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【簡単あらすじ】放課後ミステリクラブ・金魚の泳ぐプール事件【知念実希人・Gurin/ライツ社】


『ぼくは読者に挑戦する』



ミステリトリオと呼ばれる小学四年生の柚木陸・辻堂天馬・神山美鈴は、今まで数々の謎を解決しているため、先生たちからも一目置かれている。

『ふつうの人が気づかないような、ささいなできごとから真実をみちびいていくのが、名探偵という存在なんだよ』

P34

そんな三人が所属するクラブの顧問・真理子先生から、今日も謎の解決を依頼される。

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『はじめに』
季節は春へと移り変わり、それに伴い花粉の季節が到来してきました。そうなると、当然のように休日は部屋で過ごすことが多くなり、読書量が増えていますので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

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ある夏の日、小学四年生・柚木陸のプール授業が中止になる。

それを聞き、不満を表す生徒・喜ぶ生徒などがあふれるクラスだったが、昨年転校してきたミステリオタク・辻堂天馬は、先生の説明にひっかかり謎があると感じる。

陸・天馬と、幼馴染でスポーツ万能の神山美鈴は、いつも一緒のため、クラスメイトから三人の名前の一部を合わせて、(『ミス』ず、『テ』んま、『ㇼ』く、)ミステリトリオと呼ばれている。

ミステリトリオは、実際に今まで数々の謎を解決しているため、先生たちから一目置かれる存在だ。

その三人がいるミステリクラブの顧問・真理子先生から、様々な謎の解決をお願いされる。

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美鈴・天馬・陸の小学生の三人組が活躍するという話しですと、私の年代でしたら「ハチベエ・ハカセ・モーちゃん」のズッコケ三人組を連想する方も多いかもしれませんが、そこはきちんと現代風に設定がアレンジしておりますので、新しさと懐かしさが同居している作品です。

緻密なトリックや登場人物の感情描写が上手な作家さんとして、多くのヒット作・シリーズを刊行している知念実希人さんが、SNSで人気でコンビニなどでもコラボ作品を出している人気イラストレーターのGurinさんとタッグを組んだ、学生向けミステリ作品です。

文字数が少なく・文字が大きく・フリガナやイラストが多いところは、間違い無く児童書ではあるのですが、謎の内容・解き方については、児童向けと言えども、キチンと筋道を立ててまとめている所は、さすが知念実希人さんだと言えます。

プールで多くの金魚が泳いでいる。
おじぞうさんが倒され、そしてそのおじぞうさんが泣いているという噂。
クラスメイトの異変。

これらの謎は、全て根っこの部分が繋がっていて…

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本作の内容は、

1.物語に深く入り込む読者(お子さん/以下同じ)であれば、トリックなど考えずに話の流れや人間関係で謎が解ける。
2.理論的に考える読者であれば、様々な謎の繋がりや文章や画を基に、話を組み立てることで謎が解ける。

という、感情・理論の両面のどちらでも謎が解けますし、

1.子供(学生)向けの本のラインナップを強化するのに悩んでいる書店員さんや図書館司書さん
2.何とかして自分のお子さんを読書好きにしたいと考えている親御さんが、深謀遠慮の策として利用する笑

ということにも利用出来る、大変な良作と言えます。

日常的に学生と交流する方であれば、一度は目を通して欲しい作品です。

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☆付録☆

そろそろ「本屋大賞」の発表ですが、私も何回か本屋大賞についての批判的意見を見たことがありますので、以下については、本屋大賞について広まっている批判について、私なりの意見をまとめております。

中途半端な読書歴や感性しか持たない人間の戯言ですので、読まなくても全く影響がありませんし、読まないほうが人生楽しく生きることが出来ると思います。

それでも読んで頂ける物好きな方のみ閲覧ください。





そろそろ見えてきます。





心の準備は大丈夫ですか?





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本屋大賞については、各方面・様々な人物から批判がありますし、批判について大っぴらにしてしまいますと「売れない作家などのひがみ」などとレッテルを貼られてしまうため、批判がタブー扱いになっているなど、様々な闇の部分を持っています。

上記したように本作品は良作ですが大賞受賞は多分ないでしょうし、私だけでなく、ある程度読書歴が長い方であれば、「ああ、今回の本屋大賞はあの作品が受賞だろうな(=あの作品を売りたいのだろうな)」ということは、ある程度分かってしまうと思います。

そういった側面だけを見ると、本屋大賞への批判も分かるのですが、私は本屋大賞自体はあって良いものだと思っています。それは、

埋もれてしまう作品(良作)を出来るだけ少なくする


という重要な役割を担っていると考えているからです。

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本作品は、知念実希人さんという人気作家だったため、私のアンテナにひっかかり購入することが出来たのですが、知念実希人さんを知らない方・もともと読書にほとんど興味が無い方に対しては、全く知らないまま終わってしまう作品になってしまった可能性が高いです。

本屋大賞というブランドが良作を世間に広める一つのきっかけになっているのですから、毎年恒例にして存続価値は間違い無くあります。

それに、芸能界のオーディションなどでも、最優秀者よりも次点で選ばれた方などのほうが能力・才能があり、長く活躍されている例もありますから、大賞を受賞することだけが全てでは無いですしね。

…と、中途半端な読書歴や感性しか持たない人間が偉そうに語ってしまいました笑

出版業界においては、本屋大賞が唯一の賞ではなく、この他にも様々な賞がありますので、各賞をその人なりに楽しめば良いのではないかと思います。

サッカー界でも、W杯優勝だけが全てではありません。

欧州リーグでの活躍、Jリーグでの活躍、日本代表での活躍、地元チームの躍進など、様々な楽しみ方があります。

それと同じ考え方です。

少なくとも、毎年年末恒例の

「あまりにも高齢で、全く世の中の流れを知らない」選評者たちが選んでいるため、大賞に選ばれた言葉を知らない方が大多数であり、大賞に選ばれた用語が分からないという感想で埋め尽くされるような『●●●大賞』

よりも、はるかに価値・意義のあるイベントだと思います。


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