短編小説 妖怪サトリ退治
「あの山です。あそこの蕎麦畑に蕎麦を穫りに行ったら、ソイツが小屋に居たんです」
クライアントが西の山を指差して言った。
「肌は赤茶けていて上半身は裸、下はもんぺみたいなズボンに、草履を履いてました。背丈は大っきめの男くらいで、顔つきがもう人間じゃないような顔をしてました」
続けてその妖怪の説明をした。
「言い伝えでは、あの山にはかつて人の心が読めるという化物が住んでたって話です。蕎麦は大事な稼業なのに、私はもう怖くて行けなくなってしまって……。先生、どうかよろしくお願い