、国産ぶどうを100%使用し、日本国内で醸造されたワインを指す一方で、「国産ワイン」とは、海外から輸入したぶどうや濃縮果汁を使用し、国内で醸造されたワインのことを言います。
両者の違いを明確化するために、近年では「国内ワイン」を「国内製造ワイン」としています。

世界と比較すると日本ワインの歴史は浅く、1870年に山梨県甲府市において、山田宥教氏と詫間憲久氏が「ぶどう酒共同醸造所」というワイン醸造所を設立することから始まります。

ワインの消費が拡大するのは、1970年に日本万国博覧会の開催以降で、日本の食生活の欧米化が進んだことがきっかけです。1980年代にはボジョレ・ヌーヴォーがブームとなり、1997年赤ワインブームなどのブームを経て、昨今の日本ワインは、欧米のワインと肩を並べるほどレベルが上がっています。

また、2003年からは「日本ワインコンクール」が開催されており、全国のワイン製造者のモチベーションも上がっています。
2022年時点で、全国のワイナリーの数は413場で、47都道府県中44都道府県にあります。(特に多い県は、山梨・長野・北海道です。)

日本ワインの特徴の一つは「多様性」です。
白ワイン用のブドウ品種として代表的な「甲州」や、赤ワイン用品種の「マスカット・ベーリーA」などの国産の品種に加え、近年は海外品種との交配品種や、シャルドネ・メルローといったワイン専用種も導入されています。

味わいの特徴としては、日本料理文化と同じ「繊細さ」で、和食に合ったワインテイストを楽しむことができます。

日本ワインの代表的な銘柄としては以下があります。

①グレイス甲州
甲州の有名ワイナリー「グレイスワイン」の代表銘柄です。ほどよい甘みと酸味のバランスが絶妙です。


②北海道ワイン おたる特撰ナイヤガラ
北海道産ナイヤガラの最も糖度の高いぶどうを使う甘口の白ワインで、フルーティーな味わいが特徴です。


③シャトー・メルシャン 山梨マスカット・ベーリーA
1877年に設立された、日本最古のワイナリー「シャトー・メルシャン」の赤ワインで、熟成された酸味と柔らかい甘みが味わい深いです。


如何だったでしょうか?
ワインと言えばフランスやイタリアのイメージが強いですが、今では世界各国で造られており、各国で様々な特徴があることが分かります。

最近は今回のような教養ネタにハマっているので、機会があればまた書いていきたいと思います。

これからも応援よろしくお願いします!


#最近の学び #レベルアップしたいこと #ワイン
#アメリカ #チリ #オーストラリア #トルコ #中国 #日本
#お酒 #教養

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?