【書籍紹介】「オランダ語入門(第2版)-文法、練習問題、テキスト訳注。語彙-」 下宮忠雄/著
☆とりあえずオランダ語をかじってみよう!と思った。
”ヘタリアのオランダさんにハマったから”という、明らかに不純な動機からオランダ語を学び始めてみました。
元が創作されたキャラクターとはいえ、国を擬人化したというコンセプトのもとに生まれた「蘭さん(仮称)」。
その人となりがどのようなものであるか知り、考えるためには、やはり思考の基盤となる言語を多少なりとも学んでおくとよろしいのではないかと。
比較的安易に踏み込んでみました。オランダ語学習。
やはり手軽にできるとなるとネット学習。
皆様ご存じ(?)「Duolingo」という無料の学習サイトがありますので、さっそく試してみたところ。
「日本語話者のためのオランダ語学習」が存在しない……!
いやでもそこで諦めるわけにはいかない。萌 is Power。
と、謎に無駄な気概を発揮した私は「英語話者のためのオランダ語学習」を開始。オランダ語とともに英語も学び始めることとなりました……
しかしながら、ここでひとつの発見。それは、
☆英語から学ぶオランダ語は思いがけなく楽だった……!
という事実。
前提として、私は英語については、はるか昔の中学生時代に英検3級を取ったような程度の記憶しかないという、なかなか情けない英語力。
また学生時代に第二外国語でドイツ語、第三外国語でロシア語を履修した経験があります。遠い昔のことでもはや記憶も定かではありません。
なのに、自国語でもない英語から学ぶ、さらに難解であろうはずのオランダ語は、なぜか非常にすんなりと理解できる……!
おそらく理由は、文法がほぼ共通であり、英語側にもドイツ語側にも語彙が似たようなものがいくつもあるというあたり。
国土の位置的にもイギリスとドイツの中間ということで、そのどちらにも共通点が多すぎる、というほどに多いことがその最たる理由だと思われます。
しかしながら、「似ている」ということは良いことも悪いこともあり、
・オランダ語の「of」と英語の「or」が同じ意味
・文頭に一般動詞を持ってきた場合、
オランダ語では「疑問文」、英語では「命令文」
・オランダ語の「G」の発音は英語とはまったく異なり、
喉の奥に力をこめた「はひふへほ」に近い感じ
などなどにはまだちょこっと慣れない今日この頃であります。
☆しかしながら、Duolingoと独学のみでは限界を感じたので。
もうちょっと脳内を整理しながら学んでみようかと考えて、オランダ語を学べる書籍を探してみたところ。
非常に良いご本に出会えました。
こちらのご本、固い表紙に厚めのページ数、と、一見とてもスクウェアでガッチガチな教科書、というような印象を受けます。
しかし中身はと見てみると、
・青で囲んだ部分が、いわゆる「語学」を学ぶページ
・オレンジで囲んだ部分が、オランダの歴史・伝説や民話のページ
・緑で囲んだ部分80ページほどが、ミニ辞書として使える「語彙」ページ
という構成となっており、
このオレンジの部分が予想外に読みやすく面白い!
この部分は文章をブロック分けして「オランダ語文章-日本語対訳文」を繰り返す形で綴られており、オランダ語が充分に理解できなくともオランダの歴史や物語を読むことができるようになっています。
(学習書としても、普通にオランダ関連の読み物としても優秀!)
また、206-207ページには「オランダ概要(人口や国土などについて)」、「オランダの歴史(西暦47年頃のローマ支配下~2013年現国王陛下即位まで)」が記載されており、
オランダという国についての基礎知識が、まずこの一冊で学べます。
★≪おまけの≫個人的にグッときたポイント≪萌え語り≫
そして私にとっては、真面目にお勉強しているつもりでありつつも、どうしてもそこかしこに萌えポイントというものが存在しており、それは例えば、
だったり、そしてテキスト部トップを飾るのが
というあたり(*´∀`*)
この書籍が日本人向けのオランダ語入門書ですので当然のこととはいえ、鎖国の頃から現在にいたる日本とオランダとの関係を、さらりとした語り口ながらも多岐にわたる文化の交流が書き連ねられております。
人名・時代などとても明解に各分野におけるポイントを押さえているので、ここで知った知識を手掛かりに自分でさらに深く掘り下げてゆくことができるというのが嬉しいところ。
また、こちらのご本の最後の最後には元ベルギー首相、EU大統領を務められたファン・ロンパイさんの俳句集から2句、オランダ語で詠まれた歌が紹介されているのも趣深かったりするのですが、
私としては「日本語-オランダ語 語彙」のページに
という語がさも当然のように出てくるあたりに、思わず見悶えてしまうほどの萌えを感じてしまうわけであります。
また、「英語からオランダ語を学ぶ」のが思いがけなく理解しやすいという個人的感想を抱きましたが、おそらく逆の「オランダ語から英語を学ぶ」も然りと思われますし、同じく親戚語たる「オランダ語からドイツ語を学ぶ」も同様。
つまりはこのことと、開国後の日本にとってのその後の歴史の流れについてを鑑みてみると、軍隊の近代化に伴い海軍はイギリス、陸軍はプロイセンを師と仰ぐことになったとき、
”オランダ語がどのような言語であるか多少なりとも知識を持っていた”というのは、英語とドイツ語それぞれの言語を改めて学ぶための良い土台になったのではなかったか。
と想像してしまうわけです。
(これがオランダ語からではなく、ポルトガル語・スペイン語からだったとしたら、さすがにこうはいくまいよ……と、ついつい愚考してしまう……)
と、いうような種々を学習中ずっと脳内で迷走させて萌えながら、私は今日もオランダ語をちょこちょこっと学んでみております。
しかしながら萌えポインツは人により様々、多種多様。
ぜひご一読後、「自分はここが……!」な箇所をそれぞれに抱いていただきたく、オランダ語学習に交えてこちらの書籍を紹介させていただきました。
ここまでお読み頂きありがとうございました。 今後も色々と精進してゆきたいと思っております。