見出し画像

生きていてよかった


人生は物語。
どうも横山黎です。

大学生作家として本を書いたり、本を届けたり、本を届けるためにイベントを開催したりしています。

今日は3月11日。13年前のこの日、東日本大震災が起こりました。光陰矢の如し、時のスピードは速いもので、もう13年も経ったのかと振り返っています。

今日くらいは、命より大切なものなどないと声を大にしても綺麗事なんて言われないだろうし、むしろそういうことを伝えることが求められている気がするので、「生きていてよかった」というテーマで話していこうと思います。


📚3.11.の僕

僕はあのとき東京の実家に住んでいた小学3年生で、ちょうど6時間目の体育の授業のさなかでした。校庭でポートボールをしていて、確か僕は審判をやっていた気がします。14時46分頃、突然足元が揺れました。轟く緊急地震速報のアナウンス、慌てて校庭の中央に集まる僕たち、揺さぶられる校舎……。未だに鮮明に覚えている光景です。

地震が発生してから、僕らは教室で待機することになりました。保護者が迎えに来るまで、緊張と不安のなかにいました。正確な時間は覚えていないけれど、1~2時間後に母親が来て、僕は帰宅することになりました。会った瞬間、母親に抱きしめられたことも、鮮明に覚えています。

家に帰ると、部屋のなかが散乱していました。CDや食器が床に散らばり、シュレッターが落ちてなかに入っていた紙屑もばらまかれていました。テレビを点ければどこの曲も地震のことばかり。東北地方の太平洋側の海岸には津波が到達し、街を飲み込む様子が流されていました。

小学生なりに今起こっていることを把握し、大変なことになっていると受け止めていたのだと思います。

震度5強を記録したとはいえ、東北と比べれば被害の少ない東京でしたから、時間が経つにつれて、少しずつ街は再生していきました。僕は小学4年生になりました。

いつだったか忘れたけれど、津波の写真が社会の教科書の最後の方に掲載されるようにもなりました。僕らが体験した自然災害はひとつの歴史となりました。あれからかれこれ13年が経ち、年に一度、こうして振り返らなければ気にならなくなった今があります。

そんな今こうして振り返ってみて僕が思うのは、「生きていてよかった」ってことです。


📚生きていてよかった

やりたいことをやり続けてきた僕には、自分のやりたいことが認められて成果が出ることが何度かありました。

高校生のときに僕の小説がとある文学賞の奨励賞を受賞したり、ビブリオバトルで東京都代表になって全国大会に出場したり、大学生になってからは初めて出版した本を250冊以上手売りしたり……。先日は、「BOOK TALK LIVE “桃太郎”」と題して、47人のお客さんの前で「桃太郎」の秘密や歴史について1時間語るというイベントを開催しました。

今挙げたものひとつひとつに思い出があり、感情があり、出逢いがあり、気付きと学びがありました。そして、何かを叶える度に、今までの人生はこの瞬間のためにあったんだと思いました。

もちろんそれ以外の日常の些細な出来事にも歓喜して、「生きていてよかった」と思う場面はたくさんありました。友達や家族、恋人と過ごす何でもない時間にも、たくさんの喜びと幸せが詰まっていました。

生きていれば痛みも迷いもあるけれど、「生きていてよかった」と心から思える瞬間があるから、たとえまたいつ自然災害が起こるか分からないし、もしからしたら明日命を落とす可能性もあるけれど、それでも人生に希望を見出して、次の「生きていてよかった」と思える瞬間まで生きていこうとするんですよね。少なくとも僕は、そういう希望に生かされている節があります。

だからこそ、地震をはじめ、どんなに辛いことや苦しいことがあったとしても、きっとまた「生きていてよかった」と思える瞬間が待っているから、だから踏ん張って踏み出そうと思うのです。

今月で大学生が終わります。来月からは社会人。きっとこれまで以上にいろんなことがあるんだろうけど、「生きていてよかった」と思える瞬間を迎えにいく意識を持ちながら、いろんなことに挑戦していければなと思いました。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20240311 横山黎



この記事が参加している募集

ふるさとを語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?