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まるで名もない家事、採用業務に光。WBSで放送され、ちょっと時代の変化を感じた話

お疲れ様です。株式会社アールナインnote編集部です。

今日は「ちょっとだけ時代、変わったのかな?」と感じた出来事があったのでお話します。立春とは名のみの大雪予報におののきつつ、東京のオフィス街の一角から首を長くして春の訪れを待つ、筆者のひとりごとにお付き合いいただける優しい方、ありがとうございます。

あなたのために書いて良かったです。

私たちはアールナイン。2009年創業、企業の採用を手伝っている会社です。なんと去る1月29日、長年お取引のあるお客様(企業の人事担当者様)とともにテレビ東京様のWBS(ワールドビジネスサテライト)で事業内容が放送されました。これは、なかなか印象的な出来事でした。

というのも、私たちがお手伝いする"採用"という仕事、実はテレビで放送されるほど広く、浅く、一般に実態が知られているものではないからです。下の表を見て、具体的な仕事の様子が頭に浮かぶ方はどの程度いらっしゃるでしょうか。多くは、絵にはならない「名もない家事」のような業務です。

採用関連業務(一部)
採用関連業務(一部)

■まるで終わらない「名もない家事」

採用の一連の流れを「料理」という家事に置き換えて考えてみたいと思います。時々、趣味で料理をする一人暮らしの方は、鍋に食材を入れて煮たり炒めたりしている場面が「料理」だとお考えかもしれません。

しかしこれが、働きながら、家族4人分の料理を毎日1人で作るとなるとどうでしょう。単に作る量が増えるだけでなく、好き嫌い、栄養、アレルギーに配慮して三食の献立を毎日考え、安い時間帯・安い店で予算とにらめっこしながら食材を選定、家に運んで冷蔵庫に入れ、必要に応じて下処理、冷凍庫に貯蔵…とたんに工数が激増します。

さらに食器の準備、配膳、片付け、調味料の補填…"料理"とひとまとめにされる家事に付随する、目に見えない業務の多いこと。この煩雑さを知らない家族に「え、またカレー?」と聞かれたり、スーパーのお惣菜を活用したところ「手抜き」などと言われたりすると、複雑な思いに駆られます。

つまり、経験者が知る料理という家事には、2種類の業務があると言えます。実際に手を動かす「実務」(買い物、調理、配膳…)と、それを効率良く進めるための「計画・戦略」(家族のニーズ・予定把握、献立考案、予算・在庫管理…)です。多くのワンオペ料理担当を悩ませるのは後者です。

今晩この豚肉を使ったら余るから明日のお弁当に…。あ、鶏肉の消費期限の方が先だった。水菜もしおれそう。買いすぎた?あ、もうこんな時間!

気付けば1日中、料理のことを考えていたなんてこともあるのではないでしょうか。目的はご飯を作ることなのに、ご飯を作る以外の業務に支配される時間が長すぎます。実はこれ、人事のお仕事も同じです。

■採用も実務と計画・戦略からなる~「自分の家の料理くらい誰でもできる」のか?~

掃除、資料準備からご出演まで撮影にご協力いただいた社内のみなさま、本当にありがとうございました。何度でもお礼申し上げます。(写真は「資料を作っている様子」の撮影)

採用=面接のイメージが一般的かもしれませんが、これは料理で言うと、キッチンに立って鍋を持つという、わかりやすく絵になる一場面に過ぎません。その裏には求人票作成、エージェントとの調整、日程調整、合否連絡、書類作成…諸々の実務が重なります。さらに今年はいつ採用を始めるか、どんな人を何人、なぜ、どう選ぶか、どんな方法で見つけるか、どんな選考の流れが最適かといった計画、戦略作りも並走します。

ここで多くの担当者が困るのは、一つでも不具合が生じると全体がうまくいかないのに、人事は総務など別部署との兼任も多く、人数が少ないこと。さらに一つ一つの業務の性質が違いすぎるため「これはできる、あれはできない」といった得手、不得手もある点です。しかし一般的には、

「家庭を持ったのだから、誰でも『料理』ができるよね」(人事になったのだから、誰でも『採用』ができるよね)
・あなたの家族が好きなものは、あなたにしか『料理』できないよね」(自分の会社に合った人は、自社員にしか『採用』できないよね)

とみなされがちで、なかなか酷な話です。「料理なんて口に合えば良い」「心を込めて作ることが大切」という価値観ももちろんありますが、心を込める時間的余裕と技術がないことが今、問題となっています

