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朝霧灯
2024年2月4日 10:28
十 全ては星の中で踏みしめる一歩、この先には何があるのか?期待と緊張が渦巻く胸中、心臓がハカハカと音を奏だす。それは体をつたい二兎吉の耳に流れ込む。少しこわばった顔をしながらその視線は真っ直ぐ目の前を見つめ歩いていた。乙女座駅に着けばすぐに真相がわかると思っていた。だが、汽車を降りたと同時にヌラはこっちだよと私を案内しだした。目の前をテトテトと歩き、私を何処かに導いていく、
2022年7月18日 16:18
九 ヌラ二兎吉の膝の上で寝てからどれ程たったのだろうか?ヌラはムクッと起き上がり様子を見た。まだ二兎吉は景色を眺めていた。「え!まだ見てる。今何時だと思って??」ヌラはそう言いながら展望デッキ入り口にある時計を見た。時刻は夜の12時を回っていた。「ん?・・・はぁ??」暫く考えたヌラは驚愕した。展望デッキでくだんと別れたのが大体夜の7時になりかけてたから、もうかれこれ合
2022年4月17日 10:57
八 宙に見える星の瞬き雪の降るポラリスを抜けてまた雨の降る町まで戻ってきた。汽車は再び北斗七星駅に立ち寄り、さっきよりも短い停車時間で発車していく。「次は~牛飼い座町~牛飼い座町~アルクアゥルス駅に止まりまーす。」車内アナウンスが響く、二兎吉はそのアナウンスを聞きながら窓の外を見続ける。もう雨は殆ど止んでいる。窓の外には白や赤や青や黄色など、多彩に彩られた星々が遠くで瞬いている
2022年2月27日 15:05
七 北に向かう「次は~ポラリス~ポラリス~、北極星駅でございます。寄り道駅となりますのでご了承ください~」汽車が発車してから暫くしてそんなアナウンスが流れた。「ポラリス!北極星駅!!ワクワクする名前だね。そこには何があるのかな?」二兎吉は胸を躍らせながらヌラにそう話す、外の雨もまた小ぶりになり外の景色が少しだが見え始めてきた。だからこそ二兎吉の気持も晴れてきているのだろう、だからこ
2021年12月26日 16:14
六、七つ星のお化け少しせつない気持になる二兎吉、片手に弁当を持ってもう見ることの出来ない獅子座町の駅を想像し景色の先を眺めていた。少しの間だったのに、あの人は私の心に寄り添ってくれた。暖かかった。もっと一緒に居たかったけど、彼はまた何処かで会おうと言ってくれた。だから悲しかったけど堪えられた。二兎吉はその場で少しだけ感傷に浸り牙狩(ががり)から貰った暖かみの残像を気持の中で味わ
2021年11月13日 09:50
五、強い牙には優しさがある。発車する汽車、外を眺める二兎吉、外は相変わらずの雨で晴れる様子はない、屋根を打ち付ける音は激しさを増してカラカラと音色を奏でていく「雨音は好きだけど、雨は嫌いだな!はやく止んでくれないかな、景色を見たいよ」窓際に頬杖をついてため息を漏らす。カッパさんに景色が綺麗だからと言われてから眺めたくてしょうがない二兎吉はまだかまだかと胸をソワソワさせながら雨が止むのをじ
2021年10月24日 17:35
四、星の海を眺めて「お母さん!私行かなくちゃいけないの、ずっとずっと遠い場所に行くけど、また戻ってくるからその時また優しくしてね。」「・・・いってらっしゃい、ゆっくり休んでいつか必ず帰ってきてね。待ってるから」「さようなら、また会おうねお母さん、行ってきます・・・行ってきま・・・す」声が聞こえる。どこからだろう?私が話している声?よくわからない、白く果てしない空間の中で私は自分の声な
2021年10月10日 15:48
三、星に願いをあれからどれくらい時が経ったのだろう、私は意識を取り戻し目を覚ました。見上げる天上はいつもの部屋とは違いボロボロで黒ずんだ丸太が組まれた屋根裏がむき出しになっているような状態、部屋の中は少しカビ臭い、体は動かないが部屋を見渡せる。明らかにここは私の部屋じゃない、お寺の中の部屋だ、時刻は夜なのだろう部屋の中は暗く小さく取り付けられている窓からは月明かりが差している。あれから数
2021年9月27日 20:19
二、陰消寺(いんしょうじ)の和尚 物心つき始めてから見え隠れし始めた二兎吉のおかしな言動に疲れが溜まり始めていた両親は、何とかならないものかと周りに相談した結果、町にある小高い山(蛙ヶ山※かわずがやま、近所の人達はカエル山と呼んでいる)の上にある陰消寺と呼ばれる廃れた寺に居る和尚が、何かしら対策をしてくれるだろうと言う近所の者達の曖昧な言葉を信じ、二兎吉をそこに連れて行き何とかしてもらう事にし
2021年9月19日 13:10
一、〝私〟の心の声 今日もまた私は夜空を見上げ星座を見つめる。綺麗に瞬く星空を眺めながら私はいつも夜に思いにふけっている。あの綺麗な星々の中にある〝乙女座〟と言う星座、それは名前の如き姿形で夜空に腰を据え、私を見下ろしてくれている。星という名のドレスを身に纏い、煌びやかで美しくその存在を示してくれている。私はそんな乙女座が好きで毎日のように空を見つめ確認しようと試みる。乙女座っての