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抑圧と解放。

ZOZOTOWN×スプラコラボのピンクビーンズで人生観がちょっと変わったのはいいんだけど、ピンポイントでデザインミス(トップ画像の三角の部分の色が間違えている(本来は水色))らしくて爆笑している。どうもこんばんは。彗月はづき 漣太郎れんたろうです。ゲーム内でもめちゃくちゃ好きな靴で、2でも3でもギア付け替えギャンブルしまくっているピンクビーンズを思わず買ってしまった。合わせる服がないというのに!


安全靴と私。

実は中学生の頃から今の今まで、私はほとんどの時を安全靴(あるいは学校指定のローファーくらいだろうか)で生きてきた。就活さえパンプスだと毎回血まみれになるので黒い合皮の安全靴で行っていた。(1回だけ履き潰し過ぎて出先で靴底を落とし、自前で買ったが、安全靴以外の選択肢が特に思い当たらなかったので、似たような安い靴を選んだ)

何故か。私の足は物心ついた頃には25.5で、レディースでもメンズでも中々これという靴がなかった。いや、なかったことはないのだが、それに加えて親から提示された予算が2,000〜3,000円くらいで、買える靴が靴屋1件につき4,5足、その中でも変な色(何色とは言わないが、コロコロコミックのわんぱく主人公みたいなデカくてモコモコしてカラフルなやつ)じゃないものだと1足あればいい方、ぐらいだった。

さすがに自認性もファッションセンスもふらふらしていた自分でも『通学で制服にこれはおかしいだろ』というものの中から、ギリギリ指差して笑われないものを選ぶのに毎回時間がかかっていたのだが、ある日、その待ち時間と、もうちょっとどうにかならないかとか、他の店も見たいとかに痺れを切らした母親が「もうホームセンターの一番安い安全靴以外履くな!!!」と怒鳴り殴って、ホームセンターの一番安い靴はよくわからないけどとりあえず靴を買うためのラインナップではない事を悟り、泣いて謝りながらホームセンターに引き摺られて以降はずっとそこで買い替えていた。

クッソ重いしどう見てもメンズだしオシャレも何もない(今はそうでもないが、当時(少なくとも地元では)は本当に野暮ったいものしかなかったのだ)微妙なデザインの安全靴、そしてもちろん予算内のものの中から選ばされていた。以降は『親の機嫌を損ねて殴られるよりは楽』という理由で安全靴ばかりを買っていた。「足腰が鍛えられていいよ」とか「つま先踏まれてもダメージがないんだよね」とか言いながら。

オフィスカジュアルと私。

同じような理由で、服も大基本は1着あたり1,000〜3,000円(一度の買い物で1万円を越すと結構な顰蹙を買う)と言った感じだった。子供の頃はシャツ一枚でもよかったが、縦横と成長してサイズアウトするにつれ、『外を歩いても恥ずかしくない格好』というもの以外は許されなかったのでその通りにしていたし、服の買い替え自体も2年に1度くらいしかしなかった。パンツすら蛮族のようなボロさになるまで同じものを穿いていた。

縦横にデカい(6LのGカップ)の私がまともに着られる服もなく、とにかく悪目立ちしないくすみカラーの、縦横の縞はデブとか、膨張色とか、年相応とか、なんかそんな感じの基準に満たない服は「バカみたいな服選ぶな」とか「そんなものをベランダに干さないといけないわけ?」とか「絶対似合わない」とか「コスプレ服を選んでるんじゃないんだよ」とか「そんな色の服着て外歩くの?」とか、とにかくほぼほぼ大否定されるものだから、面倒になって「安くて似合いそうなの選んで〜」で済ませていた。