実際は高度なノウハウや計画性がいる仕事にもかかわらず、傍目にはフィーリングでできると思われている節があり、上手な他の会社(他の家)のやり方を知らないと自己流で非効率なまま―。この点も家事に似ています。

そこで様々な企業の支援を通して知見を蓄積し、第三者として一部を手助けしたり、戦略や計画作りを助言したりすることで、その会社の採用の全体がうまく回るようお手伝いする私たちのような会社が存在します。

一部業務を社外に切り出すことで、本来最も大切な「心を込めておいしいご飯を作る」(候補者一人一人と顔を合わせ、丁寧に話をして見極める)ことにひとりでも多くの人事の方が時間を割けるように。

そして、もうちょっと加えるなら、その家族にとって真に栄養バランスの良い料理は、必ずしも家族だけで考えないといけないわけではありません。第三者が面接などに加わることで保証される選考の客観性・公平性が認知されつつあることも、私たちの需要がじわりと広がっている要因です。

■老舗ゆえの苦さや悩みも過去にはあるけど…

撮影される亮さん(代表取締役※全員あだ名で呼び合う文化です)

今回はこうしたメリットがストレートにテレビ放送されたことが、新鮮な点でした。というのも、私たちの仕事は日本語で採用「代行」とよく呼ばれており、言葉尻を捉えると「外部に丸投げ?」といった驚きや誤解からちょっぴり感情的な反応も引き起こしかねないからです。

この難しさ、苦さ、痛みは創業15年目を迎える業界の老舗として、よく理解しているところです。採用の外部委託とは何か以前に、採用とはどんな仕事かをうまく伝え切れない点が大きいと認識しています。(料理経験がなければ「自分の家族のご飯くらい、なんで自分で作れないの」と思われる方もいらっしゃるでしょう。気持ちはわかります)。

しかしながら時代もうつろい、男性中心の働き手が、そろって大企業への就職を望んだ高度経済成長期も遠い過去。少子化、人材不足、女性の社会進出、価値観の多様化に伴う採用難と、働き方改革による時短と効率化の鐘の音…昔できたから今もできるは、あらゆる面で通じなくなってきました。

こうした中で企業目線のメリットに触れる番組が出現したこと、何よりお客様が出演してくださったことは、私たちにとって新たな局面を感じさせる出来事でした(お客様、心から御礼申し上げます)

暮らしに役立つ商品やサービスを生み出すさまざまな企業。構成するのは「人」です。自社に合った人をうまく採用できないという悩みの深さは、そのまま経営や私たちの生活に直結する問題でもあります。

そのような重責を担うお客様、人事担当者の日々のご苦労にまずは光が当たってほしいと願ったテレビ放送でした。

■後日談:一般市民の(!)方からお電話が

オフィスエントランス

ところで放送後、一般市民のご高齢の方から会社にお電話がありました。

法人と取引するBtoB企業なので日常、こうした方からのお問い合わせはなく、一瞬緊張が走ったのですが、対応したメンバーによると「(住んでいる地域の)市役所に行くと人手不足な感じがする。(私たちのサービスが)行政にも導入できるなら市に情報提供したい」という温かなお問い合わせでした。さらに「お仕事頑張ってください」というエールまで…

BtoB企業は、お客様になりうる方々(私たちで言うと経営層や人事担当者)の心さえ掴んでれば、売り上げをつくることはできるという考え方もあると思います。わざわざ不特定多数の方々の前に出て、うまく伝えられず傷付き、落ち込み、くよくよ悩むくらいなら、浅く、広く知ってもらう必要なんてないと割り切ることもできるでしょう。

しかしながら、私たちが日頃、直接お取引する相手は企業であっても、その向こう側にいるのは、あまたの普通の働く方々です。お客様のお客様のお客様…こうして手繰った糸の先には、仕事帰りのお母さん、買い物をするおじいさん、部活帰りの中学生…過去も未来も含めてさまざまな「働くひと」の姿があふれているように思います。

普段、接することはないけれど、確かに、私たちとつながっている方々へ。

ひとつでも多くの企業が、自社に合った人をうまく採用できるようお手伝いすることは、ひとりでも多くの人が、自分に合った職場で活き生きと働ける社会をつくることです。

私たちは、誰もが活き生きと働ける世界の実現を目指します。

自ら伝えようする努力を諦めず、外に向かって扉を開き続ければ手繰り寄せられる貴重な縁もあると、一般の方のエールに改めて教わった一日でした。

お電話をくださったあの方にも今、この思いが届いてほしいと願います。

2024年2月
虎ノ門のオフィスの一角より、読んでくださる方に感謝を込めて



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