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世の中の仕組みを理解する重要性


知識があることで、理解の解像度が上がる

 過日、旅行した際に空港で当該便への搭乗案内が20分程度遅れる旨のお詫び放送が流れた。日本は鉄道が時間に正確すぎるが故に、他の交通機関にも定時性が求められる傾向にあるが、個人的には安全性を考慮すると、シビアな定時性はあまり良い風潮ではないと、元業界人として思う節がある。

 そんなことを考えていたら案の定、老害がCAに食って掛かる光景が眼前で繰り広げられており、CAに哀れみの目を向けながら、せっかく時間ができたなら、空港土産でもゆっくり見ようと売店に向かった。

 文句を言ったところで、遅れは無くならない以上、目の前にいる関係者を責めても仕方ないどころか、その対応に追われて業務に支障が出れば、更に悪影響を及ぼす訳で、そこまで考えることなく、衝動的に感情で動くことしかできない人間は人間じゃありません。猿以下です。と内心軽蔑しながら反面教師図鑑に登録した。

 遅れを取り戻そうと無理をして事故が起きて、人が死ぬことはあっても、遅れたくらいでは人は死なない。

 それに、遅れに備えて機材繰りに余裕を持たせたら、運賃が今よりも高くなるのは必然であり、国内線で1〜3万円程度の運賃しか支払っていない貧乏人が、たかが20分程度の遅れで困るようなら、最初から時間とお金を掛けて、鉄道をどうぞと思う。

 ちなみに、老害を「国内線で1〜3万円程度の運賃しか支払っていない貧乏人」と揶揄した理由は、ワシは誰よりも早く空港に着いたのに、真っ先に搭乗できないのはおかしい。と、失笑ものの持論を展開していたことによるものである。

 飛行機を運航する仕組みや、運賃や上級会員制度然り、知識があれば、予め行程に余裕を持たせるとか、遅延保険を活用するなど、想定し得るリスクへの対処方法を模索できる。

 仮にトラブルが発生しても、得られる情報と持ち合わせている知識を組み合わせることで、自分自身の置かれている状況を推定し、どう対処すべきか、従事者と建設的な対話ができる程度に解像度は上がるわけで、やはり我々が生きる資本主義社会は、無知と愚か者に対して厳しい社会なのだと、改めて感じた瞬間であった。

自発的に学び続ける習慣の重要性

 私は元々勉強嫌いだったこともあり、高卒で社会に出たが、20歳(当時の成人年齢)で開設したNISAを機に、個別株運用を始めたことで、経済や金融の仕組みを自発的に学ぶようになり、その際に基礎的な教養が圧倒的に不足している事実に気付き、コロナ禍を機に通信制の大学で学び直す運びとなった。

 元々、シ○シティみたいな箱庭&経営シミュレーションゲームが好きだった性分から、金勘定が絡むと本気スイッチが入るのだろう。

 それが偶然、株式投資を始めたことで、経済、金融、会計、経営、統計、心理学辺りを体系的に学ぶきっかけとして結びついたと捉えるべきか、これまでの学校教育で金融教育が無かったことで、学ぶことへのモチベーションが低いまま社会に出てしまったと捉えるべきか、難しい部分ではある。

 いずれにしても、学校成績が偏った評価であることには変わりないため、別に成績が振るわなくても、気にする必要はない。自分自身が興味、関心を持った分野を掘り下げるために、基礎的な教養の必要性を痛感する局面が来れば、何歳から学び始めても決して遅くなく、自発的に学び続ける習慣こそが、学生時代に良い成績を取ることよりも重要だと考える。

お金に困らない人生の一丁目一番地

 なぜ猫も杓子も就職ランキング上位の会社に入ろうとするのか。それは経済的に安定している、もとい金払いが良いからに他ならない。現代社会を生活する上で、お金は切っても切れない以上、稼ぎが良い会社が選ばれるのは自明の理だろう。

 一般的なサラリーマン人生の場合、新卒で人気企業に入るためには、良い大学を出ることが重要であり、そのために、目の前の勉強や試験をこなさなければならない。

 煎じ詰めれば、大人になってからお金に困らないためには、稼げる職に就く必要がある。だから、学生時代に必死になって受験勉強をしている。と言った所だろうか。

 しかし今や少子化にも関わらず、大学受験制度に歪みが生じており、やれお受験やら、小学生からS○PIXに通うみたいな流れが、都市部を中心に広がっている。

 地域格差や経済格差が、そのまま教育格差となり、経済格差の再生産としてループしている現状では、生まれつき勉強が得意な子どもを除けば、勉強漬けで、良い大学、良い会社の流れはコスパが悪いように感じる。

 というのも、下落基調の生涯賃金が大卒正規雇用で2〜3億円と言われている中、子育ての総費用が、全て公立の場合で3,000万円、全て私立理系の場合で4,500万円と、子どもの生涯賃金の10%以上を先行投資する必要がある。

 しかし、熾烈な競争の割にリターンは不確実であり、運が悪いと就職できなかったり、就職しても何かの拍子に潰れてしまう可能性もあるからだ。

 お金に困らない人生を送りたいとなると、いかに高年収の仕事に就くかと考えがちだが、まずは、お金について学ぶことが一丁目一番地ではないだろうか。

 現に私は学習塾とは無縁の環境で高卒で社会に出たが、10代のうちに給与、税金、社会保険料の算出根拠を理解し、弱冠で資産運用を始めてからは、運用成績を上げたい一心から、独学で金融、経済を学んだり、余計な支出を引き締めて種銭を増やし、お金の上手な扱い方を肌で学んできた。

 社会に出た当初は、手取り13万円で「お前が終わってんだよww」状態だったが、株を通じて世の中の仕組みを少しずつ理解していったことで、20代のうちに老後資金問題は解決し、同世代の上位1%に位置する純金融資産を保有するに至った。

 社会の構造と、自分自身の立ち位置を把握する解像度が、高ければ高いほど自分が今、何をすべきで、進むべき方向がどこかも明白となる。その意味で、基礎的な教養は人生の道標として機能するが、その全ては学校教育で得られない。

 時代の変化に応じて、知識をアップデートするためにも、興味関心がある分野を取っ掛かりに、無理せず横断的に学び続ける習慣こそが、広がり続ける経済格差に抗うための処方箋なのだから。


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