先に進む、その前に。


4年間の記憶。


好きか嫌いかで言えば嫌いだった。
地元からも、都心からも絶妙に遠い大学。
いつも殺伐としている朝の電車。
私には少し窮屈だった狭い世界、人間関係。


実質通ったのは3年くらい。
どうしても毎日電車に乗るのが嫌で、できる限り全休を作っていたから。
日数にするとどれくらいになるんだろう。


***

高3の終わり。
合格発表、受かってるなんて露ほども思わず、ネットの掲示板を一気にスクロールさせたあの日。
他大学の後期日程を受けに行く前に確認だけしようと思っていた。

電車の中で、自分の番号を通り過ぎてまた戻って。
うる覚えの自分の番号らしきものを見つけ、心臓がばくばくと音を立てた。

最寄駅に着くなり、母親に電話をかけた。「私の受験番号、何番だっけ?」
 思っていた通りの番号が返ってきて、私は返した。「あー、じゃあ私、受験終わったわ」
受かったよ!でも、落ちたわ、でもない発言に母親は少し黙って、「……受かったの?」と。
携帯画面を見せても信じてもらえなくて、実際に2時間近くかけて大学まで見に行った。

この大学に来たのは、ふらっと見に行った1回と、受験の2日間だけ。
3度目に行く大学は、素敵な場所に見えた。
こんな頃もあったなんて。


大学4年間。
進路が決まらず苦しかったり、部活が嫌で嫌で仕方がなかった記憶がたくさんあるけれど、
楽しいこともあった。と思う。


友達と全然わからないとブチ切れながら論文の文献を図書館で探したり、
どうしても早く帰りたくて、情報の課題をものすごいスピードで友達と終わらせたり、
授業に出るのが面倒で、友達と交互に授業に出てノートをとったり、
遅刻したくなくて片道500円以上かけて行った1限の授業が臨時休講で友達と怒りながらご飯食べたり、
図書館の談話スペースで自主ゼミをしたり。


大学の近くのアイス屋さんでのんびりアイスを食べたり、
コーヒーミルを持ってる友人の下宿先に遊びに行って、何も喋らず、何も聞かない時間を過ごしたり、
高倉町珈琲でスフレオムライスを食べたり、
宅飲みオールして死にそうになったり、
クラスの友達と普通にご飯を食べていたら彼氏と間違えられたり、
ゼミ終わりにギャーギャー騒ぎながらジョナサンでご飯を食べたり、
待ち合わせ時間までエクセで時間を潰したり。


あんなに嫌いだった電車からも、
晴れている日は富士山が見えるんだよな。
友達と眠い眠い言いながら電車に揺られたのも、
隣に立ってるおじさんに肘で頭をグリグリされ続けたのも、
思い返せば楽しかった気もする。


家から大学までの全部の駅でおりて、いろいろなことをしてきたから、駅名見ただけでいろんな記憶が蘇る。

ここのカラオケには何度もお世話になったなとか、
駅近くの蕎麦屋がおいしかったなとか、
「負けた方がこの後の飲み屋を決めよう」ってボーリングしたなとか、
すき焼き美味しかったなとか、
電車で寝過ごして起きたらこの駅だったなとか、
この駅よくおりてたけど何してたんだっけなとか、
焼肉の美味しい店があったなとか、
いつ行っても空いてるサイゼで勉強したなとか、
雨の中ショッピングしたなとか、
アルコール持ち込み可のお店で飲みすぎて死んで警察のお世話になったなとか、
なんとなくおりてみたらお店がほとんどなくて、やっと見つけられたのが駅から10分以上歩いた先のくら寿司だったとか。



忘れていたし、そもそもあっという間で何もなかった気もしていたけれど、思い返せば色々あった。
こうすれば良かったなと思うことも数えきれないけれど。


ちょっと感慨深いけれど、別に名残惜しくはない。
戻りたいとも思わない。
やり直したいことはあっても、4年間は長すぎるから。
それに、私は早く次に進みたい。



好きか嫌いかで言ったら嫌いだったけれど、大学の4年間ここで過ごして良かった。

卒業します。ばいばい。

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