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Metal Music Monologue

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メタル関連のディスク、書籍、ライヴなどの感想を中心に。
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Overkill全アルバムランキング

Overkill全アルバムランキング

 40年近くに渡って活躍しているNYのスラッシュレジェンドOverkill。ここ十数年、第一線で安定した活動をしているせいか「スラッシュメタル界のAC/DC」的な頑固一徹バンドのイメージで語られたりすることもありますが、実態は結構音楽性に関して紆余曲折があったバンド。
 ちなみに、ディスコグラフィー的にメタルアーティストレビューを行う「OtOfrE」でもOverkillは取り上げられているものの、

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Helloween作曲者別楽曲分析

Helloween作曲者別楽曲分析

 ハロウィンを「作曲」という軸で見ていくと、その大きな特徴は、初代ドラマーのインゴ・シュヴィヒテンバーグ(Dr)と3代目・現ドラマーのダニ・ルブレ(Dr)以外の8名の歴代メンバーがコンポーザーである点。しかも共作が少なく、各メンバーがそれぞれの楽曲を持ち込み、民主的に楽曲を選択するシステムを採用しているにもかかわらず、「ハロウィン印」と呼べるようなサウンドの一貫性を保っているのが特徴であり、面白さ

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Best Metal Albums of 2022

Best Metal Albums of 2022

改めて22年のメタルシーンを振り返ってみると、印象的な潮流の1つとして、今までメタル発展途上エリアの印象が強かった日本を含む非英語圏アーティストの躍進が挙げられるかと思います。歌詞がほぼ聞き取れないグロウル/スクリームスタイルのVoが主流となり、メタルを英語で歌う必然性が薄れたことによって、アングロサクソン系文化の追従にこだわらない(憧憬しない)非英語圏のアーティストが増加。結果自然発生的にメ

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【聴き逃し名盤を探せ】Metal Hammer writers' top metal albums of 2021

【聴き逃し名盤を探せ】Metal Hammer writers' top metal albums of 2021

 今年も発表された”Metal Hammer”誌の音楽ライターが選ぶベストアルバム20選。32名の編集者・ライター達が2021年のアルバムTOP20を選んでくれています。

 Louder(Metal Hammer), Kerrang!, Blubbermouthといったメタル系音楽サイトのレビューもサクッと目は通しているものの、英語の分かりづらさ(ビジネス英語では見慣れないような表現や俗語がやた

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Best Metal Albums of 2021

Best Metal Albums of 2021

 改めて2021年のメタルシーンを振り返ってみると、ポストメタルの新たな萌芽の感じられるサウンドの登場、ニューウェーブとメタルの今までにない新たな融合アプローチなど局所的には面白いものは発見できたものの、シーンを大きく揺れ動かすような特徴的なサウンドや、新しいスタイル=サブジャンルは登場してきておらず、メタルというジャンルを音楽的に大きく発展させるような衝撃的な音・スタイルにはあまり出会わない1年

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【Disk】Gojira / Fortitude

【Disk】Gojira / Fortitude

 何気に「名盤」の定義って難しい。                      

 強いて言えば、革新性(音楽面、カルチャー面、演奏・技術面、サウンドプロダクション面)、音楽的完成度(演奏、楽曲、詞、コンセプト、編曲、ミックス、プロダクション)、社会的支持、批評家・ミュージシャンからの評価など、様々な観点から見て総合的に判断という感じなのかなと思っていますが、難しい定義に照らし合わさなくとも、長年

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【Disk】White Void / Anti

【Disk】White Void / Anti

 BorknagarやSolefaldで活躍しているノルウェーのマルチプレイヤー・Lars Nedlandの新プロジェクト。どちらのバンドも比較的活動歴は長いにもかかわらず、正直いずれの作品も聴いたことはなかったのですが(どちらもWhite Voidの後にちゃんと聴きしましたがとてもクオリティ高い)、Tower Recordのサイトだったか、"Blue Oyster Cult meets New

