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里親は子どもに「帰ることのできる場所」を与えられる。【里親体験談-ホッブス美香さん #3】

前回に引き続き、ホッブス美香さんにお話を伺いました。

ホッブス美香さん
東京都B区在住。2003年に里親登録をし、2015年からファミリーホームを運営。アイルランド人の夫と共に長期・短期合わせて18人の里子を育てる。

フレンドホーム(季節里親)について

ー東京都だとフレンドホームという季節里親のような短期受け入れがあり、仕事があり実子もいる里親希望者にも向いていると思うのですが、いかがでしょうか?

里親登録をしなくともフレンドホームにはなれます。直接施設に登録する形です。フレンドホームをやっているかどうかは、近場の施設に直接聞いて確認する必要があり、施設の方針でやっていないところもあります。
子どもに必要なのは「家庭のような」体験ではなく「家庭」なので、どのようにフレンドホーム制度を活用するかはなかなか難しい課題もありますね。


里親の生活

ー複数の子どもの里親をされている美香さん自身に、自由な時間はありますか?

学校や幼稚園に行っている時間は自由ですよ。週に4回、放課後には学童(放課後デイサービス)もあって、夕方は18時くらいまでそこにいられます。幼稚園には延長保育もあります。そういった制度に頼らなないと、特に障害のある子を複数受け入れる場合は中々大変だと思います。

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(写真はホッブス美香さんご提供のもの)

これから里親を目指す人へのメッセージ

ー今後、どのような方に養育里親やファミリーホームをやってほしいと思いますか?

基本的にはこういった事に意義を感じる方にやっていただきたいです。
そして、子育て中の若いママ、子どもが巣立ってまだまだ元気なシニア世代にもお願いしたいです。今後乳幼児専門の短期里親なども必要となります。実親へしっかり帰るまでお預かりする里親も必要ですね。


里親に興味のあるRACメンバーとのQ&A

RACメンバー(以下R):なぜ養育里親やファミリーホームはハードルが高いと感じる人が多いのでしょうか?

美香さん:まずはそういった里親制度について、養育費がもらえるなどの詳細を知らない方は多いです。ですが、たとえ知っていても、やはりまだハードルが高いと感じる人が一定数いらっしゃいますね。逆に私から伺いたいのですが、どのようなところにハードルを感じられますか?

R:私は実子が2人いて、下の子がまだ0歳なのであと3年くらい経ったら里親も考えられるかなと思っています。一方で、フルタイムで仕事をしていてその仕事が好きなのですが、繁忙期は帰るのが遅くなることもあるし、仕事をしつつ、実子と里子の3人の面倒を見られるかなというのは不安ですね。なので、まずは週末里親やフレンドホームのような、自分に余裕があるときに短期で受け入れられるものから始めるのが良いのかなと思っています。

美香さん:そうですね、実子との兼ね合いはありますよね。

R:私自身が3人兄弟でして、3人いてすごくよかったなと思うことが多いです。一方で、私が2人目の妊娠のときに、仕事と子育てをしながら妊娠生活を過ごすというのがとても負担が大きく、自分で3人目を産もうというのはもうあまり考えてないです。なので、3人目の兄弟として里子さんを迎えてみたいなという気持ちはあります。実子2人に大人になってからもうひとり相談できる相手がいるのは良いですし、また、迎えた里子にとって、私の家が「帰ることのできる場所」になったら素敵だなと思っています。ただ、こんな自分や自分の家族本位な理由で里親になって良いのかなと悩んでいます。

美香さん:「二人目が欲しくて」「三人目が欲しくて」といった方はいらっしゃいますね。ご夫婦、お子さんとよくお話しして進められたらいいですね。子どもに「帰ることのできる場所」を与えられる里親になるのはとても素晴らしいことだと思います。家族本位だとは思いません。

R:里親をする中で、具体的にどのような方に、どのような助けを求められていますか?

美香さん:一番シンプルなのは、里親仲間、先輩につらいことや愚痴を聞いてもらうことですね。また、習い事や地域の活動でお世話になることも多々ありました。里子の中に野球をやっている子がいたのですが、地域の野球チームに入っていました。

最近では、児童相談所も様々なサポート体制ができています。例えば都内には「児童虐待防止センター」もあり、里親子のサポートも色々あります。

R:子育てをしていると、自分の住んでいる地域や自治体に興味を持ちます。

美香さん:地域の方々には本当に支えてもらったなと感謝しています。皆さん、こちらからお願いする前に助けの手を差し伸べて下さったし、私が里親をしていることを知ると、何かしたいと思ってくださる方は多かったです。


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里親をするからと言って自分たちだけで子供を育てようとするのではなく、地域の方や里親の先輩方に助けを求めていくことが大切なんですね。

子どもに「帰ることのできる場所」を与えられる里親は素晴らしい制度だと改めて感じました。

ホッブス美香さん、今回はお話を聞かせて下さりありがとうございました!

記事の1つ目はこちら


記事の2つ目はこちらです。


聞き手:RAC

編集:N・彩



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