私の服はごく一部を除いて、たぬき色かくすみピンク、シックな総花柄、そんな感じだった。それを2,3年着倒して穴が空いたり、人前でスカートが落ちてケツを丸出しにしたりしてから買い替える感じだった。たまに親の趣味が変わると総レースやパンツスタイルになった。正直、デブでブスでメガネでひょうきんピエロの私にファッション性なんて求められていないと思っていたので、90年代恋愛シミュレーションの私服みたいな珍妙さがなければどうでも良かった。興味を持つことすら億劫だったのだ。

メガネと私。

以下略……でもいいのだが、まあ同様にメガネも、店の中の安い順で、度数が対応していて、親の基準で『変じゃないもの』で選んでいた。そして、特にメガネは高級品なので、コーティングに傷が付きに付きまくり、会社の人に怪訝な顔で「メガネ汚っ」とビジネスマナーとして怒られる始末。「これ全部コーティングが取れちゃった傷で、買い換えるお金がないんです」って言って謝るなどしていた。(客前の仕事でもねーのにうっせえよバカとは思っていた)大体ものがほとんど見えなくなるぐらいまで使い、もう眼鏡がかけられないレベルまで劣化して壊れるまで使っていた。(メガネ歴は25年ほどだが、多分つい最近買った今のメガネがようやく5本目ぐらいだろうか)

ただし、メガネについてだけ言えば、大人になってから一度だけ『絶対にこれがいい!!!!!!』というすごく可愛いメガネに出会い、どうせ似合うメガネなんて見つからないし、目が悪過ぎて自分で似合うかどうか確認もできないという理由で付き添いで来てもらっていた妹からも太鼓判をもらい、予算は大幅にオーバーしていたのだがちょうどその頃若干稼いでいたこともあり、自分で予算を上乗せしてでも絶対に買うという意思でそのメガネを選ぶことが出来た。

メガネだけはここ数年可愛かったし、今のメガネもある程度の妥協はあったとはいえ、好みのデザインばかりを「そんなの似合わない」だの「高い順に選ぶのお父さんにそっくり」だの「頭悪そうに見える」だの言われない所で、急かされることもなく選ぶことが出来た。ヘキサゴン型とか丸メガネなんて試そうもんなら怒鳴られていたのを初めて試したりもした。驚くことに意外と似合っていた。ちなみにサングラスも試した。(太陽光の下に出るたびに目がかなりしばしばと痛かったのだ)割と似合っていた。

苅野くんと私。

そして、妥協したものに囲まれて生きていた私は、実はド課金勢で、自分というリアルアバターがゴミクソなのに対し、あらゆるアバターアプリの姿は可愛いので、とにかく課金しまくっていた。まだフルコンプ商法が法律で禁じられていない時期に2回、天井なしガチャをフルコンプしたことがあるほどだし、今も油断するとアバターを買い漁ってしまう。苅野くんにも割と惜しみなく課金していた。(ちょっと今あまり触れないので一旦は抑えられているが、多分またアバターをいじり始めたらどんどんBOOTHに課金していくと思う)

脱出してからの傾向として、まあ家で着る物もこれからは人に見られないわけだし(虫が嫌いすぎて外に出られないから、全部部屋干しなのだ)猫ちゃんパジャマとか買っちゃお〜とか、シーツを花柄にしちゃお〜とか思っていたのだが、苅野くんを好きなようにいじっているうちに、これまで自分が似合わないと言われまくっていた緑色に興味を持ち始めた。いわゆる推し色といった感じのそれなのだが、その流れで、なんかこう、「あれ?もう好きな服買えるんじゃね?」と気付いた。

しかも苅野くんは元々自分の陰気さを引き継いだキャラで、(基本的には)特殊な設定もなく、特殊能力もなく、かっこいい彼氏も彼女もいなくて、というか人付き合いもなく、そばかす……はまだ自分で受け入れられなかったが、そばかすの代わりに星柄が顔にあって、でもそれもファッション性とかじゃなく付け外ししていて、コミュ障のただの人間だ。(一応推しのビーくんとの絡みを妄想して過ごす夜もあるが、夢女子としての遊びとして完全にキャラとは分断している)