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【Disk】Iron Maiden全アルバムランク付け

【Disk】Iron Maiden全アルバムランク付け

 前回の投稿で6人編成以降のIron Maiden全曲レビューをやってみましたが、今回はIron Maiden全アルバム16枚をランク付けしてみました。

 ちなみに自分がメイデンを最初に聴いたのは、今から32年前の89年。Bon JoviやHelloweenを切っ掛けにちょうどハードロック/メタル系の音楽を熱心に掘り始めた頃で、確か兄貴が買ってた「Young Guitar」誌のバックナンバーを読

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【Disk】6人編成以降のIron Maiden全曲レビュー

【Disk】6人編成以降のIron Maiden全曲レビュー

 様々なものをSからDといった感じにランク分けることの出来るTierMaker。

 ”Metal”というカテゴリー区分もあり、様々なアーティストのアルバムランキング(アーティスト内相対評価にするか絶対評価にするかは個人の自由)も公開されています。英語圏の人が多いこともあり、日本との評価の差異も分かって面白いのですが、見てるだけでなく自分でもやってみようということで、アルバム数の多い歴史の長い大御

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これを聴いてたら恥ずかしい!?  ー”Guilty Pleasure Metal Songs”

これを聴いてたら恥ずかしい!? ー”Guilty Pleasure Metal Songs”

 先日の音楽系YouTubeチャンネル「みのミュージック」では、恥ずかしいけどこっそり好きで聴いてる曲="Guilty Pleasure Songs"が話題に。

まあ笑い半分のお気楽企画ではありますが、欧米で作られたプレイリストを眺めると、ある一定の傾向があり、やたらきらびやかなアレンジやプロダクションが施されていたり、コテコテの甘いメロディの曲だったりと、どうやら「典型的な80年~90年前

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The 20 Heaviest Metal Riffs Ever

The 20 Heaviest Metal Riffs Ever

 下の記事は、少し前に音楽サイト「LOUDER」に載ってたドゥームメタル・バンドSprit Adrift/Gatecreeperのギタリストであるネイト・ガレットが選んだ"10 Heaviest Metal Riffs Ever"。

 こうしたセレクションものは、その人の好みと聴いてきた音楽の引き出しに依存するので、ネイトのセレクションについては「PowertripとかNeurosisとか良いと

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【Disk】Azusa / Loop of Yesterdays

【Disk】Azusa / Loop of Yesterdays

 プロアマ問わず、ここ最近メタル周辺音楽の批評として一番信頼しているのがs.h.i.(@meshupecialshi1)氏の論考。ツイッターアカウントでの投稿や、はてなブログで掲載されている「Closed Eye Visuals」におけるセンス、分析力、視点の鋭さ、音楽的知見の豊かさには圧倒されっぱなし。で、そのs.h.i.氏が「2020年・メタル周辺ベストアルバム」の1つに選んでいたのが、今回紹

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【Disk】Ghostemane / Anti-Icon

【Disk】Ghostemane / Anti-Icon

 2020年に別ジャンル(ヒップホップ)からのメタルアプローチという点で話題になったのが本作(Kerrang!のベストアルバムでも4位に選出)。トラップメタルというサブジャンル名や、Babymetalの”BxMxC”が「ベビメタ流トラップメタル」と言われてたこともあり、何となくの音の雰囲気はご存知の方も多いでしょう。せっかく話題作の1つなので「ヘヴィなギターリフが入ってれば全部メタル」という大雑把

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【Disk】Oranssi Pazuzu / Mestarin Kynsi

【Disk】Oranssi Pazuzu / Mestarin Kynsi

 各メタルメディアや信頼できる方の個人サイトでも軒並みベストアルバムの上位にランクされ、恐らく2020年のメタルシーンを振り返る際に欠かすことの出来ない作品となったOranssi Pazuzuの5th。自分としては、音の目新しさは頭で理解する一方、どうしてもアフィニティレベルが上がってこず敢えてベストアルバムの選外にしましたが、この怪作について語らずに年を越せない気分となり、NHK紅白を横で観なが

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