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Ray シンプルに生きるミニマル家族 ▪️強迫性障害の私×家族 ▪️シンプルミニマルな暮らし 『 曖昧な色の落とし物 』 ノンフィクションnote小説として 少しずつ連載しています。 引っ越し準備の為、半年程お休みします

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自己紹介『曖昧な色の落とし物』

はじめまして。Rayと申します。 夫•息子•私の3人家族。 シンプル×ミニマルに暮らしています。 私は「強迫性障害」という病気を患っています。 現在、治療8ヶ月目。家族の支えもあり、少しずつ前に進むことができるようになったところです。 この病気を通して、失ってしまった大切なことは本当に数えきれないくらい沢山あり、今取り戻すための努力をしています。 病気の症状による視点で得たことは、そのまま継続を。 「シンプルに生きる、ミニマルな家族」への道ともなったからです。 ▪️シ

    • page 13 『 曖昧な色の落とし物 』ノンフィクション

       室内の明るさとかすかに聞こえていた鳥たちの声が、徐々に顕著になってきていた。目映い朝の光が窓から燦々と降り注ぐ寝室は光で溢れ、外の街路樹では無数の鳥たちが一斉に声を上げて鳴く。からりと晴れ渡る今朝の空を、皆で喜び合ってでもいるのだろうか。私はベッドでうとうとしながら、その元気な鳴き声を何度も耳にした。 どちらも、どんよりとした様子の私とは真逆な雰囲気を放っている。だが「そんなことは、全くもってお構いなし」そう言わんばかりの辺りの明るさも、鳥たちの鳴き声もいつまでも続き、私

      • page 12 『 曖昧な色の落とし物 』ノンフィクション

        第6章『 感情の交差 』  時計の針が、まもなく夕方の4時を指そうとしている。刻一刻と夫の出発時間が近づきつつある中、私達はマドレーヌやフィナンシェ等の焼き菓子を口にしながら、思い思いの時間を過ごしていた。ある者はコーヒーを片手に本を読み、ある者は携帯電話を触ったり、お喋りを楽しんだりと。 息子「次はどれにしようかな〜?」 30分程前に学校から帰ってきた息子は、目をキョロキョロさせながら2個目の焼き菓子を選び、嬉しそうに口へと運ぶ。 夫「これ飲み終わったら、そろそろ出

        • page 11『 曖昧な色の落とし物 』ノンフィクション

          第5章「 10年目の真実 」  翌朝まだ辺りの薄暗さも僅かに残る頃、玄関から「ガッ...チャン」という低く鈍い音が聞こえた。それは父が外へと出掛けた音である。 おそらく、今朝も散歩へと向かったのだろう。 仕事がリモートワークになってからというもの、天気が良い日は決まって、早朝のウォーキングやストレッチへ出かけることが父の日課となっているという。  父が出掛けた後の室内はしーんと静まり返っており、他の誰かが起きている気配は全く感じられない。 一体、今は何時なのだろう?

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        自己紹介『曖昧な色の落とし物』

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          page 10『 曖昧な色の落とし物 』ノンフィクション

           暫くのあいだ、私はリビングダイニングの椅子にうわの空の状態で座り続けていた。 体を動かさずにじっとしていると、不安がより増強しているような印象を覚える。頭の中の考えだけに意識が集中してしまい、不安に晒されている現況がはっきりと認識できてしまうようだ。  きっと頭の中は今、混乱中という状況に等しいのだろう。どう対処すれば良いのかわからない無数の情報が、常に脳内であちこちへと飛び交い、ごちゃごちゃになっている。それと同時に、心臓の鼓動までもが激しく感じていた。  深呼吸をし

          page 10『 曖昧な色の落とし物 』ノンフィクション

          page 9『 曖昧な色の落とし物 』ノンフィクション

           なるべく、両親の行動は見ないように。そして私との行動の違いに気付くことのないように...。 私はそう心掛けていた。しかし、現実はやはり厳しく、早速気付いてしまうこととなったのである。  家に上がると、父親は手を洗う前に部屋の電気のスイッチやクローゼットに触れ、そして荷物を置いた。頭では分かっている。単に私とは、手を洗う順番が違うだけのことだ。 勝手に不快感を私が覚えてしまうだけにすぎない。しかし、不安感はその想いとは裏腹にどんどん増していき、どうしても心のざわつきが止ま

          page 9『 曖昧な色の落とし物 』ノンフィクション

          page 8『 曖昧な色の落とし物 』ノンフィクション

          第4章「 5年振りのお客さま 」  明くる日の朝を迎えても、私の気分は変わることはなく憂鬱なままだった。 明日からどうしよう...  目が覚めた瞬間から、どうにもならない不安な 想いが常に私に纏わりついていて、離れてくれないのだ。「ドクン、ドクンッ」という強い胸の鼓動も、その不安な気持ちに更に拍車をかけるかのように私を追い込んでくる。 とりあえず動悸だけでも落ち着かせようと、私はベッドの上でゆっくりと深呼吸を繰り返した。  夫は明日の夕方には出張先へと向かう予定と

          page 8『 曖昧な色の落とし物 』ノンフィクション

          page 7『 曖昧な色の落とし物 』 ノンフィクション

           以前の私は新たな一歩を踏み出すことも、嫌いなほうではなかったし、それなりに挑戦もしてきた。細かいことを気にしてしまうような性格でもなかった。だから正直、こんなややこしい病気になるとは思いもしていなかった。  明らかに自分がおかしいことをしているという認識があるから、友達にも本当のことは怖くて 話せない。「本当はやめたいのに、手を洗うことがやめられなくて、こんなに手がぼろぼろに...」 そんなことを口に出すことはできないと、必死に手を隠し、いつも通りの普通の私を装っている。

