マガジンのカバー画像

映画 音楽 書籍

64
運営しているクリエイター

#マンガ感想文

その2 世界が逆転する時ー「ポーの一族」新シリーズ『春の夢』『秘密の花園』ー女たちは生きている。生きているのだ!

その2 世界が逆転する時ー「ポーの一族」新シリーズ『春の夢』『秘密の花園』ー女たちは生きている。生きているのだ!

(その1から読んでもらえると幸いです)

2017年から再開されたポーの一族、新シリーズ『春の夢』『ユニコーン』『秘密の花園』で、とりわけ特徴的なのは、女性の描き方である。

これまで萩尾マンガの世界で、女である者は、大概殺されるか、消えてなくなるか、その扱いは、酷薄だった。エドガーの大事な妹、メリーベルは、オズワルドの十字架に焼かれ、エディスの姉、シャーロットは火事に焼かれ、ポーツネル夫人も砂粒

もっとみる
『秘密の花園』萩尾望都(小学館) エドガーは、眠りの中から飛び出す。目を見開くためにーその1

『秘密の花園』萩尾望都(小学館) エドガーは、眠りの中から飛び出す。目を見開くためにーその1

萩尾望都は、夢を見るー

1979年発刊『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』橋本治による萩尾望都論「眠りの中へ…」は、この一言から始まる。

1972年、わたしは10歳、小学4年生のとき『ポーの一族』とその主人公エドガー・ポーツネルに出会った。橋本治の言葉を借りれば、「世界は滅びてしまった」瞬間。萩尾望都が目を瞑るとき、世界は、金色に輝くーその時、子どもにとっての現実世界は滅び、萩尾マンガがつむぐー

もっとみる

虹色の道を歩めー女の子と野球を繋ぐものーファイターズの前に、北海道にはプロ野球チームがあった!伝説の女子プロ野球チーム、スイート・メイプルズを君は知っているか?

北海道のプロ野球といえば北海道日本ハムファイターズ。今や多くの道民に愛される人気球団なのですが、かつてこの北の大地に、もう一つのプロ野球チームがあったことを、あなたはご存知だろうか。

その名も「スイート・メイプルズ」ー『メイプル戦記』(川原泉 白泉社刊)1991年少女マンガ誌「花とゆめ」に掲載され描かれたドリーム・チームのお話だ。
野球マンガは数あれど、少女マンガのそれは少ない。ましてやプロ野球

もっとみる