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現実を直視しない、目を逸らすことが、長い目で見て、最大の「リスクテイク」

#COMEMO #NIKKEI

昨日のニュース。これには唖然とさせられました、、、

金融庁のWebサイトに載せられている資料です。

今回出された報告の主題は「高齢社会における資産形成・管理」で、公的年金と資産形成との関係にフォーカスしていたせいか、この2年前の資料で、いの一番に載せられたデータ、グラフは、報告書にありませんでした。

金融庁のつみたてNISAの普及活動を通じて、このグラフがずっと使われています。

このグラフの意味するところは、家計の株式保有(間接保有含む)が少ないから、日本は米英に比べると相対的に「貧しく」なってきた、ということかと思われます。

リスクを取って来なかったことで、豊かになれていない

これからもこれで良いんですか?ということが、金融庁のメッセージの一つです。(実際には、株式に資金が割り当てられることで企業活動が活発になって、という・・・いわゆる「成長戦略」の重要な一部でもありました)

今回、報告のなかで #つみたてNISA  や #iDeCo がクローズアップされたわけですが、SNSを眺めていると、こんなコメントが沢山見つかります。

つみたてNISAも、iDeCoも元本保証ではないのだ。

「元本保証」(元本確保でもいいですけど)という言葉が、とても大事だという判断基準です。この「リスクを過度に恐れ、忌み嫌う」マインドが、日本が豊かになるチャンスを、未来への活力を失わせているのではないでしょうか。100持っているお金を全て株式にしましょう、なんてことは誰も言っていないのです。体は一人に一つですが、お金は細かく分けることができます。毎日、毎日、値動きのある資産を持つことは不安(マンション等の不動産は実際には値動きがあるんですが、日々の変化はよく分かりませんから、えいや!で買えちゃうのかも)であれば、少しずつリスクを取っていけば良いわけですし、それは可能なことなんです。

米国から30年遅れている?日本

上に載せている金融庁のグラフ。1995年当時、日本で普通の生活者にとって、株式を少額から保有できる環境があったのか、ということも重要なポイントです。私自身、1995年に就職しましたが、そのような環境があったとは認識していませんでした。つまり、少額から資産形成に取り組む環境は無かった(はず)です。

一方、米国。彼らにはVanguardがありました。

The group has advised Vanguard 500 Index Fund since 1976.
https://investor.vanguard.com/mutual-funds/profile/portfolio/vfiax

普通の生活者がじっくりと株式保有のリスクを取ることのできるインデックスファンドが1976年にはサービスを開始していたのです。

少額から資産形成に取り組む、株式投資のリスクを取れる商品こそ、投資信託です。なかでも、最もベーシック、オーソドックスなものがインデックスファンドです。

他方、日本で資産形成層を視野に入れた投資信託の登場は2007年-2008年頃です。彼我の差は30年あったのです。2007年から十数年、日本の環境は飛躍的に改善しました。米国並み、いや、「少額から」という観点では、米国よりも遥かに取り組みやすくなりました。

上で挙げた、Vanguardの最も支持されているファンドは、今、最低投資額は$3,000です。一方、このファンドとほぼ同じ内容のファンド、日本の多くのネット証券では100円から買うことができます。

こうした環境の改善は、業界の「一部」(儲からない!と言われていたでしょうから内部の「非主流派」の皆さん)や金融庁の頑張りがあったからこそだと思います。

今回の騒ぎでこんな懸念も。

そう、資産形成層と向き合うことに消極的な業界の「主流派」、とそれに近い金融庁の一派が「復権」するかもしれない、という見方。これは絶対に避けないといけません。

30年遅れだった、日本の普通の生活者が身の丈に合ったリスクを取るための環境は大いに改善されてきましたが、この時計を逆に回そうという動きが出て来るかもしれないのです。

リスクを取って来なかったことで、「相対的に」豊かになれなかった。20年前では米国とはその環境に大きな差があったのが一因。しかし、この10年で日本の環境は劇的に改善された。身の丈にあったリスクを取れる環境は整っている。

こういうことです。

だから、思うのです。

現実を直視しない、目を逸らすことが、長い目で見て、最大の「リスクテイク」なのだ、と。



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