          page 7『 曖昧な色の落とし物 』 ノンフィクション

          page 6『 曖昧な色の落とし物 』ノンフィクション

           「 きょうはくせいしょうがい 」あれから何度 検索をしても、答えは同じだ。 私の状態はこれでもかというほど、夫が口にしていた強迫性障害という病気の不潔恐怖の症状に、ぴったりと当てはまっている。これではもう 病気だと認めざるを得ないような状況だった。  治療法は薬物療法と行動療法だそうだが、行動療法の内容を理解すればする程、私の不安は募り重圧となっていく。 これ以上の不安要素を受け入れられる自信がどうしてもなく、現状維持が1番安心という想いになってしまう。 汚いものを敢え

          page 6『 曖昧な色の落とし物 』ノンフィクション

          page 5『 曖昧な色の落とし物 』 ノンフィクション

          第3章「 やめたくても、やめられない 」  あの頃からもう10年が経つ。夫は歳を素敵に重ね、息子はすくすくと成長を続けている。そして私ひとりだけが完全なるマイナスの成長だ。  この年月で、私の目に映る世界は変わってしまった。物事を「きれいか汚いか」という大前提の元に、見たり考えたりするようになってしまっている。私自身もそれがおかしいとはっきり感じているのに、どうしても強い不安と不快感にかき立てられてしまい、無視しようとするとパニックに陥り、戻すことができない。 「私が弱い

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          page 4『 曖昧な色の落とし物 』ノンフィクション

           思い返せば、昔から私の目に魅力的に映るのはシンプルな雰囲気を醸し出しているもののように思う。ファッション、メイク、ネイルにインテリア。そういった興味のある事柄も、足し算というよりはどこか引き算的な要素を持ち合わせたものに私はいつも魅了されてきた。  それはファッションで言えば、シンプルなワンピースをサラッと1枚で着るようなイメージであり、ネイルであればネイルアートではなく、爪にヌーディーな色味をのせるだけ。こういうものに心が惹かれるところは、ずっと変わっていない。  だ

          page 4『 曖昧な色の落とし物 』ノンフィクション

          『カリッと、もちもちふわふわ』  シンプルでおいしいトースト  の焼き方   

          「上面カリッと、下面もちもちふわふわ            のトースト」 口へ入れた時のカリッ、サクッとした香ばしい 上面の食感と下面のしっとりもちもちふわふわの柔らかい食感とのコントラストを 大きく感じられるトースト。 普通の外側カリッと内側ふわふわトーストより もちもち感としっとり感がしっかりとしていて とってもおいしいです。 下面がトーストされていないことで パンくずも普段よりぽろぽろしません。 冷めやすいので早めに食べてみてください。 「 使うもの 」 電子

          『カリッと、もちもちふわふわ』  シンプルでおいしいトースト  の焼き方   

          page 3『 曖昧な色の落とし物 』 ノンフィクション

          第2章 「 おかしなバランス 」  今夜は少し早めに眠りについた息子だった。夫はまだ会社から帰ってくるような時間ではない。 私はこの後の時間を久々にのんびり過ごそうと大好きなコーヒーを淹れ、ソファに腰を下ろした。  確かに引っ越し後の戸惑いや不安は多すぎるが、この場所での家族3人の暮らしは今後もしばらく続いていくこと。これが現実だった。  私は香ばしいほろ苦さのコーヒーをゆっくりと口へと運び、ひと息つきながら 「快適で楽しく、ゆとりのある生活」とは何か、そのためにできる

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          この不安は一体どうしたらなくなるの? 安心したい。とりあえず安心して毎日を楽しく過ごしたい。 私は毎日そんなことばかりを願っていた。 当然願うだけでは不安は解消するはずもなく、益々大きなものへと成長していくのだった。 そんな時だ。 強迫性障害は少しずつじわじわと、そしてまるで昔からの知り合いだったかのような自然さで私に問いかけてくる。 「もしかして手、汚れているかもしれないよ? それは洗わなければ安心できないよ。」 「フローリングが汚いかもね。それは拭かないと安心

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          page 1『 曖昧な色の落とし物 』 ノンフィクション 

          どうやら私は、落とし物をしてしまった。 それは曖昧な色をしている、とても大切なモノ。 落としたのはいつのことだったのだろう。 もう今となってははっきりとは分からないが、 おそらく10年程前、あの頃だ。 第1章 「 対称的な一歩 」  あの頃を思い返すと、私の病気「強迫性障害(不潔恐怖)」は静かにその姿を現し始め、暴れる時を今か今かと待っていたように思う。 そしておそらく「曖昧な色をした大切なモノ」も私から離れていくための準備をしていた頃なのだろう。 あの頃というのは、

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          まえがき『曖昧な色の落とし物』

          「 強迫性障害 」という病気を知っていますか? 発症率は1〜2%、50〜100人に1人と決して珍しくない病気ですが、初めて病名を聞いた方も多いかもしれません。 強迫性障害は精神疾患の1つ。 強い「不安」や「こだわり」により、日常生活や社会生活へ支障をきたす病気です。 世界保健機関(WHO)では、生活上の機能障害(経済的損失及び生活の質の低下)をひきおこす10大疾患の1つにもあげられています。  この病気の症状が私に出始めたのは、今から 10年程前。それから数年後、私の

          まえがき『曖昧な色の落とし物』