見出し画像

この糸を断ち切りたい。

美術関係者の評判がとてもよく、興味を持った「塩田千春展 魂がふるえる」。

出迎えてくれた繊細な像や、絵画に直接縫い込まれた赤い糸を見て、「つながり」を感じてほんのり心が温かくなりました。

が。その後の圧倒的な「生」「魂」「存在」を突き付けられるような存在感にやられて、途中からはパンチドランカーのようにフラフラに。

つながりなんて、生易しいもんじゃない。
お前は生きるということをどう考えているんだ、ちゃんと生きてんのか、ただ存在しているだけならそれは生きていることなのか、とがんがん迫ってくる感じ。

どこかへ向かうのか、帰っていくのか、赤い糸に絡まって列を成す大量の旅行鞄や船、燃え殻となってしまったピアノや教会を思わせる焼け落ちた椅子、絡みつくような、対象を隠すような黒い糸。

ホラーのように、じわじわと怖くなってくる。
絡みとられているようで、本当は、自分から難しく絡まってしまっているのかもしれないな。

がしかし、偶然とはいえ、たくさんの美術展の中から、塩田千春展とクリスチャン・ボルタンスキー展をチョイスする私、どうしたのかしら。

はやく抜け出したい。うっとおしく絡まるこの糸から解き放たれたい。

ずっとイライラ不安でいることに疲れてしまう。

「塩田千春展 魂がふるえる」は、2019年6月20日(木)~10月27日(日)まで、六本木ヒルズ内の森美術館にて。

サポートありがとうございます。これからもコツコツがんばります。