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放送局員の怪

見つけてしまった。
今日。
ショッピングモールのちょっといい感じのソファっぽいベンチで。

そんなところで?と若干驚きつつも耳ダンボ。
制服を着た女子高生ふたり。聞き取りやすくハリのある大きな声で。

あらいりうるえれおろ…(多分こんな感じ
拙者親方と申すは…(?)なんたらかんたら…

あーーはいはい。聞き覚えがあるある。

🎤

娘が女子高生だった頃、お友達が家に遊びに来たときと同じ光景。

部屋からは楽し気に談笑する声。
と、いきなり、大きくはっきりと聞きとれる声が聞こえてくる。

まさに
あらいりうるえれおろ…(多分こんな感じ
拙者親方と申すは…(?)なんたらかんたら…

なにごと?と突然の豹変にかなり驚いたのを覚えている。
娘とお友達は放送局アナウンス部員だったので、ほう、こんな練習をするのね、と冷静になり思ったものだ。

しばし続けたあと、何事もなかったかのように静かになり談笑しているのかと思いきや、また急に「生麦生米生卵」的な早口言葉を大きな声で始める。

ひとりが始めると、すかさずもう一人がかぶせるように
はらひれほろはれ、声を出す。

車で家に送ったりもしたのだけれど、後部座席で突然始まったりするのだ。かなり面白い体験だった。

🎤

ショッピングモールで、それと同じ状況を耳ダンボで聴きながらゆっくり通り過ぎた。ああ、アナウンス部員か演劇部員か。きっと私ニマニマしていたことだろう。
知らない人はびっくりしてジロジロ見てしまうかもしれない。

でも娘の高校生時代を思い出してなのか、その2人の溌剌さに青春を感じたのか、なんだか嬉しくなってしまって怪しく笑いながら帰路についたのだった。



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