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これまで来た道、これから行く先

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旅がどこまでも続くように。1000字エッセイ。
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#終戦記念日

終戦記念日に思う - No. 5

終戦記念日に思う - No. 5

今年の3月初めに、とある方から、ロシアによるウクライナ侵攻に関する原稿の執筆依頼を頂いた。インターネット上で、軍事情報をまとめている独自メディアの運営者であるという。依頼のきっかけとしてはこのnote以外に考えにくいが、結局最後まで、その方が私のnoteを読んだことがあるのかどうかを知る機会はなかった。

累計で十数本の原稿を納品している。その間、「軍事系メディア」というものに、言い知れない違和感

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終戦記念日に思う - No. 4

終戦記念日に思う - No. 4

先日閉幕した東京五輪に先立ち、IOCのバッハ会長が広島を日帰り訪問したと聞く。ほぼ1か月前のことである。最近の報道では、それにかかった警備費は、会長の訪問を数年前から要望した広島県と広島市が負担するとのことだった。

そして開かれた平和の祭典。会長訪問の結果はどうであったろうか。8月6日に黙とうをささげることも、IOCとして声明を発表することも、閉会式のスピーチにおいて一言触れられることさえなかっ

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終戦記念日に思う - No. 3

終戦記念日に思う - No. 3

大学時代にひとり旅で訪れた広島平和記念資料館は、オレンジ色の夕陽に温められていた。入館受付終了直前に入り、順路に沿って進んでいく。しばしば、階段に残った人影や中身が焼け焦げた弁当箱の展示物を目にしたときの衝撃が語られるが、他の展示も直視できないものばかりで、目眩さえおぼえた。その原爆の被害にあった人々のことを、英語でhibakushaと呼ぶ。

前職の社員旅行で訪れたひめゆり平和祈念資料館は、雨に

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終戦記念日に思う - No. 2

終戦記念日に思う - No. 2

今日は「令和最初の終戦記念日」であった。そのことに意味はあるだろうか。昭和であろうと平成であろうと令和であろうと、終戦記念日は終戦記念日でありつづける。

昨年の「終戦記念日に思う」では、平和を一瞬にして壊しかねない核戦力の存在によって、現在の平和が保たれている(とされている)という自己矛盾についての疑問を綴ったが、その締めくくりは「今日は『平成最後の終戦記念日』である」であった。そこで今年は、時

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終戦記念日に思う

終戦記念日に思う

戦争を知らない私に、過去の戦争を語る能力はないし、ましてその資格もない。しかし、現在や未来を論ずることはできる。今日という日に、戦争のない世界という意味での平和について考えてみたい。

現代社会は、「力による平和」の状態であると言われる。各国が力を持つことで、互いが互いに対する抑止力を均衡させているという考え方だ。言い換えれば、可燃ガスが漏れ続ける密室で、それぞれが握ったライターを点火しない状態と

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