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これからの時代の教科書 『理念経営2.0』のススメ

親友の佐宗さんが、4年の歳月をかけて書き上げた『理念経営2.0』
身内(友人)びいきを抜きにしても、良き「問い」にあふれた素晴らしい本でした!
これは、これからの経営における一つの教科書(絶対解じゃないけど明確なモノサシ)になる
経営に携わる人だけではなく、企業や組織に所属して働く人が、あまねく読んでおいたらよい本
そう感じさせてくれる名著。

もちろん、
「これから企業理念を言語化したい」といった企業にも役に立つし、
KOBIRAみたいに、ちょうどMVVの言語化が終わったところで、これから理念経営を推進していきたいというフェーズの企業にとっても、大きく背中を押してくれます。
(昨今の「パーパス祭り」と言われるようなブームに疑問を感じている人も、その違和感の正体を見定められるんじゃないかな)


※そんな素晴らしい本なんですが、感想を投稿するのがなかなか進まなかった理由。。。
「あ、うちだったらこんなことできるかも!?」と、自社の施策について思考が飛んでしまう。
そして、「そーそー、そうなんだよ!そう思ってうちもこの1年やってきたんだよね!」っていうのが、なんだかうっすら悔しくて?進みませんでした…(笑)
(佐宗さん、せっかくゲラも見せてもらっていたのに、感想遅くなってしまってスミマセン!(ノ_<) いやでも、ちゃんと正式に買って読みました!そして、学びが多くて、もはや現在3週目くらいで読んでます。色々と実践しているほど、直面している葛藤や悩みが多いので、問いが深く響きますね。)


■印象に残った部分をピックアップ!


以下、印象に残った部分をピックアップしたら、大量になってしまいましたが…。でも、こんな魅力的な話がたくさん盛り込まれた名著。広く読まれてほしいです。

(以下引用)

『自分の会社について語るのが、こんなに楽しいことだとは知りませんでした。でも、なによりもうれしかったのは、社員たちもまた自分の会社について、本当に楽しそうに語っていたことです』(Biotopeのクライアント企業経営者談)

『いまの時代、キャリアとしてなにが正解かなんて、わかりませんよね。会社は人生の3分の1をすごす場なのだから、自分が興味を持てるテーマを一緒に探求できる仲間がいるほうが、人生を豊かに過ごせると思います。価値観の似ている仲間と話したり、会社の掲げるミッションを一緒に探求したりしながら、一歩一歩前に進んでいく。それが私にとって楽しい働き方なんです。』(Biotopeのインターン生談)

『夢を語れば、無形資産が集まる。
無形資産が集まれば、有形資産が動く。』
(元サッカー日本代表監督で、いまはFC今治のオーナーでもある岡田武史さん)

『これからの企業理念は、「社長の誓い」ではなく、「みんなの物語」の源泉としての性格を持つようになる。』

『いまの時代のビジョンは「夢」だ。ビジョンが機能するうえで必要なのは、ステートメントではなく「物語」なのだ。』

『あなたのビジョンが実現したとき、あなたの会社は、社会からどんな言葉で感謝されているだろうか?喜んでいる人はどんな人だろうか?』

『あなたが、もし3年間の自由な時間と、100億円のお金をもらえるとしたら、何をしたいですか?それはなぜですか?』

『フレッド・ルーサンスによると、不確実な環境に置いて幸せに生きられる人は、希望(Hope)、自己効力感(Efficacy)、レジリエンス(Resilience)、楽観性(Optimism)という4つの心理的資本を持つとされる。』

『現場レベルだと、経済的利益と社会的意義のどちらを優先するかと悩むことが多いが、理念経営を長い間実践している会社の経営者は、次のような言葉で社員にその判断基準を伝えているという。
「経済的利益と社会的意義、もし迷ったら社会的意義を優先しよう」』

『どんな世界に価値があると信じているか?』『どの領域で活動するか?』『どんな役割を果たすか?』

『あなたの会社がなくなったらだれが困るのか?』

ソニーが「make.believe」で動かせなかった社員の心を、「KANDO」で動かした話。
『つくり込まれすぎている言葉・映像は、社員が自由に解釈する余地をなくす。』

『理念が伝わるプロセスの、3つの段階。
①理念理解、②理念共鳴、③理念体現。』

『センスメイキング理論。
「感じる」→「解釈する」→「実行する」
そこに「可視化する」を加えて、サイクルを回していく。』
『過去、未来、現在をつなぎ直す。』

『あなたはどこからきて、どこに向かっているんですか?あなたは、なぜ、いまここにいるんですか?』
(個人的には、時系列に沿っていないのも面白い。過去→未来→現在、の順。)

『「個人のナラティブ」と「組織のナラティブ」を接続させる』

『歴史を資産として活用して価値を生み出す、欧州的なイノベーションアプローチ。
文脈によって新しい意味を作るアプローチ。』

『いかに「正史」以外の要素を取り込むか。
人々の記憶の中で説話として語り継がれている「私史」。
「正史」と「私史」を織り交ぜて、新しいナラティブとして語りなおしていくことで、歴史は資産になる。』

(パナソニックのプロジェクト事例)
『創業者の水道哲学のイメージから、うちの会社では、お客様の役に立つもの、安心・安全をもたらすものをやらなければだめなんじゃないかと頭の中で制限するようなところがありました。でも、歴史を紐解くと、松下幸之助が最先端なものに積極的に触れていたからこそ、当時の松下電器があったんですね。自分たちももっと尖ったものに挑戦していかないといけないと思いました。』

