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【説教集×英語学習8】 目に見えないものに喜ぶ #218

2024年2月4日(顕現後第5主日)



説教集より

Certaine Sermons or Homilies 1547-1571, Rickey and Stroup, 2nd ed, 1993, II, p133.
Certaine Sermons or Homilies 1547-1571, Rickey and Stroup, 2nd ed, 1993, II, p134.


… it is a visible sign of an invisible grace; that is to say, that setteth out to the eyes and other outward senses the inward working of God's free mercy, and doth, as it were, seal in our hearts the promises of God. 
 

「聖奠を人々に示すとは目に見えない御恵みを目に見える徴とすることです。言いかえれば、これは神の無辺の御慈悲による目には見えない業を目に見える形あるものにして、いわば神の約束をわたしたちの心の中に刻ませているということです。」(第二説教集9章:全訳はこちら↓)


ヨハネのひとこと

たとえばわたしたちは友人や家族や恋人などからプレゼントをもらって喜びます。入学、就職、合格、卒業、誕生日、記念日などさまざまです。いただいたプレゼントは大切にしたいもので、机の奥に大切にしまっておいたり、あるいはいつも身近に置いて眺めたり、その大切にする仕方もさまざまです。しかし忘れてはいけないこととして、本当に喜ぶべきは愛情や祝意そのものです。そのプレゼントをその人がどのような気持ちで自分に与えてくれたのか、目の前にあるものの元にある見えないものを見るようにしましょう。わたしたちは神様の恵みをいたるところで受けています。いたるところに神様がおられ、わたしたちを愛してくださっています。大きな愛の中に生きていることに思いを致し、日々感謝して生きていきましょう。


英文の解説

主語、述語動詞、補語の並びで it is a visible sign となっています。この it は the common description of sacrament を指します。 この the common description は「公示=人々に示すこと」の意味ですので、「聖奠を人々に示すこと」となります。その次に形容詞句として働く前置詞句 of an invisible grace が続いています。visible と invisible の対比があります。「目に見えない御恵みを目に見える徴とすること」と和訳しました。

そこでセミコロン。that is to say は「言い換えれば」「つまり」の意味でこの後が前のところ( it is … of an invisible grace )の補足で、これに続く箇所の主語と述語動詞がとりあえず that setteth out です。setteth は sets の古い形です。 that は前の文の主語である it、つまり the common description of sacrament を指しています。 setteth out( set out )にはいろいろな訳語が充てられていますが、ここでは少し後の the inward working を目的語とした他動詞として使われており、「表す」「陳列する=人前にさらす」の意味になっています。

他動詞 setteth out の目的語が the inward working、その中間にある前置詞句 to the eyes and other outward senses は副詞句の働きをしています。inward と outward の対比が興味深いところです。the eyes は「人々の目=衆目」、other outward senses は「他の外面的な意味=外面からとらえられるもの=形のあるもの」とみることができますので、setteth out … senses で「目に見える形のあるものにする」という和訳にしました。

setteth out の目的語 the inward working の後には形容詞句の働きをする前置詞句 of God's free mercy が続いています。free mercy には「無辺の御慈悲」という訳語を充てました。the inward working of God's free mercy で「神の無辺の御慈悲による目には見えない業」という意味になります。

続く等位接続詞 and は 前にあった setteth out と doth seal をつなぐものです。したがってセミコロン以下のところの構造は結局のところ、主語は that で述語動詞が setteth out and doth seal となります。この doth は現在でいう does で、ここでは強調の意味をもつ助動詞として用いられています。doth と seal の間に挿入されている as it were にはよく「言ってみれば」「いわば」の訳語が充てられますが、正しくは as if it were so となります。断言はできないが、ほぼほぼ真実であると言えるというような場合に用いられます。

seal は他動詞で「確実にする」「保証する」の意味を持ちます。この文では the promises of God を目的語としています。中間の前置詞句 in our hearts は副詞句の働きをしています。このあたり、and の前後で文構造のパラレル関係が見られます。ともに「他動詞+副詞句としての前置詞句+目的語」となっており、音読してみると調子のよいものであることがわかります。また、意味をとってみても、「神の無辺の御慈悲を目に見える形にする」のと「神の約束を心に刻む」という、全体として可視と不可視の一体化がみられるのも興味深いところです。


英文の見取り図


おまけ(顕現後第5主日聖餐式)

今日の礼拝(聖餐式)がライブ配信されました。聖書日課(使徒書)の朗読を担当しました(「コリントの信徒への手紙Ⅰ」9章16~23節)。16分06秒あたりからです。かみかみの朗読でお聞き苦しいですが…。



最後までお読みいただきありがとうございます。今後も主日のたびにこのシリーズを投稿していきたいと思います。引き続きご愛読ください。よろしくお願いいたします。


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