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【説教集×英語学習7】 苦しむ人々を思う #217

2024年1月28日(顕現後第4主日)



説教集より

Certaine Sermons or Homilies 1547-1571, Rickey and Stroup, 2nd ed, 1993, II, p155.

… know this, that to help and succour the poor in their need and misery, pleaseth God so much, that, as the holy scripture in sundry places recordeth, nothing can be more thankfully taken or accepted of God.  

「欠乏や悲惨の中にある貧しい人々を扶け救うことに神は大いに喜ばれるのであり、聖書で多くの箇所に書かれているように、それ以上に神に喜ばしく受け取られるものなどありえないということを覚えましょう。」(第二説教集11章1部:全訳はこちら↓)


ヨハネのひとこと

いろいろな苦しみや困難のなかに過ごしている人々、ことに戦争や紛争やテロといった人間が引き起こした災害に苦しむ人々や、さまざまの自然災害に苦しむ人々を思うとき、わたしたちは胸が締めつけられる思いを持ちます。

能登半島の地震と津波の被害が大きく、さまざまの報道を見るにつけ、心が揺さぶられる人は多いでしょう。わたし自身、13年前に東日本大震災を経験し、自宅が全壊し、長く電気も水道もなく、付近の小学校の校庭で、ペットボトル2本分の水をもらうのに5時間、ネギ数本を手にするのにも2時間以上並びました。寒空の下、知的障害を持った当時13歳の長男を連れて並んだ記憶があります。

炊き出しはありがたいものでした。あたたかい食べ物がこんなにも美味しいものだと思ったのは忘れられません。苦しむ人々のためにわたしたちにできることはたくさんあります。じかに助けを差し伸べに行くことはできなくても、苦しみを思うことはできます。「この最も小さな者の一人にしたのは、すなわち、私にしたのである(マタ25・40)。」飢えた人に食物を分け、寒がる人に服を着せ、さまよう人に宿を貸すことも大切ですが、それ以上に、苦しむ人々を、また人々の苦しみを、思い続けましょう。

英文の解説

命令文です。先頭の know から始まります。目的語は this ですが、この this の内容がカンマを挟んでそれに続く接続詞 that 以下になります。this という名詞と接続詞 that 以下の名詞節を同格としていると考えられます。

接続詞 that 以下の名詞節の構造は、主語が不定詞 to help and succour、述語動詞が pleaseth です。この to help and succour の目的語が the poor です。いわゆる「the+形容詞」の形で「貧しい人々」という意味になります。 pleaseth の前にカンマがありますが、この説教集によくみられる、現代英語ではあまりお目にかからないカンマです(これまでの投稿でも触れています)。なお pleaseth は please に三単現の s を付した pleases の古い形です。

need は名詞でここでは「欠乏」を意味します。need というと真っ先に「必要」の訳語が浮かぶのですが、その裏返しで、必要は欠乏を表します。この説教集ではよく want もこの意味で用いられています。

pleaseth の目的語はGod で、これで接続詞 that 以下の名詞節の骨格が SVO であるということがわかり、その後は大きく副詞の働きをするものとなります。so much, that と続きますが、ここのカンマも現代英語ではほとんどお目にかからないもので、これをないものと考えてみると、so 副詞 that SV の構造が見えます。「とても A なので B」などと訳す形です。

that の次に as がありますが、この as から recordeth までが副詞節です。S は the holy scripture で V が recordeth です。recordeth は前にあった pleaseth と同じく、三単現の変化形の古いものです。現在では records となります。ここでは自動詞で「記録する」つまり「書く」「述べる」の意味です。in sundry places は位置から形容詞句と見てしまいがちですが、意味を考えるとこれは副詞句で、本来はrecordeth の後に置かれるべきでしょう。「(聖書の)多くの箇所で」という意味です。

as から recordeth までが副詞節でいわば前置きとなり、その次に so A that B の B の部分、つまり本題があるのですが、nothing が主語で can be taken or accepted が述語動詞となります。この can は可能性を表す助動詞です。比較級 more thankfully の比較対象がありませんが、これは省略されています。省略されているのは than it (= to help and succour the poor in their need and misery) です。


英文の見取り図


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