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物件探しに時間がかかる“住宅弱者” 社会的な問題に

住宅弱者とは、経済事情や年齢、国籍等の理由から賃貸の入居を断られてしまう人たちのことを指します。
他にも、最近だとLGBTや障がい者、生活保護利用者なども住まいの選択肢に制限を受けているとして、社会問題の1つとなっています。
それでは、実際その「住宅弱者」の数はどのくらいの多さなのでしょうか?
現状をお伝えします。

契約まで1か月以上かかる外国人は6割超

不動産情報サイト「LIFULL HOMES」を運営するLIFULLの調査によると、
賃貸物件を探し始めてから契約までの期間が1か月以上かかったのは一般層39%だったのに対して、住宅弱者は52%でした。
また更に、外国人に注目すると63%にも上り、一般層の約2倍の数値となりました。

不満の内容を聞くと、
「来店、対応を断られた」とう外国人の方が3割。
一般層では2%だそうなので、かなり差が際立つ結果となりました。

理由は「外国人だから」という漠然な不安から

同調査によると、契約に慎重になりがちになってしまうのは「漠然とした不安から」だそうです。
この不安は、「経済的な不安」と「事故・事件が起きるのではないかという不安」の2つが大きくあります。

理由①経済的不安

1つ目の理由の「経済的な不安」は、端的に言うと「ちゃんと家賃払って貰えるだろうか?」という不動産オーナーが抱える不安です。
 
なんとなく漠然と、収入が低いイメージや定職についていないイメージもありそうですが、実際はどうでしょうか。
下図は、2019年の在日外国人を在留資格別にまとめたグラフです。
下のグラフで上げている5つの在留資格(永住者、技能実習者、留学、特別永住者、技術・人文・国際業務)は、他にもある在留資格の中から割合が最も多い5つを挙げています。

この中でも、「永住者」「技能実習者」「技術・人文・国際業務」の年収についてみていきましょう。
永住権を得られる年収基準はおおよそ300万円と言われています。
日本の20代の平均年収は341万円なので、20代の平均年収とほぼ同じであることが分かります。
 
次に、技能実習者の平均月収は16万1700円(2020年)と言われています。外国人労働者全体の平均賃金は21万8100円なので、技能実習の方が5万円ほど低いことが分かります。
確かに、この層の方だとちゃんと家賃の支払い能力があるのか不安になるオーナーさんもいるかもしれません。
 
一方で「技術・人文・国際業務」の在留資格を持つ在日外国人のなかでもプログラマーや外資系金融業の平均年収は757.7万円(2017年)となっています。
 
このように在留資格やその人が就く職によって経済力は変わってきます。
これは日本人と同じことが言えるので、「外国人だから経済的に不安定」とは必ずしも言えないことが分かります。


②事故・事件が起きるのではないかという不安

外国人の犯罪率が高そうなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

このグラフは、2020年の警視庁の外国人による刑法犯検挙件数の推移を表しています。
ピークである2005年(平成17年)には検挙数は33,037件でしたが、それ以降減少し続け2018年(令和元年)は5,563人となりました。
その減少率は83.1%です。


このグラフを見ると在留外国人数は年々増加傾向にあることが分かるので、外国人の刑法犯検挙率は年々下がっていることが分かります。
 
もしかすると、かつての「外国人は事故や事件を起こしそう」というイメージが今も続いてしまっているのかもしれません。
 
このような理由から「外国人だから」と一括りにして内見や入居を断るのではなく、偏見を持たず日本人と同じ基準で在日外国人の方と向き合うことが大事です。


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