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エッセイ:15分

世の皆さんは15分あったら何をなさるのでしょうか。
私はなんにもできません。何もしないでぼ~っとする方がじょうずです。

とても久しぶりに朝ドラを見ている。
今回は連れ合いの故郷の島が舞台。自分の故郷ではないけれど、3年帰れずにいる島の言葉や景色にふれて、初回から視界が揺らいだ。
それにしても、15分にいろんな感情やできごとを織り込んで、半年かけて一つの物語にまとめて世の批評にも向き合っていくことは、私が想像するよりも、もっとずっと大変なことなのだろう。

私はと言えば、15分間の予定が朝にできただけで、暮らしのリズムがずいぶん違うものだなと感じている。
なにせ、20年以上在宅で仕事をしているうえに、夫婦2人とも曜日の感覚がない仕事で、暮らしがだらしないのである。メリハリってすばらしい。
 
つい最近、腕時計のバンドが壊れてしまった。
フィンランドのSUUNTOが2015年のネパール大地震の支援として発売したもので、小さくネパール国旗が描かれている。といっても、私が買ったのはずいぶんあとのことで、購入費が寄付されたのかはわからない。
それでもフィンランドの森とネパールの村々を歩き回るにはぴったりの相棒だ。
 
ところで、ネパール語には「分」と「秒」に当たる単語がないので、必要な時には英語を使う。おもしろいことに、日本との時差は3時間15分。インドとの時差が15分である。
本当の理由は知らないけれど、2つの大国に挟まれた小さな国の心意気を感じて好きである。似た境遇のフィンランドにも重なる魅力だと思っている。

とはいえ、ネパールはネパール。
飛行機を丸2日待つことはあっても、15分で何かを手に入れたり失ったりしたことは、私にはなかったと思う。
だいたい、むこうの友人とビデオチャットで話していても、「今何時?」に対するお互いの答えは適当だ。
インドとの違いはどこへ?と思うことたびたび。
「時差ってナニ?」という小さな友だちへ描いた絵はいつも仕事机の前にあるけれど、まったくもって気分の問題。
 


フィンランドとネパールが好きなのは、私の体内時計が、居心地が良いと感じているからだろう。フィンランドは太陽が昇らなかったり沈まなかったりするし、ネパールはネパールだ。もちろん旅先でのことで、住んでいたり、仕事の付き合いだったら違うのかもしれない。
 
好きな時計は腹時計。時間割はだいきらい。
そんな私でも、半年間は定刻にテレビ(パソコン)の前に座るつもりだ。
来週から東大阪へ舞台が移る。きっと同じように言葉や暮らしの光景を楽しみにしている方がおられることだろう。


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