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偶然の中にある繋がりを大切に。

「本当にこんなところにカレー屋さんがあるの?」
そう言いたくなるほどの、一見すると古びた感じの建物。目の前には人が一人通れるほどの細く、急な階段。そこを登った先にあるのが、天満橋のカレー屋さん「クミンソウル」

扉を開けると、鼻に突き抜けるスパイスの独特の香。
お店の中は細く、カウンター席が並んでいるだけだ。
木材を基調に、穏やかな音楽が流れ、居心地が良い。
若いお兄さん二人が、カウンターの向こうで調理をしている。

インターン先の仲間と、会議終わりにふらりと寄ってみた。
ここに来るのは2度目だ。
カレーを食べながら、最近の悩みについて話し合う。

食事が終わった後に少しだけ、店長さんと話していた。
始まりは一言

「チャイって何なんですか?」

カレーはもちろんのこと、一緒に頼んだアイスチャイも絶品で、気になって聞いてみた。
店長は朗らかな笑顔で、詳しく話してくれる。
何を材料に作るのか。どうやって作るのか。特に「クミンソウル」でこだわっている部分。
さらには、チャイが本場インドでどのように飲まれているのかまで。
4か月、インドに住んでいたことがあるそうだ。
そこからも店長さんの話は止まらない。

インドでずっと仲よくしてくれた現地の人がいた。いろいろなところに連れて行ってくれた。親切にしてくれた。別れる際に「親切にしてあげた料」でお金を払わされた…「俺らの関係はお金の関係だったのかよ!!」

インドでは野犬も多いそう。群れに出会ってしまったら、慌てずに、少しずつ下がりながら逃げないといけない。夜に出歩くのは危険「人なんかよりよっぽど怖いから」

トゥクトゥクに乗っていて、信号に止まると、子どもが窓をガンガンたたいてくるらしい。運転手さんも無視している。気にしてはいけない。
「貧富の差は激しい国だけど、あの子らはすごいと思うよ。だって小学生ぐらいの子たちが、自分で一生懸命お金を稼ごうとしてるんだよ。もう自立してんじゃん。たくましいんだよ。そんな子たちがちゃんとした教育を受けてみな。きっともっとすごいよ。」

ときどき笑顔を見せながら、店長さんは話してくれた。
「もやもやが溜まったらまた来てよ。ここでなら吹き飛ばせるから。人生経験は豊富な方だよ」
…また来よう。


ふと街中で訪れたようなお店で、店員さんと話すのがとても好きだ。
何も知らないままだと、ただ、ご飯を作ってくれる人だけれども、一言二言交わすだけで何か繋がりが生まれたような気になる。
それこそ「ご飯とてもおいしかったです。」って伝えて「ありがとうございます、また来てください」って返してもらえるだけでも、少し違う。

偶然の出会い。その瞬間だからこそ出来ることがある気がする。
今日はカレーを食べに来ただけだ。
けれど、それ以上に何かで満たされているような、心地よい満腹感を味わいながら、家へと向かった。

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