(社会組織人類学者のヘールト・ホフステードによる「たまねぎ型モデル」)
『シンボル>ヒーロー>儀式>価値観
その他、日常で無意識に行動されている「慣行」も価値観に繋がっている。』

『組織文化のDNAモデル
価値観、強み、行動、環境の4つの要素』

『組織文化醸成のための、3つの方法:
①ナラティブにして語る
②仕組み化する(日常習慣、制度、環境)
③価値創造モデルに埋め込む』

『エコシステムの、①人材サイクル』
(KOBIRAも、実際に応募してくれる人材の層がガラッと変わった。)

『モノを生む組織(理念経営1.0)から、チエを生む組織(理念経営2.0)へ』

『軍隊型の組織モデルが効果を発揮できるのは、「需要>供給」の環境。
「需要<供給」の環境においては、ユーザーにとっての意味という需要を創り出す必要があり、そのためには優先順位が「WHY>HOW>WHAT」になる。』

『伊藤邦雄『企業価値経営』によると、
会社の時価総額のうち実際の財務パフォーマンスが締める割合は、全体の4割ほど。
むしろ、現在の株価の6割は、事業による儲けを超えた、その会社が将来価値を生むであろう期待から生まれている。
会社が生むであろう将来的な価値の源泉は「人」であり、それは
「価値創造をできる人の数」×「会社としての価値創造の仕組み」×「会社がレバレッジをかけられる有形資産(プロダクト、お金、土地など)」の積によって求められる。』


■自社で取り組みたいテーマ


向き合いたいテーマや問いをたくさんもらったけれど、その中でも、KOBIRAが直近で扱いたいのは以下かな。

▼自社で作成したビジョンの解像度を高め、『「個人のナラティブ」と「組織のナラティブ」を接続させる』にはどうしたらよいか?

先代から現社長へとソース(源)が譲渡されるのに約1年がかかったのと同じように、一人ひとりのナラティブと組織のナラティブが接続するにも、ある程度の時間がかかるのだろう。そして時間がかかろうとも、妥協せずにアプローチし続ける信念と胆力が、CHROには求められるのだと思う。自社に最も合う方法でアプローチし続けたいが、どのような形が適切なのだろうか?

書籍内にある「ナラティブワークショップ」を自チームで試して展開しつつ、1on1でもナラティブについて触れる要素を入れていく感じかなぁ。それにより、センスメイキング理論に「可視化」を加えたサイクルを回していければよいな。


▼時間軸の中で、バリューをどう位置づけるか?

本文の中に『バリューは、あるべき価値観を新しくつくり出すものではない』という表現があるが、そうだろうか?(ここは個人的に少し違和感あり)
もちろん、現状と乖離しすぎてはダメなのは分かる。でも、これから大きく変化していこうとしている企業において、今ある価値観だけを言語化しても、現状追認になってしまうのでは?そして今のメンバーだけではなく、「未来に仲間として迎えたいメンバー」に響く価値観も置く必要があるのでは?
(そんなことを考えているので、KOBIRAの場合は、「まだマジョリティではないが、これから育てていきたい価値観」を、1/3くらい入れている感覚。)


▼パーパスナラティブキャンパスと、KOBIRAの110年の歴史編纂プロジェクト

KOBIRAは先代まで(良くも悪くも)トップダウンで進んできた会社であり、この1年間でMVVを言語化する際には、意図的に過去の歴史をそこまで細かく紐解かなかった。(紐解きすぎると、そこに従おうとするバイアスが強くかかりすぎてしまうリスクがあると判断。また、4代目に至るまでに色々大きな事業モデルの変遷もあって軸が変わってきたため、逆に混乱してしまうのでは?という懸念もあった。)

しかし、MVV+B(ベネフィット)までを作った今の時点から未来を見据えた時に、「改めて歴史を紐解くことが、背骨となるMVVを補強してくれるのではないか?」とも感じている。短期的成果に結びつきにくい活動にはなるが、110年の歴史を編纂してみたら何が生まれるのか、ちょっと楽しみ。


▼魅力的なKOBIRAのカルチャーデックを作りたい!

バリューの1/3~半分を「今はまだ無いがこれから体現していきたい価値観」として置いたこともあり、新生KOBIRAの「カルチャー」が形を成すまでにはまだ時間がかかる。
それでも今年に入ってから5か月で、バリューを体現したエピソードが200近く集まっていて、先日のVisionMeeting(全社集会)でも、文化の芽吹きを感じられるキーワードがたくさん出てきていた。
その文化の芽吹きとこれからの希望を凝縮したカルチャーデックを創りたいな。「これから」のKOBIRAに魅力を感じ、未完成の船に乗り込み共に創っていきたいという仲間とご縁を紡ぎ出せるように。



■終わりに


第4創業期の1/3を終えた今は上記のテーマだけど、フェーズが変わればまた違う問いが浮かび上がってくるはず。節目節目で読み返しながら実践値を積み上げ、ローカルだからこそ実現できる理念経営モデルを世に示していきたいな。

改めて、佐宗さんが自社(Biotope)での試行錯誤&クライアントとの知的格闘を経て、4年間の難産を経てこの名著を生み出してくれたことに深く感謝です(あとBiotopeの皆さんにも!過去何度かプロジェクトにも関わらせてもらい、自分自身たくさんの刺激や学びをもらいましたm(_ _)m)。

『理念経営2.0』。理念やミッションやパーパスというテーマにちょっとでも魅力を感じる人は、経営層に限らず誰もが手に取ってほしい本です!ぜひ!!


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