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全ての科目の学力を伸ばす上で必要な力は「読解力」そして「表現力」

 今回は学力を伸ばすうえで重要な「読解力」と「表現力」について考えていきたいと思います。私は現在、個別指導塾で様々な生徒に指導をしています。私が指導している生徒の中には、学力が伸びやすい生徒と、学力が伸びにくい生徒が存在します。同じような学力レベルの生徒に、同じような指導をしても、成績が伸びやすい子と伸びにくい子では、定着度が違うという実感があります。このような経験をすると、「学力が伸びやすい生徒と伸びにくい生徒の違いはどこにあるのか」について深く関心を持ちました。
学力の伸びやすさには、様々要因が考えられており、遺伝や非認知能力、発達過程などがありますが、今回はこれらの能力に焦点を当てて考えていきます。

 1.学力が伸びやすい生徒と伸びにくい生徒の違いは何か?

まず、学力が伸びる生徒との特徴を考えていきたいと思います。ここでのポイントは、言語情報をいかに主体的に理解できるか、です。学力が伸びやすい生徒は、まず先生が行った説明に対する理解度が高いという特徴があります。先生の説明を自分のイメージや、言葉で理解し、考えて聞くことができます。また、言語情報から読み取る情報量が多いため、瞬時に事実や内容、目的を理解し、重要な点はどこであるのか考えます。逆に、成績が伸びにくい生徒は先生の説明を聞いていたとしても「聞いている」だけで、自分の言葉で理解しよう、といったことが行われていません。
 
例で考えてみましょう。先生が以下のような説明をしたとしましょう。

「音源が観測者に近づきながら音を出すと、波長が短くなり、振動数が高くなるため、観測者には音が高くなって聞こえます。これをドップラー効果といいます。」

学力が伸びやすい生徒は、まず、前半の文章の様子が理解できています。頭の中で音を出している物体が観測者に近づいてるイメージができています。もしくは、イメージができていない、内容が理解できない場合は、わからない部分を明確にし、どこまでが理解できてどこから理解できないのかを考え、理解できていない部分を理解しようと試みます。

一方、学力の伸びにくい生徒は説明を聞いても、理解しようとせず、ただ言葉の羅列として頭に入るだけで、文書の内容をイメージすることができていません。説明された内容をそのまま覚えたり、わかっているつもりで聞き流していることが多いです。これは、与えられた新しい情報に対して、自分の頭で考え、主体的な理解を行うという作業をしていないからだと考えられます。

このように、学力の伸びやすい子は、言語情報を自分の脳内でイメージし、理解することができますが、伸びにくい子はただそれらを覚えるか、納得したつもりで聞き流すかしかしません。これらの違いは、言語情報をいかに主体的な理解に結び付けられるか、にあると考えています。

2.どのようにしたら言語能力を高められるか?

言語能力、特に言語情報から必要なものを読み取り、理解するために必要な能力は「読解力」と「表現力」にあると考えます。

まず、文章や説明から情報を読み取る読解力が必要です。主語述語、目的語を理解し、何の説明をしているのか、どこが重要かを理解することが求められます。この力は普段から様々なジャンルの文章を読む練習をすることで身につけられます。読む際に、内容が分からなくなったら戻って読み直し、ひとつの文書をじっくり読むことから始めてみましょう。読解が苦手な子は、内容が分からなくても文字を読み進めてしまい、気付いたら筆者が何を言いたいか分からなくなってしまう、ということがあります。ですので、分からなくなったら戻り、わかるまで読む、ということをすることが大切です。

本を読むのはハードルが高い場合は、マンガも効果的だと考えます。これは私の知り合いの話ですが、文章を読むのが苦手だったが、マンガにはまって読んでいるうちに読むことが嫌いではなくなったということがありました。もし本や新聞、教材を読むのが難しければマンガもある程度の効果はあると考えます。

また、主体的に理解する上で必要なことは「表現力」です。これは、自分が読んで理解した内容を、自分の言葉で表現するということです。具体的には「要約」や「説明」、「論作文」などという作業のことです。これは、読んだ情報を自分のなかで整理して、組み直し、そしてまとめるという能力を高めます。表現することにより、分かったつもりを防ぐということと、深い理解に繋がるという利点があります。昨今の教育現場では「深い学び」を目的としたアクティブラーニングが重要視されていますが、アクティブラーニングにも表現は重要な活動として取り入れられています。
表現力を高めるには、新聞や記事を読んで短くまとめたり、内容を他人に説明する訓練をすると良いです。情報のなかから必要な情報を切り取り、それを整理してまとめるという作業を日常的に行えるようになれば、全ての科目の学習効果が高まると考えられます。

3.まとめ

全ての科目の学習効果、効率を高め、理解を深くするためには、言語情報を主体的に理解するための読解力や表現力が大切です。学力の伸びやすさのひとつの要因であり、生きる上でとても重要な能力であると考えています。
勉強が苦手だというお子さんのために、今回の視点が教育の一助になれば幸いです。

お読みいただきありがとうございました。

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