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ハンチバックと公務員の窓口業務について

第169回芥川賞を受賞した市川 沙央さんの「ハンチバック」を読んだ。
息子が骨形成不全症という骨折しやすい難病を抱えているのもあって、当事者の書かれた小説に非常に興味を持ったためだ。

小説の中で非常に印象に残った文章の1つが、下記である。

さっきのは会話じゃなくて攻撃だったな。何で私が弱者男性に攻撃されなきゃならないんだ。いや、田中さんの言いたいことはわかるけど・・・・・・。

「ハンチバック」市川 沙央

この文章は、基礎自治体の窓口業務をしている私にとって、非常に共感を覚えた文章だった。
窓口には度々、公務員に対して攻撃をしてくる人が現れる。
税金が給料である公務員に対しては何を言ってもいいという思いがあるのだろう。この給料泥棒が、みたいな声が1階の窓口部門では聞かれることも普通だ。
どうしてあんなにもやもや嫌な気持ちになるのか、会話ではなくて攻撃されていたからか、とこの文章を読んで非常に納得した。

このように小説を読んでいる時に、自分の気持ちはそうだったのか、と気が付くことがある。作者は別に窓口業務を行っている公務員にこの言葉が響くと思って書いたわけではないだろうが、ありがとうという気持ちになった。

息子と同じ病気で様々な活動をされている安積遊歩さんの名前も小説の中に出てきてどきりとした。カイロ会議での遊歩さんの発言、少しだけ調べて読んだところ、これは今度しっかり時間作って読まねばと途中で中断。息子が泣きだしたので。

まだまだ読みたい本は積読されているので、読書の秋が少しでも捗りますように。

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