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(番外編)中国の政治家はどうして外国に対してやたら喧嘩腰なのか?

今日はいつものテーマではなく、気分転換?にちょっと”政治的”なことを書きたいと思います。

日本の報道から見えることもそうですが、基本的に中国以外の国から中国(ここでは中華人民共和国を指します)を見ると「戦狼外交」と揶揄されるようにやたら外国に対して喧嘩腰な姿勢が目立ちます。

外国が中国に対してペコペコしているときはニコニコしているのですが、どこかの国が人権問題や領土問題でちょっとでもケチをつけようものなら「うっせえ、黙れ!」「やんのか?こら!」となります。

まあ世界中どこの国でも外国とのもめ事は強気に出るのが基本とはいえ、中国の喧嘩腰はかなり異常に見えるかもしれません。

おそらく日本人の感覚だと理解しにくいところもあると思いますが、私は80年代に東京にある中華学校(台湾の国民党系)でガチの中華ナショナリズム愛国教育を受けたことがあり、それを思い出したときに中国の政治家が対外的に強気に出てしまう理由が何となくわかりました。

結論から言いますと、中国の政治家の立場になったとき、外国に対して低姿勢(特に領土問題)だと最悪下記の写真のような目に会う可能性があるので、その恐怖心から喧嘩腰にならざるを得ないと思っています。

写真の石像の人物は今から900年以上前の南宋の政治家、秦檜とその妻です。

詳しくはウィキペディアをご覧いただければと思いますが、一言で言えば「和平のために外国に譲歩し、和平に反対する主戦派を抹殺した人物」です。(もちろん、いろいろ複雑な事情はありますが)

そして、秦檜が抹殺した主戦派こそ中国人のなかで「民族的英雄」とされている岳飛なので、後世の人は「秦檜許せん!」ということで手を縛られ正座させられた姿の秦檜夫妻の像をつくり、この像に向かって唾を吐きかけるようになりました。

要は死後も未来永劫辱めを受けるというものです。しかもそんな像が中国に何カ所もあります。

歴史上あくどいことをした人物はたくさんいますが、それでも記念のための銅像や石像はあっても、「唾をかけて辱める」ためにわざわざそいつの像を作るのは日本でも他の国でも聞いたことがありません。

900年前の人物が未だに辱めを受けるという感覚はなかなか理解しにくいところがありますが、中国人の中でそういうメンタリティが形成されてしまったのは確かです。

そんなわけで、中国の政治家(最高権力者も含め)にとって外国に譲歩するのは相当ヤバい行為で、心の中では「ここは譲歩して穏便にいったほうが良い」と思っても、自分が死後も辱めを受けることを考えると恐ろしくてできないと思います。

ちなみにこの「秦檜と岳飛」の話ですが、私は小学校低学年の時点で教わりました。当時台湾を支配していた国民党政権は中華ナショナリズム全開で「中華民国こそ正当の中国」と言わんばかりに愛国教育を行っていました。

その中身を簡単に紹介するとこんな感じです。

  1. 中国(=中華民国)は5000年の歴史を誇る世界一の国

  2. 歴代王朝で国土の面積を拡げた王朝はよい王朝、国土を外国に取られた王朝はダメな王朝

  3. 歴史上一度でも中国王朝の領土に入った地域は中国のもの ★重要★

  4. 大陸は「共匪」という極悪非道な連中に乗っ取られてしまったので、いずれ奪い返さないといけない

その頃の”大陸”側ではどのような教育が行われていたのかはわかりませんが、話を聞く限りは文革の後始末で大変だったのでそこまで中華ナショナリズム全開ではなかったとのことです。

今は余裕が出てきたので、おそらく上記の「4」以外は同じようなことを教育していると思われます。というのも、1、2、3は別に今の共産党政権が始めた話ではなく、中国という土地で何百年、何千年も培われたものなので、そこに回帰していったのに過ぎません。

ただそれは「外国に譲歩してはいけない」というメンタリティをますます強固なものにしかねないので、中国にとっては厄介な「呪縛」になってしまうと考えています。(戦狼外交はその表れかもしれません)

しかもそれは「指導者の意志」というよりも、売国奴は未来永劫許さないという「無数の民の意志」がそうさせている側面が強いので、台湾問題にしても中国の最高指導者であっても判断の自由はないと思ったほうがいいでしょう。(明らかに悪い結果(米中全面核戦争)になることが分かっても台湾問題については絶対に譲歩しない)

この先どうなるかは分かりませんが、少なくとも長年根付いてしまったものを変えるのは相当難しいと思います。人類にとって不幸なことが起きないことを祈るばかりです。

最後は暗い話になってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。

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