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職場の無意味な「暗黙のルール」を変えるのは「よそ者」かつ「マイノリティ」

日本の職場には誰が決めたのか分からない「暗黙のルール」が潜んでいることがよくあります。

それが企業理念や行動指針に基づくものであれば明文化してしまえばよいのですが、問題は就業規則にも行動指針にも反しないのに、破るとなぜか咎められるような無意味なルールが存在することです。

例えば、「オフィスで仕事しているときはコーヒーは飲んで良いが、チョコレートやお菓子は食べるな」という暗黙のルールがある職場がありました。

もちろん就業規則には「勤務中は何かを食べてはいけない」とは一言も書いていません。行動指針にも「業務中は仕事に集中すべし」とは言っていません。

オフィスで働く人の中にはクリエイティブな仕事に従事する人もおり、勤務中に糖分を補給することはむしろ生産性の向上につながることなのでメリットはあってもデメリットは無いはずですが、それでもこの職場では勤務中にチョコを食べるのは「タブー」とされています。

何も知らない新人がチョコを一粒口に入れただけで上司や先輩に烈火のごとく怒られ、その新人が今度は自分の後輩に厳しく注意するので、このルールは誰も疑問に思わないまま長年忠実に守られてきました。

そして中途で入社した社員も前職と同じ感覚で勤務中にチョコを食べようとすると注意されるので、多くの人は「そういうルールがあるなら守ろう」と思い、黙って従うようになります。


ある日のこと、海外で育った帰国子女の新人が入社することになりました。

この新人が育ったのは自由を重んじる国であるため、「就業規則に反しないことは何をしてもよい」という価値観を持っています。

そして案の定勤務中にチョコを食べて先輩に怒られるのですが、この新人は逆に「就業規則には書いていないのに、なぜダメなんですか?」と質問しました。

それに対して先輩社員は「これはマナーだ」とか「この会社の常識だ」としか答えず、「黙って従え!」と強要するので新人は納得せず、「なぜマナーなのか?禁止することによるメリットは何なのか?」と食って掛かりました。

ついに先輩社員は手に負えなくなり、上司も「何でこんな人を採用したのか?」と人事に文句と言ったため、残念ながらこの新人は会社に馴染めずに転職してしまいましたが、一方で職場の中にも「そういえばこのルールは何のためにあるのだろう?」と疑問を持つ人も現れ始めました。

そして同じ疑問を持った人が1人2人と増えていき、最終的には”偉い人”が「お菓子ぐらい別にいいんじゃね?」と言ったため、長年守られてきたこの暗黙のルールはあっさりと消滅しました。

結局この無意味な暗黙のルールを変えるきっかけをつくったのは外国育つの帰国子女という「よそ者」かつ「マイノリティ」であり、ずっと中にいた人はもちろんのこと、中途入社した「よそ者」でも空気を読み、周囲に同調するマジョリティには変えられませんでした

職場に「よそ者」かつ「マイノリティ」が居るとどうしても波風が立ってしまいますが、逆に誰も疑問に思わないことに対して「問い」を立ててくれますので、このような人の存在価値は意外と高いと言えます。

長年同質な人で構成されると感覚が麻痺してしまうので、組織は意図的に「よそ者」かつ「マイノリティ」を入れるとうまく活性化できるかもしれません。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


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