苅野くんの推し色や概念アイテムで部屋着やら何やらを揃えているうちに、ガワだけはまだ可愛い苅野くんが自分に侵食していた。というか、こうやって自虐的に自分を貶しているし、それが世間一般の評価であることはもう本当に散々思い知っているので人に同意してもらうつもりはないのだが、自分では顔のパーツ配置だけはいいと思っているのと、幸か不幸か買春させられていた時期のグルーミングにより、割と自分の身体も顔も「まあ蓼食う虫も好き好きってレベルには可愛いよね」と思っている。のだ。なので、苅野くんの私服姿ぐらいの服なら許される気がしてきていた。

ミリタリーとか
カラータイツとか
面白シャツとかあたり

ので、とりあえずこれまでのくすみピンクとかそういうのじゃなくて、思い切って緑!オレンジ!4色縦ストライプ!アクセサリーも付けちゃうぞ!ミルキー柄のバッグも買っちゃえ!とやってみた。

似合うじゃん!となった。しかもオレンジについては事故でカビキラーを付けてしまい黄色く色落ちして半泣きになりつつ、「いっそタイダイ柄にしようぜ!!!!!」とあちこち縛って追いカビキラーしてリメイクした。いい感じのタイダイっぽいシャツになった。家だったら絶対に殴られていただろう。

正直今までなんだったんだ。と思った。それでもまあ入力事務程度なら許されるオフィスカジュアルの範疇だ。面接でもコンビニバイトぐらいなら許されそうだ。こんな程度の服を異常だのバカみたいだのと言われていたのか、と、虚しくなってしまった。可愛い服着てもいいんじゃん。そう思った。

ピンクビーンズと私。

そして去年、ZOZOTOWNとスプラトゥーンのコラボでピンクビーンズという靴がリアルで発売されることになった。

実はスプラトゥーンのニワカながら、一番好きな装備なのだ。ショッキングピンクが元々大好きで、まるっとしたフォルムに引き締めるエメラルドグリーンの靴紐。しかもキッズサイズだけかなと思ったら自分のサイズもちゃんとあった。

ただ、実は買うかどうかものすごく迷った。予約期間いっぱい迷った。何故か。私はこれまで2,000円の安全靴ばかりを履いていた。突然ポンと1万円の靴なんて買えなかったのだ。今の生活の収入はおよそ10万なのもある。が、着後払いが出来て、それがしばらく先であること、自覚してきちんとそれまで靴の分の値段を確保しようと家計簿にも日記にもカレンダーにも書き込んでうんうんと唸っていたこと。あと、なんかほんともう何もかも辛かったので勢い余ってポチった。なんやかやクーポンがついて7,000円かそこらだったのもあって安く買えたのが功を奏したし、今月は想定外の収入があり(価格高騰給付)で難なく買うことが出来た。

ちなみにシアンも苅野くんカラーとして買うか迷ったが、シアンビーンズはゲーム内ではさほど使ったことがないのでやめた。

買ってから待つ間に何が起こったのか。ここまでの流れで、自分が好きなものを着てもいい、自分のリアルアバターに課金しても怒られない。まあ『デブスがオシャレしてる笑』と知らん人にバカにはされるかもしれないが、まず外出自体も稀だ。ご近所さんも付き合いはほぼない。訪看さんや職場の人たちは全肯定してくれる。

あれ?じゃあ好きなの着ていいじゃん!となった。怖くないじゃん!となった。ので、ピンクビーンズに合いそうな服をガンガン買った。そして安いやつばかりだが、家では買えなかった変な柄の服やイカだかタコだかの柄の服も買った。(ちょっと小さかったけど全然入るし、最近体重が落ちているからそのうちストンと着られるようになるだろう)

