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これまで来た道、これから行く先

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旅がどこまでも続くように。1000字エッセイ。
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#社会

花瓶に注ぐ雨を乞う

花瓶に注ぐ雨を乞う

目の前を電車が行き交う。通勤ラッシュを一歩引いた位置から眺めると、ベルトコンベアーに載せられた無感情な機械の移動のようにさえ思えてくる。かくいう私も乾ききった街へと毎日出勤し、神経をすり減らして生きている。そのことを自分の中では何ら気にしたことはないし、あるいはそれを気にすることができるほどの余裕はないのかもしれない。日々の生活をひたすら懸命に過ごすのみである。ゴールのないマラソンを走っている。

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身体に心を支配される彼女を傍観しつつ思う

身体に心を支配される彼女を傍観しつつ思う

高校2年生の頃に古文に目覚め、今に至るまで折に触れて原典に触れてきた。家の本棚には『徒然草』をはじめ文庫化された古典が並んでいるし、図書館で借りて読んだものも含めればかなりの量を読んでいるものと思われる。

そもそも古文に関心を持ったのは、興味本位で友人とともに読んだ『好色一代男』がきっかけだった。その後も『好色一代女』『好色五人女』と進んでいったが、男子高校生の性的関心と結びついて「好きこそもの

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