ついでに言うと、実はくすみカラー系のおとなしい服を着ている時、とにかくめちゃくちゃナメて話しかけられるのだが(ナンパからマルチから宗教から知らん人との世間話まで)その中で直近でちょっと身元が割れかねないようなヒヤリハット案件があり、それも含め『迂闊に話しかけられないよう威嚇するための服』というコンセプトで服を選んだのもある。髪も染める予定だ。

リアルアバターと私。

アバターというものを被り始めたのは中学生ぐらいからだろうか。ラグナロクオンラインの男プリーストとかそんな感じのところから始めている。(正確にいうと、ある個人サイトの管理者(代理)としてアイコンとかを多分使っていたので、そのアイコンが自分の最古のアバターになると思うが)なので本来の姿のりも、その時にハマっているサービスの自分の方がよっぽど私なのだがそれはそれとして、物心ついてほとんど初めて、リアルアバターという私自身の身体に課金をしている。

面白い。他の人はこんな楽しいことをしていたんだ、というショックもあるが、何せ今は天下無敵の引きこもり無職様である。(いや一応雇用はされているがおおよそ無職である)何を着てもいいし、何を干してもいい。今なんかは冬用の服が軒並みネコやらクマやらのもこもこなので着ぐるみが常に干してあるわけだが、誰にも怒られない。胸にド不謹慎なイラスト入りのパーカーを着ているが(大好きなイラストだけどこれはさすがに街中に来ていくのはちょっと怖いかな……)職場やかかりつけ医でチラ見えするぐらいなら全然大丈夫だ。

お風呂にも面白い入浴剤を入れ放題だ。まあ詰まりや劣化は怖いのでせいぜいがラメとか香り付きとかだが、掃除も自分でやるわけだし他に同じ湯船に入る人がいないから、薬湯だけじゃなくてピンクやコットンキャンディの香りやミルク風呂にしてもいい。髪の毛をピンクに染めても爪を赤くしてもいいのだ。(この辺りは気力が追いついていないが……)ピアスも……開けちゃおうかな……!

清楚と私。

とにかくデブスというか、悪目立ちしない扱いやすい女像として、母親だけじゃなく、会社にも、社会にも、そして客にも求められていたのは『清楚のテンプレート』だった。髪の毛は黒髪ロング、化粧はナチュラル、爪は整えはしても塗ることは忌避され、香水は付けずシャンプーやボディソープ(フローラルとかね)の香りをしていなければならなかった。

必ずしも清楚が悪ではないが、私は30年、清楚を強いられていた。というか、清楚から外れる事での、あらゆる暴力に追われていた。多分まあ、清楚から外れてもぶつかり男には遭遇するだろうし、指をさして笑われるだろうことは想像に難くないが、それでも、好きでもない服を身にまとっても同等かそれ以上の危害を加えられるなら、好きな服を着たくなった。服を選ぶ楽しみも味わってみたい。

自慢。

刮目せよ!

スプラの中に存在する『アロメ』というブランドの箱だ
ンギャワイイ!
三角部分については対応待ちだが
もうこの靴が人生を変えたので交換はするつもりはない
(ただしサイズ的に色々仕込まないといけない )
中敷にもアロメのロゴ!
中敷がすり減った時のためか、もうワンセット入っている
おまけのギアパワーラバストとシール
ムダ撃ちしがち初心者から抜けられないから
メイン効率はほんとお世話になっている
シールもキーホルダーケースとかに入れようかな

こんなに可愛い靴を買うなんて思わなかった。服を楽しめる日が来ると思ってなかったので、色々な服の名前を知るところから始めないといけない。スカンツとか変形ガウチョとかプルオーバーとかビッグシルエットとか……おわー!ってなる。予算の許す範囲で、しばらくはリアルアバターとVRアバターだけにお金をかけようかなと思っている。楽しみだ。

次回予告。

わかんねー!とりあえずリアルアバター云々がどんなに楽しくても絶望や希死念慮と交互交互に生きているから、更新されるかすら怪しいぜ!

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